1年以上にわたる極秘プロジェクトと「ホームチーム」への愛
マクラーレンとのタッグは、決して突然の思いつきではない。「実は1年以上前からこのプロジェクトに関わってきた」とローズは明かす。
「エンジニアリングチームをサポートし、一番最初のモデルのテストから参加してきたんだ」
彼にとってマクラーレンは特別な存在だ。自宅がマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)からわずか20分の距離にあり、「F1の観点から言えば彼らは僕のホームチームなんだ」と語る。今週はF1マイアミGPも開催されており、熱心なゴルファーでもあるF1ドライバーのランド・ノリスやマクラーレンCEOのザク・ブラウンとも友人であるローズにとって、大きなシナジーを生む完璧なタイミングでの発表となった。
なぜ今、クラブを変えるのか? 2019年の教訓と「リスク軽減」
近年の好調ぶりを考えれば、あえて未知のクラブに変更するリスクを疑問視する声もあるだろう。ローズといえば、2019年に日本の「本間ゴルフ」と大型契約(期間は2年)を結んだものの、約1年半で契約解消に至った苦い過去がある。しかし、彼は今回の決断に絶対の自信をのぞかせる。
「これまで自分にとって完璧なセットを使えていたわけではなかった。特定のメーカーに縛られない(ブランド・アグノスティックな)期間を経たことで、自分自身の『好みのリスト』が明確になったんだ。その好みをすべて一つの場所に持ち込み、形にしてくれる環境を見つけた。だからこれはリスクではなく、リスクを軽減するための決断なんだよ」
さらに彼はこう続ける。
「2019年にも一度こういう経験をして、あのプロセスから多くを学んだ。だから今はこの道をより良い立場で進めていると感じる。すでに練習場のデータ上でも以前のクラブを上回るパフォーマンスが出ているんだ」

マクラーレンゴルフのキャディバッグ&クラブとともに撮影に応じるジャスティン・ローズ(撮影/岩本芳弘)
投入される2つのアイアン「1s」と「3s」
今週のバッグに入るのは、4番アイアンからピッチングウェッジまで。彼がテストしているのは2つのモデルで、上級者向けブレードの「1s」と、ミッドハンデ向けの「3s」である。
「『3s』はロングアイアンとして非常に優れたパフォーマンスを発揮しているので、バッグに入れないわけにはいかない」とローズは語り、現在は5番アイアンをブレードの「1s」にするか、「3s」にするかの最終調整を行なっている段階だという。
なお、マクラーレンゴルフは大量生産の大手メーカーを目指しているわけではなく、6000〜8000セット規模の限定的な生産で、ハイエンドかつハイパフォーマンスなカテゴリーを狙うという。車好きのイアン・ポールターもすでにクラブのテストに関心を寄せており、ローズと連絡を取り合っているとのことだ。
ゆくゆくはパターも含めてバッグ全体を手がけたいというローズ。「自分のアイデアを優れたエンジニアたちに託せるのは本当に楽しい」と語る彼とマクラーレンの新たな挑戦が、ゴルフ界にどんな旋風を巻き起こすのか。マイアミの地で、新たな歴史がスタートする。
