熊本空港CC(6595ヤード・パー72)で開催中の国内女子ツアー「KKT杯バンテリンレディスオープン」。初日「69」、2日目は「65」の猛チャージ。通算10アンダーまでスコアを伸ばし、リーダーボードのトップに躍り出た高橋彩華。今季2勝目も十分に射程圏内に捉える完璧なゴルフに見えるが、ラウンド後の本人の口から飛び出したのは、意外にも苦悩に満ちた言葉だった。

快進撃の裏にある「魔球」の恐怖

「きょうの満足度は80点ぐらいです。たまに出る魔球が不安なぐらいで。きょうも3〜5発ぐらい出ています」

好スコアの裏で、彼女はスウィングの不調と必死に戦っていた。

画像: スウィングの調子はいま一つと話す高橋彩華(撮影/姉崎正)

スウィングの調子はいま一つと話す高橋彩華(撮影/姉崎正)

「今週は左に引っかけですね。それを嫌がった右プッシュも何回かあります」

3番ウッド以下のクラブを持った際、フェースが被って入ってしまうことで生まれる予期せぬ「魔球」。先週の富士フイルム・スタジオアリスでは右へのミス(右ペラ)に悩み、さらに前のヤマハレディースオープン葛城では「かすり右」だったと笑い飛ばすが、本心ではスウィングの不安と隣り合わせのプレーを強いられているのだ。

「お仕事」をかけた切実な戦いとプロの重圧

すでにシーズン序盤で優勝を飾り、シード権争いからは解放されているはずの高橋だが、プロゴルファーが背負う重圧は我々の想像を遥かに超えている。

シーズン序盤での優勝の心境を問われると、彼女は偽らざる本音を吐露した。

「来年もお仕事があるので良かったな、と思います」

華やかな女子プロゴルフ界の第一線で戦うトッププロであっても、毎年のようにシード権(来年の出場権=お仕事)を確保できるかどうかの不安に苛まれている。「毎年ありますよ。ナーバスになっています」という言葉からは、結果がすべての厳しい勝負の世界で生き残るための、極めて切実なリアルが伝わってくる。

全米女子オープンへの渇望と成長への欲求

しかし、重圧から解放された彼女の視線は、すでに海を越えた遥か先の世界へと向けられている。今大会が終わった翌月曜日に控えているのは、「全米女子オープン」の予選会だ。

「近々の目標は全米女子に出場です! 賞金がすごいじゃないですか〜!(笑)」

高橋は直球すぎる表現で周囲を笑わせた。たしかに海外メジャーの賞金額は破格だ。もし出場権を獲得し好成績を収めれば、さらなるメジャー出場への道も開けてくる。だが、彼女が海外メジャーを渇望する理由は、単なる金銭的なモチベーションだけではない。

「海外メジャーへの憧れはありますね。日本では見れない刺激がいっぱいあるので、より自分を成長させるためには行きたいですね」

他の日本人選手たちが次々と海外メジャーで優勝や上位争いを演じることが「当たり前」になりつつある昨今。「みんながそういう感じで頑張っているので、自分もそうなれば」と、刺激を受け、自らをさらに高みへと引き上げようとする強い向上心がそこにはある。

「明日は色んな意味で大事になると思います。ティーショットがしっかり決まるか、ですね」

不安を抱えるティーショットを克服し、「魔球」を封じ込めることができるか。プロとしての重圧を跳ね除け、大きな野望に向かってクラブを振る高橋彩華の最終日に注目したい。

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