ジーノ・ティティクルの「純粋な抹茶と自転車」
現在世界ランキング1位のジーノ・ティティクル。彼女は今大会に向けて、前週のJMイーグルLA選手権をスキップし、コーチとマンツーマンで調整を行ってきた。
そんな彼女の朝の日課は「抹茶」だ。「毎朝、練習に行く前に自分で抹茶を点てるの。シロップも何も入れない、純粋な抹茶よ」と、渋い趣味を明かしてくれた。
さらに、彼女にはもう一つの息抜きがある。大会の賞品として届いた「自転車」だ。キャディとコーチが悪戦苦闘しながら自転車を組み立てている様子を、彼女は動画で撮って楽しんでいるという。

ジーノ・ティティクル(写真は24年シェブロン選手権、撮影/岩本芳弘)
もともとこの自転車は、彼女がランニングをする際、走るのが嫌いなマネジャーにラクに伴走してもらうために用意したものだった。しかし彼女は今、苦労して組み立てている彼らに対し、「完成したら、やっぱり私が乗るからあなたが走ってね(笑)」と冗談を飛ばしてからかっているという。天真爛漫なジーノらしいお茶目な素顔と、チームの和やかな雰囲気がうかがえる。
チャーリー・ハルの「インテリアデザインと闘争心」
一方、飛ばし屋のチャーリー・ハルは、現在フラストレーションを抱えている。ケガの影響で、彼女が大好きなジムでのハードなトレーニングが8カ月間もできていないからだ。
「ジムに行けないせいで少し落ち込んでしまう」と語る彼女が、代わりのドーパミン源として熱中しているのが「自宅の改装(インテリアデザイン)」だ。もしプロゴルファーになっていなければインテリアデザイナーになりたかったと語るほどで、業者に相談せず、すべて自分でデザインを決めているという。 「今週は、ベッドルームのベッドの足元にバスタブを設置してもらう予定なの。高級ホテルのような最高に素敵な空間にするつもりよ!」と、彼女は嬉しそうに語る。

チャーリー・ハル(写真は24年シェブロン選手権、撮影/岩本芳弘)
しかし、そんな優雅な私生活とは裏腹に、コース上での彼女は生粋の勝負師だ。「バーディ合戦は退屈」「(今大会のように)ロングアイアンが求められ、ショットを創造する芸術のようなゴルフが好き」と語り、さらに「後ろから追いかける展開が大好きで、相手をハンティング(ストーキング)するのがすごく楽しい」と野性的な闘争心をむき出しにする。優雅な家づくりを楽しむ素顔と、コース上でのハンター気質の強烈なギャップが、彼女の魅力と言えるだろう。
ネリー・コルダの「究極の達観メンタル」
圧倒的な実力を誇るネリー・コルダだが、本人は自身の性格を「少しシャイで内向的」だと分析している。それでも、ファンとの繋がりを大切にする彼女は、SNSを「VIPサブスクリプション」のような場として捉え、ユーモアのある素顔を見せるよう心がけているという。
そんな彼女が、コース上でのメンタルコントロールのお手本(ロールモデル)としているのが、テニス界の二大巨頭だ。元全豪オープン覇者の父・ペトルをはじめ、母や弟もプロテニス選手という“テニス一家”で育った彼女にとって、他競技であっても彼らの存在は大きな指針となっている。

ネリー・コルダ(写真は24年シェブロン選手権、撮影/岩本芳弘)
「ラファエル・ナダルのように、どんなに苦しい時でも決して諦めず、エンターテイナーとして情熱を燃やす姿勢。そして、ロジャー・フェデラーのように、どんなプレッシャーの中でも常に冷静で、優雅に宙を舞うように振る舞うこと。この二つを融合させたメンタルが私の理想よ」
さらに彼女は、究極に達観した思考も持ち合わせている。「天候も他人のスコアも、自分がコントロールできないことは一切考えないようにしている。もし難しい状況になっても、途中でコースから歩き去るわけにはいかないのだから、自分で解決するだけ」と言い切り、圧倒的な強さの裏にあるクールで地に足のついた思考法を明かした。
Z世代アマチュアの「イマドキな息抜き」
トッププロたちのリフレッシュ法とは対照的に、今大会にアマチュアとして出場するファラ・オキーフ(テキサス大)の息抜きは非常にイマドキだ。週末の夜に自宅でキャディや弟、地元の友人とオンラインゲーム『フォートナイト(Fortnite)』をプレーすることでストレスを発散しているという。
「私はチームの中で一番下手で、みんなの足を引っ張っているの。大抵いつも最初にやられちゃう」と笑いながら語る彼女。メジャーという大舞台のプレッシャーの中で戦う彼女との強烈なギャップが、なんとも微笑ましい。

26年シェブロン選手権で優勝候補の3人(ジーノ・ティティクル、ネリー・コルダ、チャーリー・ハル)
抹茶、こだわりの家づくり、達観したメンタルコントロール、そしてオンラインゲーム。それぞれが独自の方法でメジャーの重圧をコントロールし、最高のパフォーマンスを発揮しようとしている。彼女たちがコース上で見せる笑顔の裏には、こうした巧妙なセルフコントロール術が隠されているのである。
