
新選手会長の阿久津未来也(PHOTO/JGTO images)
「日本がまだ寒い中で、ニュージーランドで開催していただけることになって、ISPSさんやコースの方、協会の皆さんにまずは感謝したいです」
開幕前日の会見。感謝の言葉から口を開いた新選手会長の表情には、単なる一選手としての顔だけでなく、男子ツアー全体の未来を背負うリーダーとしてのただならぬ決意が滲み出ていた。低迷が囁かれて久しい男子ゴルフ界をいかにして再興するか。彼の口から語られたのは、男子ツアーの底力に対する絶対的な自信と、ファンやスポンサーに報いるための斬新なアクションプランだった。
男子ツアーの現在地と、揺るぎない「誇り」
現在、日本のゴルフ界において、メディアの露出やギャラリーの動員数という面で、国内女子ツアーの後塵を拝している現実は否定できない。選手会を束ねる彼もまた、その現状を痛いほど理解している。しかし、決して悲観しているわけではない。
「女子を下に見ているとか、悪く思うことは全くないです」と、他者への深いリスペクトを前置きした上で、彼は言葉に力を込めた。
「ただ、アスリートという面では、男子のほうが迫力だったり、上回るものがあると思うんです」
彼のこの強気な発言の裏には、世界を席巻する日本人選手たちの確かな実績という根拠がある。今年だけで5名もの選手が世界最高峰のPGAツアーへ参戦しているという、揺るぎない事実だ。
「最近の男子の選手を見てもみんないい子が多いし、世界的に見ても今年5名、PGAツアーに行っている人がいる。日本ツアーのレベルの高さというのは、選手自身が一番肌で感じていると思います」
世界最高峰の舞台にこれだけの選手を送り出せるツアーが、面白くないはずがない。日本の男子ツアーは、世界基準のプレーを間近で目撃できる極上のエンターテインメント空間なのだ。その圧倒的な熱量と迫力を、いかにして世間に届けるか。それが彼の最大の使命である。
変革へのアクションと「選手主導」の斬新なプラン
「レベルの高いツアーを盛り上げ、会場へ足を運んで見に来てもらえるよう努力する」
そう誓う新会長の頭の中には、すでに具体的な変革のアイディアが描かれている。その一つが、ツアーを支えてくれるスポンサーに対する新しい形での「恩返し」だ。
「年末の表彰式(アワード)とは別に、全試合のスポンサーの方々をお招きして、1日ゴルフ場を貸し切りで感謝の会みたいなものを開きたいんです」
これまでのゴルフ界の慣習にとらわれない、選手主導の斬新なプランである。
「スーツを着てアワードでやるのも、もちろんいいですが、我々はプロゴルファーです。ゴルフで魅せたい、ゴルフを通じて恩返しをしたいという気持ちが強いんです」
言葉だけでなく、自らのプレーとホスピタリティで直接感謝を伝える。選手とスポンサー、そしてファンとの距離を極限まで縮め、一体となってツアーを盛り上げていく。そんな血の通った改革を、彼は本気で推し進めようとしている。
「プレーイング会長」としての熱き決意
選手会長というポストは、会議や調整など、コース外での激務を伴う。過去にはその重圧や多忙さから、自身の成績を落としてしまった選手も少なくない。しかし、彼はそれを言い訳にするつもりは毛頭ない。
「今シーズンもしっかり優勝を目指して頑張りたい。会長になって少し忙しくはなりますが、それで成績が落ちてしまうというのは自分としては避けたい。しっかり成績を出して、2足のわらじじゃないですが、両面でやっていきたい」
自らがリーダーボードの最上段で躍動し、プレーでツアーを引っ張る「プレーイング会長」としての熱き決意。「日本人選手のレベルというのは、オーストラリア勢よりも高い気がします」と、異国の地でも強気な姿勢を一切崩さない彼が、ニュージーランドの過酷なセッティングの中でどのようなプレーを見せるのか、注目したい。

