
ツアー初優勝を飾った石坂友宏(撮影/姉崎正)
稲森佑貴とのプレーオフを2ホール目で制す

稲森佑貴とのプレーオフを2ホール目で制す(撮影/姉崎正)
18番パー4を使ったプレーオフの2ホール目。石坂が新妻・星空(せいあ)さんの目の前で80センチのウィニングパットを沈めた。直前で稲森が1.5メートルのパーパットを外し、決めれば優勝が決定する大事な1打。決め切って悲願の初優勝を成し遂げた瞬間、こみ上げる熱い涙を太い腕でぬぐった。周囲の計らいでゆっくり近づいてきた星空さんをグリーンサイドで抱き締め、2人で喜びを分かち合った。
優勝インタビューではさわやかな笑みをたたえながら話した。
「やっと勝てたという気持もありましたし、そこまで自分自身が苦労したということはないんですけど、今は素直にうれしいです。今日優勝で、自分としてはちょっと遅かったのかという気持もありますけど」
この日は首位に2打差でスタート。4番パー5で2メートルを入れてバーディが先行。いい流れに乗ると6番パー3もティーショットを2メートルにつけてスコアを伸ばした。
折り返し後は10番でボギーをたたいたが、11番で取り返し、16番パー3は3メートルを決めてパーで耐え抜いた。そして迎えた17番パー5。左手前から17ヤードの3打目アプローチを1メートルに寄せてバーディを奪い、先に通算9アンダーでホールアウトしていた稲森に追いついた。
「プレーオフはやってやろうという気持でした。2日目は中止になって残念でしたが、やるべきことをしっかりやった3日間だったと思います」
26歳、プロ転向7シーズン目の初優勝

2019年プロ転向から7シーズン目の初優勝(撮影/姉崎正)
神奈川県横須賀市出身で10歳のときにゴルフを始めた。アマチュア時代は関東アマ優勝、日本オープンローアマなど数々の勲章を手にし、2019年にプロ転向したが、初優勝は遠かった。2020年の「ダンロップフェニックス」では金谷巧実とのプレーオフに持ち込みながら2位。初めて単独首位で最終日を迎えた2025年「ジャパンプレーヤーズ選手権」も4位に終わっていた。この日のプレーオフ勝利は金谷に敗れて以来6年ぶりの雪辱だった。
「(2020年のプレーオフで)勝てたかもしれないけど、勝てなくてよかったという声もいただいた。今回はたくさんのギャラリーの方が残っていただいていたので、後押ししてくれました」

マネジャー兼キャディの星空さんに支えられた(撮影/姉崎正)
新妻が力をくれた。今年の元旦に1年半の交際を経て、マネジャー兼キャディの星空さんと入籍した。アスリートフードマスターの資格を持つ星空さんの手料理は何でもおいしいそうで、何よりの活力源。おまけに「稼がないと食べさせないよ」という愛のムチも入り、それで気合が入るという。
「予選落ちしたらごはん食べさせないよとか言われたりしますけど、自分を応援してくれる一番の理解者です」
昨年93歳で他界した恩師に捧げる初優勝でもあった。10歳のときに地元神奈川県横須賀市内の練習場で出会い、以後ゴルフの手ほどきをしてくれたのが、鈴木隆さんというアマチュアゴルファーだった。
「僕には教えていただくプロがいなくて、僕が勝手に師匠といっているのが鈴木さん。去年の日本オープンのときに亡くなってしまい、すごくショックで。その方がいなかったらゴルフはやっていなかったかもしれないし、その方がいたから今の自分があると思っています。優勝を報告しに行きたいです」
この初優勝でプロゴルファーとしてひとつの殻を破った。
「もっともっと強い選手になりたいです。そして男子ゴルフ界を盛り上げていけるように頑張ります」
26歳の若武者が男子ゴルフの救世主に堂々と名乗りを上げた。
