11番ホールのイーグルが生んだ爆発的な勢い
初日のフォアボール(各自が自分のボールをプレーし、良いほうのスコアを採用するベストボール方式)で、彼らは「61」というビッグスコアを叩き出し、首位と3打差の6位タイという見事なスタートを切った。その快進撃の口火を切ったのは、インスタートの彼らにとって2ホール目となる、11番ホールだった。

PGAツアー出場3戦目の25年「バンク・オブ・ユタ選手権」で初優勝を飾ったマイケル・ブレナン(PHOTO/Getty Images)
ブレナンはラウンド後の公式会見で、「11番ホールでイーグルのロングパットが決まったのを見られたのは最高だった。あれが本当に良いスタートのきっかけになった」と興奮気味に振り返っている。出だしの10番ホールでは互いに平凡なウェッジショットにとどまっていただけに、「あそこで早い段階で勢いに乗れたのはとてつもなく大きかった」と、このイーグルがチームに与えた推進力の大きさを語った。
相棒を救うための「泥まみれの強行突破」
波に乗る彼らだったが、ラウンド中には個人のストロークプレーでは決して見られないような劇的なドラマが待っていた。18番(インスタートで9ホール目)で、ブレナンの放った2打目がハザード(池)に捕まってしまうという絶体絶命のピンチを迎えた。通常であれば、無難にペナルティを払ってドロップを選択する場面だ。
しかし、ブレナンは泥まみれになることを覚悟の上で、ハザード内から強行突破で打つという極めてリスキーな選択を下したのである。なぜ彼はそこまでしてリスクを冒したのか。ブレナンはその時の複雑な心理状態をこう明かしている。
「もしこれが個人戦なら、間違いなくドロップしていただろうね。でも、ジョニーがバーディパットを残していたんだ。だからこそ、チームのためにトライする価値があると思った」
自分のスコアが犠牲になり、泥だらけになろうとも、パートナーのチャンスを最大限に活かすための泥臭い決断。これこそが、チーム戦の真髄である。なお、キーファーのバーディパットは外れて、このホールパー。
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x.com互いを尊重し合う「究極のチーム愛」
ラウンド後、ブレナンはロッカーへ直行して泥を洗い落としてから会見場に姿を現したという。その相棒の献身的な姿に対し、キーファーは深い感謝の意を口にした。
「彼がそこまでしてくれたことは、本当にデカい」

25年コーンフェリーツアーの年間最優秀選手賞と最優秀新人賞を同時受賞したジョニー・キーファー(写真はソニーオープン・イン・ハワイ、撮影/岩本芳弘)。同一年に同時受賞は18年のイム・ソンジェ、19年のスコッティ・シェフラーに続く3人目の快挙
言葉数は少なくとも、その一言にはパートナーへの絶対的な信頼とリスペクトが凝縮されていた。キーファー自身も会見で「マイク(ブレナン)がショットをピンポイントで打ってくれたおかげで、僕はただリラックスして素晴らしいゴルフを見るだけだった。チャンスの時にチップインできたのも良かった」と語り、互いの長所を引き出し合う関係性を強調している。
11アンダーというスコアを記録した彼らだが、その戦略は意外にもシンプルだ。「今日の戦略は、まるで自分自身のボールだけをプレーしているかのように振る舞い、相手のプレーをあえて気にしないことだった。そして、ホールの最後で拳を突き合わせるんだ」とブレナンは語る。過度な干渉を避け、互いのプレースタイルを完全に尊重し合うことで、結果的に最高の相乗効果を生み出したのだ。

マイケル・ブレナン(左)とジョニー・キーファー(右)
若き才能が融合し、相棒のために泥まみれになることも厭わないブレナンとキーファーのコンビ。1つのボールを交互に打つ2日目のフォアサムでも、この強固な絆を武器にどのような旋風を巻き起こすのか。彼らが魅せるアグレッシブで泥臭いチームゴルフから、明日以降も絶対に目が離せない。
