
米シニアツアーデビュー戦で即優勝を果たしたザック・ジョンソン(写真は25年マスターズ、撮影/岩本芳弘)
シニアの洗礼と、衰えを知らぬ闘争心
「君はプロアマのために来たんだろう? だってまだ50歳じゃないだろう」
開幕前の練習日、ツアーの先輩たちからそんな愛あるイジりを受けていたジョンソン。スチュワート・シンクやダレン・クラークら、旧知の仲間たちからアドバイスをもらいながら、彼は新たな主戦場の空気を肌で感じ取っていた。
「驚きはないけれど、大会のロジスティクスやファンのサポート、コースの仕上がりにとても感銘を受けている。そして当然だが、競争のレベルは依然としてエリートだ」
初日を2アンダーの8位タイで滑り出したジョンソン。オフの間は西海岸でのPGAツアー数試合に出場した後、ジムでのトレーニングと理学療法士によるケア、そしてコーチとの基礎的なスウィング構築に時間を費やしてきた。「現状維持ではなく、成功するためにもっと上手くなりたいんだ。立ち止まりたくない。立ち止まれば、彼らに置いていかれるからね」。50歳になっても、彼の闘争心は少しも衰えていなかった。
悲鳴を上げる肉体と、それを支える「チーム」
しかし、50歳という年齢は確実に肉体に変化をもたらしている。2日目に「66」を叩き出し、通算8アンダーで単独首位に浮上した後の会見で、彼は生々しい本音を漏らした。
「実は、今日プレーできるかどうかも分からない状態だったんだ。木曜(練習日)のラウンド後から痛みが出始めて、昨日は本当に辛かった」
満身創痍の体を抱えながらも、彼を支えたのは周囲のサポートだった。「セラピストたちが本当に素晴らしい仕事をしてくれた。今日は数ホールでカートを使ったのも、足の助けになったよ」。痛みに耐えながら叩き出した首位の座。「自分のゴルフはとてもソリッドだ。ミスも少ないし、強風の中で弾道をコントロールできている。ここまで自分を導いてくれたものを信じるだけだ」と、確かな手応えを口にした。
「オールドコース」の符合と、家族への想い
最終日、ジョンソンは「69」で回り、通算11アンダーで後続に4打差をつける圧勝劇を演じた。
ホールアウト後、彼の表情には安堵と深い喜びが入り混じっていた。彼が最後にトロフィーを掲げたのは、11年前。2015年のゴルフの聖地、セントアンドリュース・オールドコースでの「全英オープン」だった。そして今回、奇しくも同じ名を持つ「オールドコース」で、長いトンネルを抜け出したのだ。
「セントアンドリュースのオールドコース、そしてここもオールドコース。いい響きだね」
彼はそう言って微笑んだ。この勝利は、彼にとって特別な意味を持っていた。
「今日ここに来ている2人の子供たちは、私が優勝した時のことを覚えていないと思う。だから、この優勝は彼らのためのものだ。そして、アイオワで最近亡くなった祖母のことも想いながらプレーしていた。家族とこの瞬間をシェアできること、それがすべてだよ」
【動画】ザック・ジョンソン、優勝の瞬間、そして家族との抱擁【PGAツアーチャンピオンズ公式X】
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x.com2004年の初優勝との重なり。新たな章の始まり
優勝会見で、記者が「2004年にアトランタでPGAツアー初優勝を飾った時と比べてどうか」と尋ねると、ジョンソンは深く頷いた。
「多くの共通点がある。どちらのツアーでも、何が起こるか予測できないし、勝つのがどれほど難しいか分かっている。今日、私は2004年と同じように、自分のキャリアで最高のゴルフができたと思う。プレッシャーの中で感情を受け入れ、コントロールしながらプレーできた」
「私はゴルファーである前に、一人の『コンペティター(競争者)』なんだ。とにかく競争することが好きなんだよ」
そう語るザック・ジョンソン。50歳になり、新たな主戦場を手にした勝負師の目は、すでに次なる戦い、そして4月に控えるオーガスタへと向けられている。PGAツアーチャンピオンズに、また一人、恐ろしくも魅力的な主役が誕生した。
