ネバダ州ラスベガスのシャドークリークで開催されたLPGA「アラムコ選手権」は、極限のサバイバル戦となった。硬く締まったグリーンと予測不能な風が世界トップクラスの選手たちを苦しめる中、日本勢が見事な奮闘を見せた。山下美夢有が通算1アンダーで単独4位に食い込み、岩井明愛が通算イーブンパーで5位タイ、そして畑岡奈紗が通算2オーバーで9位タイと、難攻不落のリーダーボードのトップ10に日本人選手が3人も名を連ねたのだ。彼女たちはいかにして、この残酷なまでのコースセッティングに立ち向かったのか。

岩井明愛が見つけた攻略の糸口

大会を通じて選手たちを最も苦しめたのは、ボールを弾き返す硬いグリーンだった。最終日に「71(1アンダー)」という見事なチャージを見せ、通算イーブンパーの5位タイに食い込んだ岩井明愛は、ホールアウト後のインタビューでその過酷さを生々しく証言している。

「私の意見としては、グリーンが本当に一番難しかった。とても硬くて、たとえ良いショットを打てたとしてもボールが止まってくれないんです」

完璧な距離感で放たれたアイアンショットでさえ、容赦なく奥へとこぼれていく。そんな絶望的な状況の中で、岩井はどのようにして最終日のビッグスコアに辿り着いたのだろうか。その鍵は、極限状態だからこそたどり着いた「無心」の境地にあった。

画像: 「無心」という境地で最終日をラウンドした岩井明愛(写真は26年ダイキンオーキッドレディス、撮影/岡沢裕行)

「無心」という境地で最終日をラウンドした岩井明愛(写真は26年ダイキンオーキッドレディス、撮影/岡沢裕行)

「昨日は頭で考えすぎてしまって、どうしていいか分からなくなっていました。でも今日は、もうあれこれ考えるのをやめたんです。ただ自分のスウィングにだけ集中することにして、あとは楽しもう、と」

風を読み、傾斜を計算し尽くしても報われないコースに対する、ある種の開き直り。考えすぎることをやめ、研ぎ澄まされた自分のスウィングだけを信じ抜いた結果が、最終日の見事な「69」というスコアに直結したのである。

山下美夢有のスタッツが物語る「正確性」

一方、日本人トップとなる単独4位(通算1アンダー)でフィニッシュした山下美夢有の戦いぶりは、残されたスタッツがその凄まじさを雄弁に物語っている。

メジャー級の難セッティングにおいて、山下は4日間トータルでフェアウェイキープ率80.4%(45/56)という数字を叩き出した。コースの罠に嵌まるリスクを極限まで排除し、常にフェアウェイからグリーンを狙う徹底したマネジメントを完遂した証である。

【動画・約20分】アラムコ選手権最終日ハイライト。山下美夢有のパッティングを多く収録【LPGA公式YouTube】

画像1: Condensed Rd 4 presented by SHI | Aramco Championship www.youtube.com

Condensed Rd 4 presented by SHI | Aramco Championship

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さらに特筆すべきは、総パット数「106」という圧倒的な少なさだ。パーオン率こそ52.8%(38/72)と厳しいコースの洗礼を受けたものの、グリーンを外した際のアプローチの精度と、グリーン上での勝負強さが完璧に噛み合っていたことがわかる。ボールを止めるのが困難なシャドークリークにおいて、アプローチで確実に寄せ、1パットで凌ぎ切る。山下は持ち前の圧倒的な「技術」と「正確性」で、このモンスターコースをねじ伏せてみせたのだ。

過酷な環境であればあるほど、プレーヤーの真の底力が試される。世界最高峰の舞台で見せつけた日本勢の誇り高きサバイバル劇は、今後のメジャー大会に向けて日本のファンに大きな期待とワクワク感をもたらしてくれた。


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