ギア変更の裏側にある王者の探求心
ここ10戦で7回のトップ10入りを果たし、圧倒的な安定感を見せているフリートウッドだが、自己評価は意外にも厳しいものだった。「実は、今年はパットが期待通りにいっていないんだ」と、彼は現在の悩みを素直に吐露した。
不調から抜け出すため、彼は今週、愛用するテーラーメイド「スパイダー」のサイトライン(構える際の目印)を、これまでの直線から「ドット(点の列)」に変更するという微調整を行った。
「時には、気分を変えるために違った見え方をするものが必要になるんだ」と語るフリートウッド。
「以前は何百種類ものパターを試したものだけど、それでも何が見つかるか分からない。(ここ1年は同じものを使っているけど)今でも色々と打ってみて調整するのが好きなんだ」

このパターのサイトラインを変えたと話したトミー・フリートウッド(写真は25年ツアー選手権、撮影/岩本芳弘)
圧倒的な実績を持つ王者でさえ、1ミリの感覚にこだわり、試行錯誤を繰り返す。その泥臭い執念と遊び心こそが、彼をトップに留まらせている要因なのだろう。
フランキー君の挑戦と、サンアントニオの夜
会見では、次週に控えたマスターズと、8歳の愛息フランキー君の話題で彼の目尻は大きく下がった。オーガスタ名物のパー3コンテストでキャディを務める予定の息子は、なんと自ら「池越え」のショットを狙っているというのだ。
「息子が池を越えられるとはとても思えないんだけど(笑)、本人は絶対にできると信じきっているんだ。まあ、良いショットを打ってくれればそれでいいよ」
【動画】25年インディア選手権で優勝した父トミーに駆け寄る愛息フランキー【DPワールドツアー公式インスタグラム】
世界一厳しいコースに挑む前に見せた、ひとりの父親としての優しい素顔だった。
また、今週は会場近くでNBAサンアントニオ・スパーズの試合を観戦し、怪物ビクター・ウェンバンヤマのプレーに「彼は歴史的な偉大な選手になる要素をすべて備えている」と大興奮したエピソードも披露した。
悩みと試行錯誤を抱えながらも、家族との時間を楽しみ、リラックスした表情を見せる王者フリートウッド。テキサスの風を味方につけ、スッキリとした最高の状態でオーガスタへと向かうことができるか、彼のパッティングの転がりに注目したい。
