
アーノルド・パーマーのスピリットを継承する人物に贈られる「アーニー賞」を受賞したリッキー・ファウラー(写真は2026年のAT&Tペブルビーチプロアマ 撮影/岩本芳弘)
プロに転向して4年目の2013年、ファウラーはアーノルド・パーマー招待でタイガー・ウッズと最終日最終組をプレーした。ツアー2勝目を目指す若者にとって相手は高い壁だったが、14番までに3つバーディを奪い互角の戦いを繰り広げていた。
しかし15番でボギーを叩くとスコアを伸ばしたい16番パー5で痛恨のトリプルボギー。そのホールでバーディを奪ったタイガーに優勝を譲り、3位タイに終わった。
傷心のまま立ち去ろうとしていた彼に、ロッカールームのバーに座っていたパーマーが手招きをした。
「コースで起こったことには触れず2人で少しお酒を飲み、ただ一緒に過ごしたんです。後からタイガーも立ち寄ってくれました。アーニー(パーマー)はいつものように一緒にいるだけでいい気分にさせてくれた。僕にとっては最高の思い出のひとつです」
このエピソードも米ゴルフダイジェストが紹介している。
最初の出会いからしてパーマーは特別だった。当時76歳だった御大は17歳の少年の目をしっかりと見て力強く握手を交わしてくれた。
「アーニーはとてもファンを大切にしていて、ありのままの自分を曝け出しファンに応えていました。それを見て注目を浴びることに対処する最善の方法はありのままの自分であり続けることだと気づいたのです」
「キャリアを重ねていると10年、15年前にほんの5秒か10秒触れ合ったことが、彼らにどんな影響を与えたのかを話してくれる人に出会うことがあります。そんなとき“あぁ、アーニーはこういうことを続けてきたんだな”と深く理解するようになりました」
パーマーはメディアにもファンにも常に同じ態度、同じ笑顔で接していた。マスターズのお膝元オーガスタクロニクルの記者がこういっていたことがある。
「忙しいからと取材を嫌がる選手もいるけれど、世界で一番忙しいはずのパーマー氏はいつでも“いいよ”と時間を作ってくれました。彼には時間が無限にあった」
後輩たちを気遣い優勝した選手には必ずお祝いと励ましのレターを送り、ファンを大切にしゴルフを世界に広める役割に徹した伝道師。その意志をファウラーも引き継いでいる。
「アーニーを失ってから改めて社会に貢献することがより意義深いものになりました。彼は誰よりもその方法を熟知していましたから」
ファウラー財団は青少年向けの慈善活動を支援している。また本人は調子が悪いときでもメディア対応を怠らず、優勝者を祝福するため最後までトーナメント会場にとどまるなどスポーツマンシップを発揮している。
