2026年のマスターズは2日目が終了した。通算2アンダーで決勝ラウンドへ駒を進めた松山英樹。首位を独走するローリー・マキロイとは10打差という大きな開きがあるものの、現地オーガスタの空気は、単なるスコアの数字だけでは語れない熱を帯びている。現地で取材を続ける2025年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞の横田英治プロは、世界のトップランカーたちが松山に向ける「畏敬の念」を肌で感じていた。

松山英樹「いいゴルフをし続けるだけ」

後半にスコアが動く出入りの激しい展開となった1日を振り返り、松山は自身の現状を冷静に見つめていた。

「まあ、いいのか悪いのかっていう感じですね。パットが入って、スコアを伸ばす方に流れを持っていきそうな感じもありながら……。まあ、そういう感じになりそうなところで、ミスしてしまったって感じですかね」

9番ホールで左の林にティーショットを入れながらも、見事に奪ったバーディについては、「いいバーディだったと思います」と手応えを口にしたものの、その後のチャンスを生かしきれなかった展開には悔しさが滲む。

「まあ、11、12番で、バーディが獲れればなって感じだったんですけど。あのショットから考えれば」

画像: 12番パー3では完璧と思われたティーショットが奥のバンカーに

12番パー3では完璧と思われたティーショットが奥のバンカーに

17番でシビアなパーセーブを見せた後の最終18番はティーショットを左に曲げ、懸命にリカバリーするもボギー。「うーん、まあやっぱり、もう少しね……。いいパットも入ってるんですけど、『入ってくれたらな』っていうパットも多かったですし。まあそこは、なんとも言えないですけど」

首位を走るマキロイとの10打差については、「うーん、首位と10打差あるんで。プレッシャーも何もないでしょうね、彼(マキロイ)は」と、相手の優位性を認める発言もあった。しかし、自身のやるべきことは変わらない。「いいゴルフをし続けるだけだと思うんで、頑張りたいと思います」。その言葉通り、ホールアウト後の松山はすぐさま練習場へと向かい、暮れゆくオーガスタで一人球を打ち続けた。

【横田英治の目】世界の強豪がインスピレーションを「受ける」側に

現地で松山選手のプレーを間近に見た横田英治プロは、今の松山が世界ゴルフ界でいかに特別な位置にいるかを語ってくれた。

「今日、松山選手のプレーを間近で見ましたが、結果は2アンダー。本人も言うように、短めのパットを外す場面はありましたが、要所でのミドルパットは決まっていました。あのあたりが噛み合えば、1日5アンダーくらいはいつでも出せる気配が常に漂っています。

らしくなかったのは、世界一とも称される彼のアプローチです。今日は少し距離を残す場面が多かったですね。しかし、ラウンド後も納得がいくまで練習場に残って調整していましたし、彼のことですから週末にはきっちり修正してくるでしょう。

画像: 「その佇まいは『世界のHIDEKI』そのものでした」(横田)

「その佇まいは『世界のHIDEKI』そのものでした」(横田)

ですが、今回私が最も強調したいのは、スコア以上に彼がまとう『空気感』の変化です。トラブルでも慌てず、バーディでも軽く手を挙げるだけで波風を立てない。その佇まいに、私も現地のパトロンから『HIDEKI IS GOOD!』という声を何度もかけられました。もはや彼は『日本を代表する松山』ではありません。シェフラー、マキロイ、フリートウッド……といったビッグネームと並び、世界トップの一角として、この歴史ある舞台に完全に『収まって』いる。そんな実感を強く得ました。

画像: 同じ組のコリン・モリカワ、ラッセル・ヘンリーを飛距離で完全に凌駕。アプローチなどはその極意を盗もうとする両者の視線を浴びていた

同じ組のコリン・モリカワ、ラッセル・ヘンリーを飛距離で完全に凌駕。アプローチなどはその極意を盗もうとする両者の視線を浴びていた

それを象徴するのが、予選ラウンドで同組だったコリン・モリカワとラッセル・ヘンリーの動きです。世界の超一流の彼らが、松山選手のスウィングやアプローチをじっと『凝視』している姿を、私は何度も目にしました。一度や二度ではなく、隙あらば彼の技術を学び取ろうとする、強烈な視線でした。もはや松山英樹は、世界の強豪たちに対してもインスピレーションを『与える側』の存在なのだと痛感した瞬間でした。

調子は決して良くないのかもしれません。しかし、オーガスタという聖地を、まるで『自分の庭』のように知り尽くし、落ち着いてプレーする姿は、世界の中で彼がいかに特別な存在であるかを改めて思い知らせてくれました。トップのマキロイとは差がついていますが、決勝ラウンドでオーガスタの風を味方につけた彼がどんなドラマを見せてくれるのか、引き続き追いたいと思います」

PHOTO/Yoshinori Iwamoto


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