フロリダのオールドコース・アット・ブロークン・サウンドで開催されたPGAツアーチャンピオンズ「ジェームズ・ハーディ殿堂招待」。この舞台で、一人の“ルーキー”が歴史に名を刻んだ。先月24日に50歳を迎えたばかりのメジャー2勝プレーヤー、ザック・ジョンソンだ。デビュー戦での初優勝は、シニアツアー史上22人目の快挙。彼にとって、実に3884日ぶりとなる勝利の味は、家族と仲間たちに囲まれた格別なものだった。
画像: 米シニアツアーデビュー戦で即優勝を果たしたザック・ジョンソン(写真は25年マスターズ、撮影/岩本芳弘)

米シニアツアーデビュー戦で即優勝を果たしたザック・ジョンソン(写真は25年マスターズ、撮影/岩本芳弘)

シニアの洗礼と、衰えを知らぬ闘争心

「君はプロアマのために来たんだろう? だってまだ50歳じゃないだろう」

開幕前の練習日、ツアーの先輩たちからそんな愛あるイジりを受けていたジョンソン。スチュワート・シンクやダレン・クラークら、旧知の仲間たちからアドバイスをもらいながら、彼は新たな主戦場の空気を肌で感じ取っていた。

「驚きはないけれど、大会のロジスティクスやファンのサポート、コースの仕上がりにとても感銘を受けている。そして当然だが、競争のレベルは依然としてエリートだ」

初日を2アンダーの8位タイで滑り出したジョンソン。オフの間は西海岸でのPGAツアー数試合に出場した後、ジムでのトレーニングと理学療法士によるケア、そしてコーチとの基礎的なスウィング構築に時間を費やしてきた。「現状維持ではなく、成功するためにもっと上手くなりたいんだ。立ち止まりたくない。立ち止まれば、彼らに置いていかれるからね」。50歳になっても、彼の闘争心は少しも衰えていなかった。

悲鳴を上げる肉体と、それを支える「チーム」

しかし、50歳という年齢は確実に肉体に変化をもたらしている。2日目に「66」を叩き出し、通算8アンダーで単独首位に浮上した後の会見で、彼は生々しい本音を漏らした。

「実は、今日プレーできるかどうかも分からない状態だったんだ。木曜(練習日)のラウンド後から痛みが出始めて、昨日は本当に辛かった」

満身創痍の体を抱えながらも、彼を支えたのは周囲のサポートだった。「セラピストたちが本当に素晴らしい仕事をしてくれた。今日は数ホールでカートを使ったのも、足の助けになったよ」。痛みに耐えながら叩き出した首位の座。「自分のゴルフはとてもソリッドだ。ミスも少ないし、強風の中で弾道をコントロールできている。ここまで自分を導いてくれたものを信じるだけだ」と、確かな手応えを口にした。

「オールドコース」の符合と、家族への想い

最終日、ジョンソンは「69」で回り、通算11アンダーで後続に4打差をつける圧勝劇を演じた。

ホールアウト後、彼の表情には安堵と深い喜びが入り混じっていた。彼が最後にトロフィーを掲げたのは、11年前。2015年のゴルフの聖地、セントアンドリュース・オールドコースでの「全英オープン」だった。そして今回、奇しくも同じ名を持つ「オールドコース」で、長いトンネルを抜け出したのだ。

「セントアンドリュースのオールドコース、そしてここもオールドコース。いい響きだね」

彼はそう言って微笑んだ。この勝利は、彼にとって特別な意味を持っていた。

「今日ここに来ている2人の子供たちは、私が優勝した時のことを覚えていないと思う。だから、この優勝は彼らのためのものだ。そして、アイオワで最近亡くなった祖母のことも想いながらプレーしていた。家族とこの瞬間をシェアできること、それがすべてだよ」

【動画】ザック・ジョンソン、優勝の瞬間、そして家族との抱擁【PGAツアーチャンピオンズ公式X】

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2004年の初優勝との重なり。新たな章の始まり

優勝会見で、記者が「2004年にアトランタでPGAツアー初優勝を飾った時と比べてどうか」と尋ねると、ジョンソンは深く頷いた。

「多くの共通点がある。どちらのツアーでも、何が起こるか予測できないし、勝つのがどれほど難しいか分かっている。今日、私は2004年と同じように、自分のキャリアで最高のゴルフができたと思う。プレッシャーの中で感情を受け入れ、コントロールしながらプレーできた」

「私はゴルファーである前に、一人の『コンペティター(競争者)』なんだ。とにかく競争することが好きなんだよ」

そう語るザック・ジョンソン。50歳になり、新たな主戦場を手にした勝負師の目は、すでに次なる戦い、そして4月に控えるオーガスタへと向けられている。PGAツアーチャンピオンズに、また一人、恐ろしくも魅力的な主役が誕生した。


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