世界ナンバー1、スコッティ・シェフラー。今大会も優勝候補の筆頭に挙げられながら、快走するマキロイとは対照的に、2日目を終えて中団に甘んじている。しかし、ここ聖地オーガスタで2度の戴冠を誇る彼を見ずして帰るわけにはいかない。現地で取材するプロコーチ・横田英治が、改めてシェフラーの「凄み」の正体を探った。

「オーラがない」という先入観が覆された

「本音を言うと、世界ランキング上位勢の中では、あまり好みの選手ではありませんでした。スウィングはお世辞にもカッコいいとは言えないし、生で見ても体こそ大きいけれど、タイガー・ウッズのような威圧感あるオーラは感じられなかった。実は日曜日からオーガスタ入りしていましたが、今日まで彼のことは“放置”状態だったんです」

そう語る横田だが、やはり世界ナンバー1の実力は確かめておく必要がある。2日目のスタートから、シェフラーの組について歩くことにした。

同組はゲーリー・ウッドランドとロバート・マッキンタイア。ともにツアー屈指のボールストライカーだ。しかし、スタートホールの2打目。いきなり横田は衝撃を受ける。

画像: 「オーラがない」という先入観が覆された

「アイアンの打音が、劇的にいいんです。他の2人とは明らかに違う。ボールを芯でコンタクトした時の乾いた高い音と、その直後に芝を薄く削り取っていく音。この2つの音が重なり合って奏でる打球音は、フィールドの中でも頭一つ抜けています」

その驚きは、ドライバーショットでも同様だった。

「テーラーメイドのカーボンフェースは独特の打音が特徴ですが、シェフラーが打つと異質な非常に澄んだ響きになる。アイアンもウッドも、繰り返し見て、聞いて、確信しました。彼は常に最高級の音を奏でる。つまり、世界一の『ボールを芯でとらえる達人』なんです」

この音を聞いて、横田はあるレジェンドの言葉を思い出したという。かつてタイガー・ウッズはこう語っていた。

画像: 芯で打つことの大切さを説くタイガー(2007年撮影)

芯で打つことの大切さを説くタイガー(2007年撮影)

「ヒールに当たってフェアウェイの真ん中へ行った球より、芯に当たって林に入ったボールのほうが、体は喜ぶ」と。

いかに芯を食うことがゴルファーにとって重要か。シェフラーのゴルフは、その本質を体現している。

シェフラーのオーラは弾道に宿っていた

「毎回、寸分違わず芯でとらえられるということは、当然ながら『縦の距離』が乱れません。彼が現在、世界最高のアイアンプレーヤーと称される所以はここにあります。当たった瞬間に距離感が合っている――そんな確信に満ちたインパクトです」

横田は自身の見立てをこう訂正した。

「オーラがないなんて言ってしまいましたが、謝らなければいけません。彼の打球には圧倒的な存在感がある。あの打音を伴う弾道は、強烈なオーラをまとっています。同組の選手たちは、その音を聞かされるだけで威圧感を覚えるはずです」

さらにシェフラーは、現状に満足せずスウィング改造にも取り組んでいる。フェースローテーションを抑え、インパクトゾーンでフェースがスクエアな時間をより長くする試みだ。

「これが完成すれば、目標に向かってさらに分厚く押し出すような、ズドーンと突き抜ける球になるでしょう」

画像: 一時代を築きつつあるシェフラー

一時代を築きつつあるシェフラー

リーダーズボード上ではマキロイの独走を許している。しかし、生のシェフラーが放つ「音」に触れた横田の胸には、シェフラーの凄みが強く刻まれた。

「改めてシェフラーを生で見て、彼の時代はまだ当分続くと感じました」

PHOTO/Yoshinori Iwamoto


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