日本勢5名が出場する「オーガスタナショナル女子アマチュア(ANWA)」。世界のトップアマ72名が集うこの大会は、マスターズ開催を翌週に控えたオーガスタナショナルGCをプレーできるスペシャルな機会として、全世界の女子アマチュアゴルファーが憧れる大会だ。その予選ラウンドの2日間が終了した。

難コース「チャンピオンズ・リトリート」での戦い

予選の舞台となったのは、オーガスタナショナルGCから車でほど近い場所にある「チャンピオンズ・リトリート」。ジャック・ニクラス、アーノルド・パーマー、ゲーリー・プレーヤーというレジェンドたちが設計した3つの9ホールからなるこのコースは、一筋縄ではいかない高い戦略性誇る。

画像: 予選ラウンドの舞台、チャンピオンズ・リトリート

予選ラウンドの舞台、チャンピオンズ・リトリート

今年、日本からは5名の選手がこの大舞台に挑んだ。廣吉優梨菜岩永杏奈長澤愛羅後藤あい、2021年大会の覇者である梶谷翼という、今の日本女子アマ界を代表する面々だ。

しかし、土曜日に行われるオーガスタナショナルGCでの決勝ラウンドに進めるのは、予選30位タイまで。2日間の激闘を終え、通算4アンダー・14位タイの長澤愛羅、通算1アンダー・29位タイの廣吉優梨菜の2名が、大舞台への切符を手にした。

「コースが難しかったけどノーボギーでよかった」(長澤愛羅)

日本勢トップで予選を通過したのは長澤愛羅。特に風が吹き、グリーンのスピードが増した2日目のプレーは見事。多くの選手が伸び悩む中、2バーディ・ノーボギーという堅実なゴルフを展開した。

「今日は本当に難しかったです。風もあって、グリーンも速くて。この2日間は今まで経験したことがないことを経験できていると思います。そんな中、2バーディ・ノーボギーで回れたのは良かった。特に後半は耐えるゴルフでしたけど、パットが良く入ってくれて救われました」

画像: 終始安定したショットと微妙な距離のパットを確実に沈め、スコアをまとめた長澤愛羅

終始安定したショットと微妙な距離のパットを確実に沈め、スコアをまとめた長澤愛羅

そう淡々と語る長澤だが、内面では予選カットラインに対して、ナーバスになっていたという。

「課題はメンタルですね。今日も予選通過を意識して結構緊張してました。そうは見えないってよく言われるんですけど(笑)。最終ホール(パー5)もチャンスから3打目を寄せきれませんでした。バーディが欲しかったですけど……メンタルが弱いなぁと思いました」

反省を口にする一方で、彼女の強みはその気負いのなさにある。オーガスタナショナルGCという、ゴルファーなら誰もが憧れる場所に対しても、驚くほど自然体だ。

「オーガスタナショナルでの決勝ラウンドは、上位を目指して頑張りたいなと思うんですけど……テレビとかまったく見なくて。マスターズもちょこっとぐらいなので、コースの印象がほぼないんです。でも、すごく仕上がっているんだろうな、とは思っています。ショットもいい感じなので、このまま行ってくれればいいなと」

長く指導を受けている重田栄作コーチには、スウィング動画を送ってチェックを受けているという。

「いい感じだと言ってもらっているので、自信をもっていきたい」と語る彼女に、マスターズ開催コースへのプレッシャーは感じられない。

練習ラウンドでオーガスタの名物であるパー3コンテストのコースも回れると水を向けるが、「そうなんですね。でも(その存在を)全然知らないです(笑)」と屈託なく笑う。この自然体が、オーガスタ攻略において最大の武器になるのではないかと期待せずにはいられない。

プロが語る「日本勢苦戦の理由と真の実力」

一方で、最強の布陣と目された日本勢が2名の通過に留まったことは、この大会のレベルの高さと、特有の難しさを示している。

今回、現地で取材にあたっている横田英治プロ(2025年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞)は、コースコンディションと、遠征に伴う障壁について、次のように分析している。

画像: 横田英治プロ。ゴルフダイジェスト・アワード2025で「レッスン・オブ・ザ・イヤー」を受賞。岸部桃子ら女子プロを指導するとともに、会員制ゴルフサロン「CLUB HOUSE」を主宰

横田英治プロ。ゴルフダイジェスト・アワード2025で「レッスン・オブ・ザ・イヤー」を受賞。岸部桃子ら女子プロを指導するとともに、会員制ゴルフサロン「CLUB HOUSE」を主宰

「コースは一筋縄ではいかないという印象です。特に2日目はグリーンのピン位置が常に厳しい位置に切られている印象でした。ちょっと逃げただけでグリーンの傾斜に持っていかれて、超ロングパットが残るピンチを迎えてしまう。ベスポジから打って3パットのボギーというシーンを何度も目にしました。グリーンも硬いですし、日本の女子ツアーではなかなか見かけないセッティングです」

横田プロによれば、技術以外のコンディション面でのハンディも大きかったという。

画像: 残念ながら予選突破はならなかった岩永杏奈。横田は「ボールコンタクトの良さなど、高い技術力を持つ」と言う

残念ながら予選突破はならなかった岩永杏奈。横田は「ボールコンタクトの良さなど、高い技術力を持つ」と言う

「やはり時差ぼけ対策など、現地に慣れるためのコンディション作りが難しい面は否めません。また、予選の2日間が予想以上に暑く、後藤選手は軽い熱中症にも見舞われました。体力的に非常に厳しい状況だったはずです」

しかし、横田プロは決して日本勢のレベルが劣っているわけではないと断言する。

「一方で、技術的には日本人選手はまったく引けをとらないどころか、海外の選手に比べて洗練されていて、逆に海外選手のゴルフが大雑把に感じるほどです。改めて日本人選手のレベルの高さを感じました。が、それが必ずしもスコアにつながらないのがゴルフの面白い所でもあります。ただ、コンディションが整えば日本人選手は絶対に上位で戦える。それは、今USLPGAで腰を据えて戦っている先輩たちが証明しています。予選突破した長澤選手、廣吉選手には大いに期待したいです」

金曜日の練習日を経て、土曜日の「オーガスタ」決戦へ

金曜日は、予選を通過した選手もそうでない選手も、全員がオーガスタナショナルGCをプレーできる。これは大会の特徴であり、出場選手全員への最大のギフトだ。そして土曜日、選ばれし29位タイ(32名)によるオーガスタナショナルGCでの1日のみの決勝ラウンドが行われる。

1アンダー・29位タイで予選を突破した廣吉優梨菜は、勝負強さに定評がある。カットライン上での通過は、裏を返せば失うもののない強みとなるだろう。

画像: 最終ホールのバーディで予選通過を決めた廣吉優梨菜

最終ホールのバーディで予選通過を決めた廣吉優梨菜

長澤愛羅は「ショットもいい感じなので、このまま行ってくれればいい」と、あくまで自分のスウィングを信じて戦う。コースへの先入観がないからこそ、目の前の一打をシンプルに対処し、オーガスタの罠をかわしていく。そんなプレーで目の肥えたギャラリーを唸らせてほしい。

コンディションが整えば、日本の技術は世界に通用する。それを証明する最高の舞台が整った。土曜日、難コース・オーガスタに日本の若き力がどう立ち向かうのか。週末の上位のリーダーボードに、彼女たちの名前が刻まれるのを期待したい。

PHOTO/YoshihiroIwamoto


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