
渋野日向子を見守る大ギャラリーに紛れ込んでみた
コースを包み込むギャラリーとの一体感

11番。林からのショットを見守るファン
巻き返しを期して10番からスタートした第2ラウンド。2ホール目の11番でダブルボギーが先行する苦しい立ち上がりとなったものの、16番、折り返しての1番、8番でバーディを奪う意地を見せた。しかし、17番のダブルボギーや2番のボギーが響き、この日はスコアを2つ落としてホールアウト。トータル3オーバーの67位タイとなり、予選カットラインに2打届かず無念の予選落ちとなった。
それでもこの日、渋野の組を包んでいたのは、単なる観戦を超えた「感情の共有」とも呼べる空気感だった。
11番ホールでショットが右の林へ向かうと、観客からは「はぁ……」と大きなため息が漏れる。しかし、そこから何とかグリーンに乗せるリカバリーを見せると、たちまち「おーーー!」という大歓声に変わる。13番ではパットが外れて「切れないか〜」とファンが一緒に悔しがり、16番でバーディを奪うと「ナイスバーディ!!」と周囲が沸き立った。
スタートホール(10番)のティーイングエリアでは、同郷の後輩・佐田山鈴樺に対して「頑張ろっ!」と緊張をほぐすように声をかけ、ギャラリーからの声援を「ナイスショットだって!」と伝える一幕もあった。そうした飾らない振る舞いを見るためか、一緒に帯同するファンからは「やっぱり一目見たいと思うもんね」という声が聞かれた。

【左】渋野日向子 【右】佐田山鈴樺。一緒に回るのはアマチュア時代以来とのこと
結果を求める本人と、勝敗を超えるファン

ファンは、この“しぶこスマイル”が見たくてたまらない
この特異な人気を象徴していたのが、ホールアウト後の光景だ。今回は予選落ちという厳しい結果に終わったにもかかわらず、サイン会には400人超のファンが長蛇の列を作った。スタッフが列を制限せざるを得ない状況の中、渋野は残ったファン全員に最後までサインをして応えた。
試合後の囲み取材では、もどかしい現状に対する本人の責任感がにじんだ。
「自分が下を向いているのがアホらしくなるくらい、皆さんの声援のほうがポジティブでいてくれる。帰り道、マジで泣きそうでした」
早朝の裏街道スタートでも集まってくれるファンに対し、「当たり前じゃない。だからこそ早く結果を出したい」と、涙をこらえて語った。
プロとして結果で恩返しを誓う渋野。一方で、列に並んだファンからは「成績が出ない時もひたむきに頑張る姿が見たい」「たとえ結果が出なくても、笑顔を見せてくれるだけでいい」といった、勝負論とは次元の異なる無条件のサポートの声も聞かれた。
「プロなのだから結果を出して当然」というシビアな視線と、「どんな時でも応援したい」という熱狂的なギャラリー。その両極端なコントラストを生み出し、予選落ちでもこれだけの熱量を作り出せる存在は稀有であることは間違いない。
撮影/大澤進二
