
首位タイに躍り出た岡田晃平(写真/大会提供)
そのラウンドは、決して平坦なものではなかった。インスタートのこの日、「前半あまり感覚が良くなくて、その中でアンダーで回れた」と振り返るように、苦しい時間帯を耐え忍んだ。しかし、勝負の後半戦で彼の真価が発揮される。折り返し直後の後半1番でバーディを奪うも、続く2番でボギー。流れが途切れそうな場面だが、ここからが今の岡田の強さだ。「逆にしっかりそれをエネルギーに変えて、バーディ2つとイーグルが獲れた。メンタル的には良いラウンドだったと思います」。ミスを引きずらず、むしろ燃料へと変換する強靭なメンタルが、彼を首位へと押し上げたのである。
驚きのオフの過ごし方と新兵器「エイムポイント」

取り入れたばかりのエイムポイントがはまっていると話す岡田(写真/大会提供)
彼の好調の理由は、意外すぎる「オフの過ごし方」にあった。「2月まで全く練習していなかった(笑)」と、会見で周囲を驚かせる告白。プロゴルファーのオフといえば、スウィング改造や徹底的な打ち込みを行うのが常識だ。しかし岡田は「今年のオフはゆっくりしたかったので、ラウンドは週に3回入れて、感覚だけはなくさないようにしていた」と、あえてクラブを握りすぎない異例の調整法を選択したのだ。
もちろん、ただ休んでいたわけではない。実戦感覚を研ぎ澄ます中で、強力な“新技術”を手に入れていた。パターのフィッティングを行い、さらに先週からは、松山英樹も取り入れているグリーン上の傾斜を足の裏で読む技術「エイムポイント」を習い始めたのだ。「それもしっかりハマっている」と語る通り、この最新技術がニュージーランドの複雑なアンジュレーションを持つグリーン上で劇的な効果を発揮している。独自の休養と最新技術の融合。それが岡田のゴルフを一段上のレベルへと引き上げているのだ。
世界基準へのアジャストと同世代からの強烈な刺激
岡田の視線は、すでに遠く海を越えた先を捉えている。米国PGAツアーで活躍を続ける松山英樹や、同世代で3週連続出場を果たすなど世界を飛び回る久常涼の存在が、彼の心に強い炎を灯している。「海外で活躍している組が羨ましく見えるし、自分もそれに挑戦しないと」。同世代のライバルたちが世界で戦う姿は、岡田にとって最大の刺激であり、焦燥感でもあるのだ。
アマチュア時代、ナショナルチームでガレス・ジョーンズコーチから叩き込まれた「世界基準」という哲学。それは今も岡田の胸に深く刻まれている。「日本でしっかり力をつけて、行けるときにスッと行けるように」。その準備の一つが、今回の開幕戦でのクレバーな行動にも表れている。日本とニュージーランドの約20度という急激な温度差にアジャストするため、彼は誰よりも早く日曜日に現地入りし、体を現地の空気に馴染ませた。世界を主戦場にするための細やかなマネジメントが、すでに実践されているのだ。
恐怖に打ち勝ち、優勝という最高の結果へ
「いいプレーはできているので、あとはどれだけビビらずに出来るかどうか」と、決勝ラウンドに向けた抱負を語る岡田。優勝争いという極限のプレッシャーの中で、自らの力を信じ切り、恐れることなくクラブを振り抜けるか。それが今の彼に課せられた最後のミッションだ。
「このコースも素晴らしいので、ここに名前を刻めたらいい」
歴史あるロイヤル・オークランド&グレンジ・ゴルフクラブのトロフィーに、新たなスターとしてその名を刻むことができるか。異例のオフを経て、最新技術と世界への野望を胸に秘めた若武者の週末から、決して目を離してはならない。
