シニアゴルフ界において最も歴史と権威のあるメジャー「全米プロシニア選手権」。日本のゴルフファンにとっては、2013年に井戸木鴻樹が日本人男子として初のメジャー制覇という歴史的快挙を成し遂げた、非常に思い出深い大会でもある。その第86回大会が、フロリダ州ブラデントンのザ・コンセッション・ゴルフクラブで幕を開ける。この大舞台に、日本から宮本勝昌が挑む。第1ラウンドは現地時間の4月16日午後12時46分に10番ティーから、第2ラウンドは午前7時41分に1番ティーからスタート。マイケル・ライト(オーストラリア)、そしてPGAツアーで長年活躍したハリソン・フレーザー(米国)という実力者たちと同組で、難コース攻略の糸口を探ることになる。
画像: シニアメジャーに挑む宮本勝昌(写真は24年東建ホームメイトカップ、撮影/姉崎正)

シニアメジャーに挑む宮本勝昌(写真は24年東建ホームメイトカップ、撮影/姉崎正)

「コンセッション(譲歩)」に込められた伝説

今大会の舞台となるザ・コンセッションゴルフクラブには、ゴルフ史に燦然と輝く美しいストーリーが刻まれている。コース名の由来となったのは、1969年にロイヤル・バークデールで開催された「ライダーカップ」での出来事だ。最終ホールのグリーン上で、ジャック・ニクラスが対戦相手のトニー・ジャクリンの約60センチのパットをコンシード(譲歩)し、ライダーカップ史上初の引き分けをもたらした、あの伝説のスポーツマンシップである。

このコースは、その歴史的瞬間の当事者であるニクラスとジャクリンの共同設計によって2006年に誕生した。何もない林やパルメット(ヤシ科の植物)の群生地から切り拓かれたこの地は、現在ではメジャー大会を開催するにふさわしい、美しくも獰猛なチャンピオンシップコースへと変貌を遂げている。

選手を恐怖に陥れる「魔のグリーン」の正体

今大会の最大の障壁となるのは、間違いなくグリーン周りのセッティングだ。PGAオブアメリカ(全米プロゴルフ協会)のチーフ・チャンピオンシップ・オフィサーを務めるケリー・ヘイグは、コースの危険性をこう警告する。

「ティフ・イーグルのグリーンと、ティフ・グランドのフェアウェイとラフは美しいプレー環境を提供するが、非常に困難なグリーンコンプレックスが待ち受けている。グリーンの中央を狙うのが賢明だ。もし外せば、転がり落ちた先にあるバンカー群が極めてシビアな試練を与える」

メジャー3勝のパドレイグ・ハリントンも、このグリーンの恐ろしさを生々しく証言している。

「ピンから10〜15フィートのわずかなズレが、風のわずかな変化と相まってグリーン外まで転がり落ちる可能性がある。そして、リスクと隣り合わせのチップショットが残されるのだ」

ハリントンはさらに、ここでは技術以上に「結果を受け入れる精神(メンタル)」が不可欠だと語る。理不尽とも思える結果に対しても、心を乱さずに次の一打に集中する強靭な忍耐力が求められるのだ。

「外していい場所」を見極めるアイアン精度

この「魔のグリーン」を攻略する鍵はどこにあるのか。2022年大会覇者のスティーブン・アルカーは「ここでは優れたアイアンプレーヤーでなければならない。いかに自分に良いバーディパットのチャンスを与えられるかが重要だ」と、ショットメーカーが有利であることを強調する。

また、2021年大会を制したアレックス・チェイカも「正しい段(レベル)に乗せなければならない。ショートサイドに外すことだけは絶対に避けるべきだ。すべてがグリーンから10ヤード、20ヤードと転がり去っていくからだ」と語り、徹底したリスク管理と「外していい場所」の選定が勝敗を分けると分析している。

フェアウェイからのショットでさえ、ピンポイントの精度とスピンコントロールが要求されるザ・コンセッション。宮本勝昌は、この極限のターゲットゴルフにどう立ち向かうのか。息を呑むようなアイアンショットの精度と、一打一打のジャッジメントに、日本のファンの熱い視線が注がれる。

※2026年4月15日22時46分、一部加筆修正しました。


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