名前の由来は「2つのパーツ」の組み合わせと
「操作性」と「フィーリング」の両立
テーラーメイドのパターといえば、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーやロリー・マキロイらが愛用し、今まさにツアーを席巻している「スパイダーX」シリーズが真っ先に頭に浮かぶ。高い慣性モーメント(MOI)でミスヒットへの強さを追求するとともに多彩なネックバリエーションも備えた、まさに現代パターの代名詞だ。

テーラーメイドから新たなモデル「SYSTEM2」が登場
しかし、今回の「SYSTM2」は、スパイダーのような形状ではない。ブレード型やツノ型マレットといった、いわば各メーカーがしのぎを削る「スタンダード」な領域だ。あえて王道のカテゴリーに、テーラーメイドが投じた一石。そこには、これまでのパター作りの常識を覆す、極めて合理的な発想が隠されていた。
「SYSTM2」外観的な特徴は「2トーンカラー」だ。高級感のあるシルバーのフロント部分と、精悍なブラックのバック部分。この違いこそが、今作の最大のキモである。
「SYSTM2」の構造とその名前の由来について、テーラーメイドの担当者はこう解説する。
「今回の『SYSTM2』パターは、主に2つのパーツを組み合わせて1つのヘッドを作っています。この『システマチックに2つのパーツを組み合わせている』というコンセプトと、『操作性』と『フィーリング』の2つの要素を両立していることから、SYSTM2と名付けました。綴りも、TaylorMadeの頭文字である『TM』を組み込むために、あえて“SYSTEM”ではなく“SYSTM”としています」

スパイダーとは違い、操作性を重視した「SYSTM2」
SYSTM2は、言わば「パターのモジュール化」を目指したモデルといえる。例えば「3種類のヘッド形状に対し、それぞれ3種類のネックを用意して計9モデルを作る」となった場合、通常は9種類それぞれの専用ヘッドを設計・製造しなければならない。しかし「SYSTM2」は違う。
①ネック&フェースパーツ(シルバー部):A、B、Cの3種類
②バックボディパーツ(ブラック部):A、B、Cの3種類
「これら各々3つのパーツを掛け合わせることで、最小限の基本パーツから9つのバリエーションを生み出すことが可能になります」(テーラーメイド担当者)
効率の良さはもちろんだが、プレーヤーにとっては『自分好みのネック形状と、自分好みのボディ形状』を、極めてシンプルに選べるというメリットが生まれる。
テーラーメイド自慢の「トラスネック」もラインナップされており、プロの間でも「構えやすさとミスへの強さを、自分の感性に最も近い形で選べる」と評判だ。
モデル名の「2ケタの数字」の意味は?
「SYSTM2」のラインナップを見ていくと、モデル名の後に「JUNO 12」や「BANDON 72」といった2ケタの数字がついていることに気づく。実は、この数字にはテーラーメイドが長年培ってきたパター設計の「共通言語」が反映されている。これは何を意味するのか。
「テーラーメイドでは、ネックの形状と、ネックが付いている位置をそれぞれ数字で管理する慣習があります。モデル名の十の位が『ネック形状』、一の位が『ネックの位置』を表しているんです」(テーラーメイド担当者)

ヒール近くに数字が彫られている
例えば「12」という数字が付いたモデルであれば、以下のような意味になる。
・十の位「1」= クランクネック
・一の位「2」= ヒールから2番目の位置(標準的な位置)
このルールを知っているだけで、自分の求めるスペックが一目で判別できるようになる。以下にそのバリエーションを整理してみよう。
【十の位:ネック形状の種類】
1:クランクネック(王道の形状)
2:ロングクランクネック(よりフェースバランスに近い)
3:スモールスラント(操作性に優れる)
7:ポスト(シングル、ダブルベンド用)
9:フローネック(トウヒールバランスが強い)
【一の位:ネックの付いている位置】
1:最もヒール寄り(L字マレットのような操作感)
2:ヒールから少しトウ寄り(最もポピュラーなポジション)
4:センター(ヘッドの真ん中)

JUNO 12

JUNO TB1

SOTO 92

DELMONTE 12

DELMONTE TB1

BANDON 72

BANDON TM2

JUNO TB2(テーラーメイドオンラインストア、Fitting Lab Tokyo、テーラーメイド銀座などで展開)

DELMONTE TB2(テーラーメイドオンラインストア、Fitting Lab Tokyo、テーラーメイド銀座などで展開)
この体系化されたラベリングがあるからこそ、プレーヤーは迷うことなく自分に最適な「SYSTM(システム)」を見つけ出すことができる。これまでなんとなく「構えた感じ」だけで選択していたパター選びに、明確なロジックを持ち込んだ点も、今作のポイントと言えるだろう。
「MIM技術」と「304ステンレス」によるプレミアムな打感と安定性
もちろん、構造のユニークさだけが「SYSTM2」の売りではない。その中身は、ツアープロも納得するプレミアムパターとしてのテクノロジーが凝縮されている。
特筆すべきは、メタル・インジェクション・モールディング(MIM)技術の採用だ。これにより、フェース背面から余分な質量を取り除き、それをヘッドのトウ・ヒール側へ最適に再配置。コンパクトな見た目からは想像できないほどの高い慣性モーメントを実現する。芯を外した際もヘッドがブレにくく、一貫した転がりを約束してくれるのは、プレッシャーのかかる場面で何よりの武器になる。
そして、さらなる安定した性能を求め、精密な「ミルドフェース」を採用。フェース全面を平滑に加工した後、最適な深さのグルーブ(溝)を施すことで優れた打感に。シリーズ全モデルで均一で上質なパフォーマンスを発揮する。

精密なミルドフェースは正確な転がりと抜群のフィーリングを生む
また、素材には「304ステンレススチール」を採用。一般的にパターに使われることの多い硬質なステンレスに比べ、304ステンレスは非常にソフトで心地よい打感を生み出す。このフェースに吸い付くような感触は距離感のコントロールがしやすく、繊細なタッチを求めるプレーヤーにはたまらない仕上がりだ。

オーソドックスなブレードタイプの「JUNO」(左)と人気のツノ型「BANDON」
さらに、視覚的な効果も見逃せない。シルバーとブラックの2トーン仕上げにより、トップライン(フェース面側)が際立つことで、ターゲットに対してスクエアなセットアップを容易にし、アドレス時のアライメントをサポートしてくれる。
表面には耐久性に優れたハイドロブラスト加工が施されており、長く使い続けても高級な質感は損なわれない。この美しさと機能の両立は、所有感を満たしてくれる大きな要素だろう。
パター選びの「正解」に限りなく近づく新時代のスタンダード
スパイダーシリーズで「やさしさ」の極致を提示したテーラーメイドが、次なるステップとして選んだのは、パター選びそのものを「システム化」すること。

ネックとボディの「組み合わせ」という概念を導入した
これまでのスタンダードなパターは、メーカーが用意したいくつかのモデルの中から「自分に合うもの」を消去法で選ぶしかなかった。しかし「SYSTM2」は、自分が必要な機能をパズルのように組み合わせた結果として、最適な1本にたどり着くことができる。
女子プロが、シーズン早々にこのパターを手にした理由。それは、自分の感性と最新テクノロジーを「2つのパーツ」という形で最も理想的に融合できたからに他ならない。
スパイダーのようなハイテクモデルを愛用してきた層はもちろん、これまで「結局、最後はブレードだよな」とオーソドックスなモデルに戻っていたゴルファーにこそ、この進化を体感してほしい。パター選びに「納得感」という新たな価値をもたらすSYSTM2。これからのパター選びの基準が、大きく変わる予感がする。
PHOTO/Takanori Miki
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