10万人を超える大観衆が詰めかけ、南アフリカのスポーツ史に新たな1ページを刻んだ「LIVゴルフ・南アフリカ」。その熱狂の規模は、単なるゴルフトーナメントの枠を遥かに超えていた。南アフリカの大統領も大会の開催を大々的にバックアップするなど、まさに「国家的イベント」としての異常な盛り上がりを見せた。地鳴りのような大歓声は、地元チームである「サザン・ガーズGC」に向けられたものだ。選手たちがティーグラウンドに姿を現すだけで割れんばかりの拍手が巻き起こり、彼らのショット一つひとつに熱狂する。しかし、この「完全アウェイ」とも言える異様な空間で、地元の夢を打ち砕き、見事に1打差でチーム優勝をさらっていったのが、ブライソン・デシャンボー率いる「クラッシャーズGC」だった。
画像: サザン・ガーズの勝利を疑わなかった南アフリカのギャラリーはフェアウェイまで入り込んだ(提供/LIVゴルフ)

サザン・ガーズの勝利を疑わなかった南アフリカのギャラリーはフェアウェイまで入り込んだ(提供/LIVゴルフ)

南アの誇りと、立ちはだかった「最強の絆」

チーム戦では惜しくも1打差の2位に終わったサザン・ガーズだったが、彼らの奮闘は南アフリカのゴルフ熱をこれ以上ないほどに高めた。最終日に「66」の好スコアをマークしたディーン・バーメスターは、大歓声の中でプレーした感動をこう表現する。

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「負けたのは少し悔しいが、南アのファンが世界一であることを証明できた。僕の人生で最高の4日間だった。これ以上の喜びはないよ」

さらに彼は、深刻な背中の痛みに耐えながら4日間を戦い抜いたシャール・シュワーツェルや、チームを牽引したルイ・ウエストハイゼンらチームメイトを称え、その絆の強さをアピールした。

しかし、その熱狂を紙一重で上回ったのが、クラッシャーズGCの「最強の絆」である。最終日のバックナイン、アニルバン・ラヒリが2日連続の「63」を叩き出し、チャールズ・ハウエルIII世とポール・ケーシーもボギーフリーでスコアを伸ばすという怒涛の猛チャージを見せた。

チームの屋台骨であるベテランのハウエルIII世は、この逆転劇の理由を誇らしげに語る。

「僕らはLIVで唯一、最初から全くメンバーが変わっていないチームだ。ずっとこのメンバーでやってきた」

他のチームが戦力補強や選手の入れ替えを行う中、彼らは苦しい時期も共に支え合い、同じ4人で戦い続けてきた。その強固な絆と揺るぎない信頼関係こそが、完全アウェイの重圧をはねのけ、奇跡的な逆転劇を生み出す最大の原動力となったのだ。

勝利を“盗んだ”罪悪感と勝者の品格

南アフリカのファンは、自国のヒーローたちの勝利を信じて疑わなかった。だからこそ、その夢に立ちはだかるクラッシャーズに対しては、すさまじい大合唱(チャント)で強烈なアウェイのプレッシャーをかけた。しかしそこには、相手を貶めるようなブーイングやヤジは一切なく、良いプレーには惜しみない拍手を送る、極めてリスペクトに満ちたスポーツマンシップがあった。

数々の修羅場をくぐり抜けてきたクラッシャーズのベテランたちにとって、この極上の熱狂は最高のスパイスでしかなかった。

画像: チーム優勝したクラッシャーズGCのメンバー(提供/LIVゴルフ)

チーム優勝したクラッシャーズGCのメンバー(提供/LIVゴルフ)

ポール・ケーシーは、会見で少し申し訳なさそうな、それでいてユーモアたっぷりの表情で語った。

「地元のファンから勝利を盗んでしまって、正直少し罪悪感があるよ(笑)」

父親が南アフリカ出身であり、自身のルーツがこの国にあるケーシーにとって、この地でのプレーは特別な意味を持っていた。

「でも、僕らは勝つのが大好きだから、この結果に不満なんてあるわけがない。ルイ(・ウエストハイゼン)たちサザン・ガーズの健闘は称賛に値するし、南アフリカのファンは本当に素晴らしかった。彼らがこの熱狂的な大会を作り上げたんだ」

勝者の品格を示すスポーツマンシップとともに、ライバルへのリスペクトを忘れない姿勢がそこにあった。早くも来年の大会が同地で4月22日から25日にかけて開催されることが発表され、南アフリカのファンは来年こそ地元チームが頂点に立つ姿を夢見ている。

完全アウェイを跳ね返した不変のチームと、それを迎え撃った熱狂の地元勢。日曜日のステイン・シティが生み出した熱狂とドラマは、来年へと続く最高のプロローグとなった。


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