ミニドライバーでしのぐ日々

東京駅・八重洲地下街25番出口からすぐの好立地にある「TaylorMade Fitting Lab Tokyo」。フィッティングスペース2打席、パターフィッティングエリア1打席のほかにも、限定ギアやアパレルを販売、そしてツアークオリティの工房も完備。R.マキロイやC.モリカワといったトップ選手のレプリカクラブの展示も楽しい。熱量の高いゴルファーにとっては夢のような施設だ
金井さんは460ccのフルサイズドライバーも所有してはいるものの、コースではフェアウェイキープを優先して専ら「r7 クアッド ミニドライバー」を使用。それでも240ヤードは飛ばすというからさすがだが、心の奥底には「やはりフルサイズのドライバーで最大飛距離を」というゴルファーとしての純粋な欲求が眠っている。

金井将能さん(HC6)。ヘッドスピードは42~43m/s、ベストスコア72の競技派ゴルファー
そんな金井さんがフルサイズドライバーへの回帰を求め、東京・八重洲にある「テーラーメイド Fitting Lab Tokyo」の門を叩いた。ドライバーを見立てるのは、マスターフィッターの関野愛美さん。

テーラーメイド マスターフィッターの関野愛美さん。テーラーメイドのフィッティング理論とメソッドを習得。丁寧なカウンセリングからスタート
長年の「引っかけの恐怖」は、最新のフィッティングでどう変わるのか。その様子をレポートする。
データから見えた「引っかけ」の実態
フィッティングベイに入り、弾道計測器の前に立つ金井さん。何度経験しても、この独特の空間には心地よい緊張感が漂う。
クラブをセッティングしながら、「緊張しますよね」と気遣うフィッターの関野さん。金井さんはクラブを握り直し、「でも、これくらいの緊張感のほうが実戦っぽい。実力が出ますね(笑)」とうなずく。関野さんも「ちょっと肩に力が入ると思いますけど、気楽に打ってくださいね」と微笑む。
まずは現状を知るためのテストから始まる。金井さんが使っているドライバーに近いスペックとして用意されたのは「Qi4D」(コアモデル)のロフト9度。シャフトは、実際に愛用している「テンセイ ホワイト」の50Xだ。
ウォーミングアップを終えると、金井さんのスウィングから小気味よい快音が響き渡った。
数球を打ち終え、関野さんがモニターに映し出された弾道データを分析していく。ここからがマスターフィッターの腕の見せ所だ。

逐一データを見ながら納得して進められる
「まず入斜角とボールスピードから、高さとスピン量を見ていきます」
データによれば、ヘッドの入斜角は「1.6」。わずかにアッパー軌道でインパクトしている。
「ボールスピードが3球の平均で『63m/s』なので、我々の独自の表に当てはめると……打ち出し角の理想は14度~16度になります。現状の平均が『11度』くらいなので、打ち出しの高さはやや低めですね」
さらに、スピン量も理想の2400〜2800回転に対してやや少なめであることが判明した。関野さんは「全体的に見て、現状だと球は低めなのかなという印象です。距離は250ヤード近く出ていますね」と評価する。
軌道については「ほぼゼロか、アウトサイドから来るものもチラホラありましたが、ほぼ真っすぐです」と良好。しかし、方向性に関しては重要なポイントが隠されていた。
「方向性はフェースの向きで決まります。データを見ると実は左への引っかけはあまり出ていなくて、どちらかというとフェースが開いて右に飛ぶミスが出やすいのかなと」

実際には右へのミスが多いことが判明
金井さんは「引っかけ」を恐れてミニドライバーを多用していた。しかし、実際にフルサイズのドライバーを振ってみると、左への引っかけはほとんど出ていない。むしろ左を嫌がることで、無意識にフェースを返しきれず、インパクトでフェースが開いて右へ抜ける傾向が強くなっていたのだ。
「なので、ナチュラルにつかまるドロー系でまとめていけるように、シャフトのしなり戻りがあるものを選ぶといいかなと思います」(関野さん)
フェースが開いて右に逃げる現状を変えるには、「しなり戻り」でフェースをスクエアに戻してくれるシャフトを見つけることがひとつの解決策となるという。
性能の異なる「3本の純正シャフト」を試打

純正シャフト(REAX)は3タイプ。フェースローテーションが多いタイプは「HR」(上)、中間は「MR」(中)、少なめは「LR」(下)がマッチする
テーラーメイドの最新フィッティングでは、過去20年間にわたる延べ1100万発に及ぶショットデータを分析。その結果、ゴルファーのスウィング中のフェースローテーション(ターン)度合いによって、タイプを3つに分類。それぞれのスウィングに最適化した純正シャフト「REAX」を用意している。
「今回、シャフトを選ぶポイントとして『フェースのローテーション』で見ていきます。そのために一度動画を撮らせていただきますね。」

シャフトと左腕が一直線になるタイミングを見る
関野さんが正面に回り、スウィング撮影。見るポイントは、シャフトとリードアーム(右利きなら左腕)が一直線になるタイミングだ。
ローテーションの量で合うシャフトは変わる

リードアームとシャフトが一直線になるタイミングによって、フェースローテーションのタイプを判断。インパクト後遅れて一直線になるタイプはローテーションが少ない「LR」(代表:コリン・モリカワ)、インパクト直後に一直線になるタイプは中間の「MR」(代表:ローリー・マキロイ)、ジャストインパクトで一直線になるタイプはローテーションが多めの「HR」(代表:チャーリー・ハル)。これがシャフト選びの基準になる。
「金井さんは、インパクト後に一直線になるので、『MR(ミッドローテーション)』タイプ。フェースローテーションを程よく入れていくタイプですね」
本来であれば中調子のブルー系がハマりやすいタイプだが、関野さんは現状の「フェースが開き気味になる」という課題を優先した。
「まずは『HR(ハイローテーション)』、先端の剛性が少し緩いタイプから打ってみましょう」
手渡されたのは、HRの50グラム(S)。いわゆる“赤系”のシャフトだ。
「1球目がコースで出る球に近いので、大事にしています」という関野さんの言葉を背に、金井さんが振り抜いた。
「おお、ナイスショット!」
金井さん自身が思わず声を上げるほどの快心の一撃。「打点がすごくいい、ど真ん中に来ています」と関野さんも絶賛する。先端が走る赤系シャフトが、金井さんのフェースが開くクセを封じ、完璧なタイミングでインパクトを迎えていた。
「まさか、先調子系がこんなにいいとは……。打ってみないとわからないものですね」(金井さん)
続いて、セオリー通りであれば金井さんに合致するはずの「MR」、“青系”シャフト(50グラム台・S)を試す。
「悪くはないんですけど……」
打ち終えた金井さんの反応は少し歯切れが悪い。関野さんが「先ほどの赤と比べて、どちらが振りやすいですか?」と尋ねると、「赤のほうが振りやすかったですね」と即答した。
最後に、元調子系の“白”シャフト(60グラム台・S)をテスト。
「赤と青は50グラム台でしたが、白は60グラムしか設定がないんです」という説明を受けながら試打した金井さん。
「やっぱり最初の赤が一番いいかもしれません。ちょっと重さを感じますね」
やはり、赤シャフトの振り抜きやすさが勝る結果となった。
「データを比較すると、一番安定していたのは『HR(赤)』か『LR(白)』ですね。初速に関してはHRが『63.9m/s』と一番出ています」
MR(青)については左右のブレが大きかったと指摘され、「今のスウィングだと、ある程度しなり感がある『HR』のほうが振り心地がよさそうですし、初速も出ています」と関野さんは指摘。ベースとなるシャフトは、「HR」に決定した。
コア、LS、MAX。ヘッドはどれがいいんだ?

Qi4Dドライバーを基準として他のモデルもテスト
シャフトが決まり、いよいよ「Qi4D」シリーズドライバーのヘッド選定へ。ここまで試打で使用していたのは、シリーズの基準となる「Qi4D」(コアモデル)だ。これをベースに、異なる特性を持つヘッドを打ち比べていく。
「次はロースピンタイプの『Qi4D LS』を試します。ややディープフェースになるので、投影面積が小さくなります。より前重心のモデルです」(関野さん)

Qi4D(左)とQi4D LS(右)
手渡されたクラブを見て、金井さんは「見た目がさらにシャープになりますね」とこぼす。そして実際に試打をしてみると、弾道も鋭さを増した。
「『Qi4D LS』だと一撃の飛びは出やすいですよね。でも金井さんは今回安定感も重視されています。平均キャリーで見ると、さっきの『Qi4D』(コア)のほうが安定して飛んでいますね」
「Qi4D LS」は操作性に優れ、初速が出やすいメリットは大きい。しかし金井さん的には、コースでの実戦を考えるとコアモデルに軍配が上がった。

「Qi4D LS」で鋭い弾道を放つ金井さん
続いて、シリーズ中で最も寛容性の高い「Qi4D MAX」を試打。「一番球が上がりやすく、ミスに強いモデルです」という触れ込み通り、金井さんのスウィングにも安心感が生まれる。
「MAXってやっぱり楽ですね。すごく安定します」(金井さん)
「3球打ちましたが打点が同じところに集まっていますね。重心が深いものも、金井さんにとって意外と振り心地がいいのかもしれませんね」と、関野さんも太鼓判を押す。

打点の安定感で言えば、「Qi4D」、「Qi4D MAX」どちらも甲乙つけがたい

QUAD MAXによる打点などさまざまなデータを“正確に”得るために開発された「フィデューシャルヘッド」。フェースに予め白いマークが埋め込まれている
ウェイト調整が生み出した「完璧な1本」

「コアとMAX、どっちも捨てがたい!」
すべての試打を終え、いよいよ最終的な決断へと移る。シャフトは「HR」(赤)。ヘッドは、トータルのバランスが良い「Qi4D」(コア)と、やさしさと安定感が際立った「Qi4D MAX」が候補だ。
「私的にも『Qi4D』と『Qi4DMAX』で悩みますが、見た目の好みで選んでもいいと思います」
関野さんはそう前置きしつつ、一つの提案をした。
「今回は『Qi4D』のヘッドで、もう少しつかまるようにウェイトをヒール側に移動させてみましょう。少しドローバイアスに寄せます」

フェース側、ヘッド後方に各2カ所ウェイトポートがあるQi4D。ややドローバイアスにするために、ヒール側をそれぞれ9gに変更
構えた時の顔の好みや適度な操作性を残すため、ヘッドは「Qi4D」(コア)を選択。その上で、可変ウェイトをヒール側に移動させ、ヘッド側からも球のつかまりをサポートするセッティングを施したのだ。これは「Qi4D」シリーズになってさらに進化したポイントでもある。
クラブを受け取った金井さんは、「重さの感じ方が変わりますね」と驚いた表情を見せる。
「総重量は変わりませんが、振った時の球のつかまりが良くなりますよ」という関野さんの言葉を受け、最終試打へ。
快音が室内に響き渡る。
「おお、楽につかまります! いいですね」(金井さん)
モニターには、きれいなドロー軌道を描く弾道が映し出されていた。
「少しつかまった分、キャリーも5ヤード伸びました。やや左サイドに理想的な球がまとまっています。これでいきましょう!」(関野さん)
これに決定!

●金井さんの最終スペック
【ヘッド】Qi4D 9度
【シャフト】HR 50(S)
【長さ】45.25インチ
【ウェイト】トウ寄り4g、ヒール寄り9g(前後ともに)
長年の経験に基づく「自分に合うスペックはこうだ」という思い込みを一度捨て、客観的なデータと優れたフィッターの導きに身を委ねる。自分専用にカスタマイズされた「Qi4D」ドライバーを手にした金井さんの表情からは、すぐにでもコースに飛び出したい気持ちが伝わってきた。
今回のようなベテラン上級者が抱える長年の悩みが解決するのは、クラブの買い替えではなくフィッティングかもしれない。そして初心者や中級者は「フィッティングはまだ早い」と思うかもしれないが、スコアの伸びしろがある人ほど、フィッティングによる恩恵は大きいのだ。腕前を問わずドライバーに問題を感じているなら、一度テーラーメイドが展開する最先端のフィッティングを受けることをお勧めしたい。
PHOTO/Hiroaki Arihara
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