ラームが見せつけた絶対的強さと「最多16冠」
最終日、単独首位からスタートしたジョン・ラームのゴルフには一切の隙がなかった。後続の追撃を許さぬ完璧なプレーを展開し、ボギーフリーの「64」をマーク。終わってみれば通算21アンダーまでスコアを伸ばし、2位に6打差をつける圧勝劇を見せつけた。
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x.comこの勝利により、ラームはLIVゴルフ移籍後に獲得した通算トロフィー数(個人・チーム合計)を「16」へと伸ばした。これで、トップ争いを繰り広げているブライソン・デシャンボー(15冠)を抜き、LIV史上単独トップに立った。さらに、彼がキャプテンを務める「レギオンXIII」も、チームスコア通算45アンダーを叩き出し、2位のファイヤーボールズGCに9打差をつける圧倒的な強さで今季チーム初優勝を飾っている。
師弟関係とLIV史上初の「ポディウム・スイープ」
ラームの圧勝以上に会場を熱狂させたのは、LIVゴルフ史上初となる「同一国出身選手によるトップ3独占(ポディウム・スイープ)」だ。2位にはダビド・プイグ、3位にはホセレ・バレスターと、スペインの次世代を担う若き才能たちがラームの背中にピタリと続いたのである。
アリゾナ州を拠点とするラームとプイグは、普段から同じコーチ(デイブ・フィリップス)やトレーナー(スペンサー・テイタム)のもとで汗を流す、いわば同門の兄弟弟子のような関係にある。プイグは「僕ら3人がトップ3に入るなんて最高だ」と喜びを爆発させ、「ジョンとは週に4、5日は一緒にプレーしたりトレーニングをしていて、多くのことを教えてくれる。彼が近くにいてくれるのは僕にとって本当に素晴らしいことなんだ」と、同郷の偉大な先輩への深い感謝を口にした。
ラームもまた、後輩の躍進に目を細める。「妻や子供よりも彼(プイグ)と一緒に過ごしているかもしれない。彼が上位に来るのは全く驚きではない」と語り、その高いポテンシャルを以前から確信していたようだ。
ホセレ・バレスターの「爆発力」と登場曲のドタバタ劇
単独3位に食い込んだ22歳のバレスターに対しても、ラームは「爆発力がありながら、性格的には非常に落ち着いている稀有な存在」と最大級の賛辞を贈る。そんな実力と落ち着きを兼ね備える彼だが、LIVゴルフならではの派手な演出には少しばかり翻弄されたようだ。
彼の所属するファイヤーボールズGCでは、今大会からチームメイト同士で1番や18番のティーグラウンドで流れる「登場曲」を選び合うという試みを導入した。ルイス・マサベオがバレスターに選んだのは、なんとWingが歌うオペラ調カバーの『Dancing Queen』という風変わりな選曲だった。
しかし、彼が3位タイで最終18番のティーグラウンドに立った際、DJの機転によって別の曲が流された。「ひどい曲だったから、最後の最後でその曲がかからなくて本当に良かったよ」と笑顔で語るバレスターの姿は、LIV特有の和やかでエンターテインメントに溢れた空気を象徴していた。

LIVゴルフ・メキシコシティで優勝したジョン・ラームと2位のデビド・プイグ(右)、3位のホセレ・バレスター(左)。全員スペイン人だ(提供/LIVゴルフ)
圧倒的なカリスマで若手を牽引するジョン・ラームと、その背中を追って急成長を遂げるスペインの若武者たち。所属チームの垣根を越えて織りなすスペイン勢の快進撃は、無敵艦隊のごとく、LIVゴルフにおける新たな黄金時代の幕開けを予感させた。
