ゴルフ界で最も神聖と言っても過言ではないオーガスタの最終日、最終組。2026年大会でローリー・マキロイと同組で優勝を争い、通算10アンダーの3位タイでフィニッシュしたキャメロン・ヤング。彼の言葉からは、トッププロ同士のヒリヒリとするような勝負の世界と、そこで目の当たりにした「勝者」の凄みがリアルに伝わってくる。

最終組に「友達ごっこ」はいらない

大観衆が見守る最終組。マキロイとどのような会話を交わしたのかと問われたヤングは、その場のピリついた空気感を隠すことなく明かした。

「会話はほとんどありませんでした。もともと私は多くを語るタイプではないし、彼(マキロイ)も今日は私と話したそうには見えなかった。日曜日のマスターズの最終組です。相手の不幸を祈るわけではないですが、私たちは戦っている。そこで親友になろうとしているわけではありませんからね」

馴れ合いは一切なし。お互いのプレーとプロフェッショナリズムを最大限に尊重するからこそ、彼らはただ沈黙の中で自らのゴルフに没頭した。そこには、メジャータイトルを懸けた真剣勝負にしか存在し得ない、研ぎ澄まされた空間があった。

ショットは完璧。しかしデータが物語る「パットに沈むオーガスタの罠」

ヤングにとって、この最終日は「勝つのに十分なショットを打ち、数打差で勝てるだけのプレーはしていた」と胸を張れる内容だった。実際、バックナインではほぼ毎ホールでバーディチャンスを作り出していた。

彼のその感覚は、スタッツにも如実に表れている。今大会のヤングのパーオン率(グリーンを規定打数内で捉えた確率)は73.61%で、フィールド全体で堂々の4位。ショットのキレはまさしく優勝者のそれだった。しかし、彼を阻んだのは残酷なオーガスタのグリーンだ。

12番、13番、14番、15番、16番……完璧なショットでチャンスにつけながら、パットはカップの縁を舐めるように外れていった。4日間の総パット数は「115」で全体19位タイに沈み、パーオンしたホールの平均パット数も1.76と苦しんだ。ちなみに、優勝したマキロイはパーオン率こそヤングを下回る66.67%だったが、総パット数は全体3位タイの「111」でスコアをまとめ上げている。

画像: 優勝したマキロイに比べ、ショットは良かったがパットが入らなかった(撮影/岩本芳弘)

優勝したマキロイに比べ、ショットは良かったがパットが入らなかった(撮影/岩本芳弘)

「どのパットも、打ち直したいと思うようなものはありませんでした。ただ、入らなかっただけ。ゴルフの『ランダム性』によるものもあります。ウェッジが次々とピンに絡む時もあれば、そうでない時もある。今週はとにかく、パットが決まらない1週間でした」

自分のストロークにミスはない。ショットデータが示す通り、勝つための準備は完全に整っていた。それでも結果が出ない。それがゴルフというスポーツの不確実性であり、マスターズの難しさでもある。

マキロイから間近で学んだ「スコアリング」の技術

パットに泣いたヤングだったが、目の前で偉業を成し遂げたマキロイから、確かなものを学び取っていた。

「彼は素晴らしいプレーヤーです。今週3日間、彼のプレーを見てきましたが、最初の2日間は決してドライバーが真っすぐ行っていたわけではありませんでした。それでも、彼は信じられないようなスコアリング(スコアをまとめる力)を見せたんです」

調子が完璧でなくても、ミスをカバーし、スコアを作っていく。それこそがメジャーで勝つために必要な「スコアリング」の技術だ。ヤングはそれを最も間近で体感した。

「もちろん、結果にはガッカリしています」と本音をこぼすヤング。しかし、彼は力強くこう付け加えた。

「同時に、自分が素晴らしいプレーをし、勝つに十分な力があることを確認できた週として振り返りたいと思います。今回はただ、自分に流れが転がってこなかっただけです」

悔しさを噛み殺しながらも、最高峰の舞台で王者と堂々と渡り合った経験は、キャメロン・ヤングというゴルファーをさらに大きく成長させるはずだ。彼のメジャー戴冠の日は、そう遠くない未来にやってくることだろう。


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