百戦錬磨の元賞金女王でさえ、自分のスコアに耳を疑った。熊本空港CC(6595ヤード・パー72)で開催中の国内女子ツアー「KKT杯バンテリンレディスオープン」の第2ラウンド、鈴木愛がトーナメントコースレコードを更新し、高橋彩華に並んで首位タイに躍り出た。

天敵コースの攻略法は「無欲」と「信頼」

画像: 最終18番でバーディを決め、ガッツポーズをみせる鈴木愛(撮影/姉崎正)

最終18番でバーディを決め、ガッツポーズをみせる鈴木愛(撮影/姉崎正)

「9アンダーだったことを分かっていなくて、6アンダーぐらいだったのかな、という感じで。9アンダーだったことを知ってびっくりしました(笑)」

スコアカードに刻まれた数字は、なんと「63」。9つのバーディを奪い、ボギーはゼロ。この驚異的なスコアは、見事にトーナメントコースレコードを更新するものだった。通算10アンダーまでスコアを伸ばした彼女だが、そのラウンドの根底にあったのは、意外にもこのコースに対する強い「苦手意識」だった。

実はこのコース、鈴木にとっては「トップ3に入る苦手なコース」だという。(ちなみに他のトップ3は「アクサレディス」の会場・UMKカントリークラブと「NEC軽井沢72」の会場・軽井沢72ゴルフ北コースだそうだ)。その理由は「ドッグレッグが多くて、中途半端なところにバンカーがある」からだ。得意とは言えないレイアウトに対し、彼女はいかにしてコースレコードを叩き出したのか。

画像: 番手選びがかみ合い、グリーン上ではストレスないラウンドに(撮影/姉崎正)

番手選びがかみ合い、グリーン上ではストレスないラウンドに(撮影/姉崎正)

一つ目の要因は、圧倒的なショットの精度とマネジメントだ。難しいピン位置に対し、彼女は「ほぼ真っすぐのラインについてくれた」と振り返る。中途半端な距離が残る場面でも、セカンドショットの番手選びが完璧に噛み合い、徹底してパットが打ちやすいラインへとボールを運び続けた。

そして二つ目の要因が、ベテランの大溝雅教キャディへの「完全な信頼」である。「昨日からチャンスに着いていたけど、全然ライン読めなくて」と明かした鈴木は、パッティングのライン読みを自ら行わず、大溝キャディに託すという決断を下したのだ。自分の感覚が合わないと悟るや否や、素早く人に任せる。無欲の境地とも言えるこの思い切りの良さが、グリーン上でのバーディ量産劇を生み出したのである。

スポンサーへの敬意と、勝負師のプライド

この日、鈴木のウェアは鮮やかな緑色を取り入れたものだった。「今日はしっかり緑を入れた色を入れたいな、と」。大会の冠スポンサーである「バンテリン」のイメージカラーを意識した、トッププロならではの細やかな気配りである。まさに『バンテリン・グリーン』の魔法が、彼女のプレーを後押ししたかのような1日となった。

画像: 自身のブランド「own is Rose」を着用してプレーする鈴木。バンテリン・グリーンでコースレコードをたたき出した(撮影/姉崎正)

自身のブランド「own is Rose」を着用してプレーする鈴木。バンテリン・グリーンでコースレコードをたたき出した(撮影/姉崎正)

これで通算30勝による「永久シード」獲得もいよいよ射程圏内に入ってくるが、本人は「まだ早いですね。残り2〜3試合になったら」と話す。記録や大記録に浮かれることなく、あくまで目の前の1試合に集中する。

最終日は「晴れるとグリーンも硬くなって速くなる。少し難しい方向に行くと自分の苦手な意識が強くなる」と警戒を怠らない。しかし、幾度となく苦手意識を克服してきた彼女であれば、どんなセッティングであっても攻略の糸口を見つけ出すはずだ。無欲の女王が、完全優勝へ向けて最終日のティーグラウンドに立つ。


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