米国男子ツアー「バルスパー選手権」の初日、韓国のイム・ソンジェが圧巻のロケットスタートを見せた。1番と11番の2つのパー5でイーグルを奪い、7アンダーの「64」をマーク。堂々の単独首位発進を決めたのだ。リーダーボードの頂点に返り咲いた男の完璧とも言える初日のラウンドの裏には、深刻なケガと自信喪失という、プロゴルファーとしてのドン底からの壮絶な生還劇が隠されていた。
画像: 初日64で2位のB・スネデカーに1打差をつけて首位発進したイム・ソンジェ(写真は25年ベイカレント C レクサス、撮影/岡沢裕行)

初日64で2位のB・スネデカーに1打差をつけて首位発進したイム・ソンジェ(写真は25年ベイカレント C レクサス、撮影/岡沢裕行)

2カ月の空白と「失われた感覚」

時計の針を少し巻き戻そう。大会開幕前時点で世界ランキング82位まで後退していた今季のイム・ソンジェを襲ったのは、予期せぬアクシデントだった。今年1月に手首を負傷し、ツアー離脱を余儀なくされたのだ。公式会見で彼は、当時の絶望的な状況をこう振り返っている。

「ケガの影響で、2カ月間もクラブに触れることすらできなかった」

アイアンの名手として知られる彼にとって、この空白期間は致命的だった。3月のビッグトーナメント「アーノルド・パーマー招待」で復帰を果たしたものの、続く「ザ・プレーヤーズ選手権」と無念の連続予選落ち。トッププロが集う最高峰の舞台で、己のゴルフが通用しない現実。「この2回の予選落ちで、完全に自信が急降下してしまった」と、彼は包み隠さず当時の苦悩を吐露した。

中でも深刻だったのが、ブランクによって「ショートゲームのタッチと感覚」がすっかり失われてしまったことだった。繊細な感覚が命となるグリーン周りで、彼は深い闇の中を彷徨っていたのだ。

先週の“猛特訓”と、自信を取り戻した2つのイーグル

だが、ツアー屈指のハードワーカーは決して腐らなかった。予選落ちに終わった先週、彼はただひたすらに、ショートゲームのフィーリングを取り戻すことだけにフォーカスして猛特訓を重ねた。「先週は特定のテクニックを修正することに集中した。その成果が今日のラウンドに直結したと思う」と語る通り、執念の練習が今週いきなり爆発した。

本人は会見で、この日の滑り出しを「バーディ、イーグル、バーディというとても良いスタートが切れた」と語っている。ここ数カ月、良いスタートが切れていなかった彼にとって、出だしの数ホールがどれほど大きな自信の回復に繋がったかは想像に難くない。

そのハイライトとなったのが、11番パー5でのセカンドショットだ。「今日のベストショットだった。残り15フィート(約4.5メートル)にピタリとつけたんだ」と本人も胸を張る一打でイーグルを奪取。かつての鋭いキレと繊細なタッチが、ついに蘇った瞬間だった。

事実、この日のイム・ソンジェは、グリーンを狙うショットの貢献度を示す「Strokes Gained: Approach the Green」において、フィールド全体トップとなる「+3.847」を記録。アイアンとショートゲームの感覚が、数字の上でも「完全復活」していたことが証明されている。

この日マークした7アンダーの「64」は、彼自身のキャリアベストスコア(62)にわずか2打差まで迫るビッグスコア。また、初日に2つのイーグルを奪ったのは、フィールド全体で彼を含めてわずか2人のみという記録的なラウンドとなった。

「この最高のスタートが、僕に自信を取り戻すブースト(推進力)を与えてくれた。これをキープして、週末まで走り続けたい」

ドン底の淵から這い上がり、再び自信という最強の武器を手にしたイム・ソンジェ。完全復活を遂げ、週末のコッパーヘッドを熱くする。

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