
ホールインワンを達成し、午前組トップの6アンダーでホールアウトした水田竜昇
オフの特訓が実を結んだ、完璧な「4番アイアン」のライン出し
ハイライトは13番(209ヤード・パー3)で訪れた。実測で210ヤード弱、風はアゲンストというシビアなシチュエーション。ここで水田が手にしたのは4番アイアン(ピン「i240 アイアン」)だった。
「普通に打つと220ヤードくらい飛んでしまうんですが、アゲンストだったので5番アイアン(ピン『ブループリントT』)では届かないかなと思って、4番で少し左からカット目にラインを出すような感じで打ちました。ショット自体が100点、イメージ通りでした」
放たれたボールはピンへ一直線に向かった。「自分でも『筋ってるな(ピンに絡んでいるな)』というのは分かったんですが、入ったところは見えなくて。ギャラリーの歓声で気づきました」と満面の笑みを見せる。
実はこの「風の中でラインを出すアイアンショット」こそ、水田がオフに徹底的に取り組んできた課題だった。「中途半端な距離でもしっかりラインを出す練習をしてきて、その成果がドンピシャで出ました」と胸を張った。
「浮かれて落としたらダメ」直後も冷静にスコアを伸ばす勝負強さ
人生で4回目、ツアーでは初となるホールインワン。前回エースを達成したのは3年前のプロテスト2日目で、その勢いのまま見事合格を果たしているという水田にとっての「吉兆」のサインだ。
エース達成により、指定外ホールインワン賞として東建コーポレーションから賞金30万円と多度温泉レジデンス新館の宿泊券10万円分が贈られたが、水田の凄みはその直後の冷静さにあった。
「ホールインワンで盛り上がった後にスコアを落としてはダメだと思い、一度気持ちを切り替えました」
言葉通り、続く14番では「5、6メートルある2段グリーンの下から、勢いのまま入った」とバーディを奪取。さらに17番(パー5)でもきっちりと寄せてバーディを追加した。朝イチの1番ホールこそボギーとしたものの、その後は「チャンスにつけたら決める」という静かで盤石なゴルフを展開し、一気にトップへと駆け上がった。
原点の地で魅せる!実家は「ふぐ屋」の飛ばし屋
愛知県小牧市の実家から車で45分かけて通う地元プレーヤーの水田。ヘッドスピードは53〜54m/sを誇り、恵まれた体格を持つ彼の力の源は意外なところにある。「実家が飲食店(ふぐ屋)なので、小さい頃からよくふぐを食べさせてもらいました。同年代の誰よりもふぐを食べてきたと思います」と笑う。
埼玉栄高校から中部学院大学を経てプロの世界へ飛び込んだが、ゴルフの原点はこの「東建ホームメイトカップ」だった。
「4歳くらいから父親の影響でゴルフを始めましたが、初めてプロの試合を見に来たのがここ(東建多度CC)でした。僕がまだ小学生の時、石川遼さんがプロデビューした年(2008年)で、それを見て『プロになろう』と決心したんです」
憧れの石川遼とはまだ面識はないというが、自身の夢が始まった原点の大会に主催者推薦で出場し、初日トップに立ったという事実は、何かの運命を感じさせる。
ギアチェンジがもたらした安定感。いざ、下剋上へ
今季はドライバーを今年モデルのピン「G440K」に変更。「飛距離は若干落ちましたが、ミスをしたくないので。持ち球がフェードなので左へのミスを消すという意図があり、真っすぐフェアウェイキープできるほうが大事」と、飛距離一辺倒ではないマネジメントに徹する大人のゴルフを手に入れた。
「応援してくれている人の前で(エースを)入れられたのが一番良かった。せっかくのチャンスなのでもちろん優勝を目指しますが、気負いすぎず、普段通りのプレーを心掛けてあと3日間頑張りたいです」
地元ギャラリーの声援と、たっぷり食べてきた“ふぐパワー”を味方に。冷静沈着な26歳のダークホースが、国内開幕戦で痛快な下剋上ドラマを予感させている。
