キャディと共有した「アグレッシブなマインドセット」
この日のラウンドを終えたスピースは、「非常に素晴らしいスタートだった」と明るい表情で振り返った。彼が記録した「65」というスコアは、2025年の「ウィンダム選手権」第1ラウンドに並ぶ、彼自身の直近のベストスコアでもある。
好スコアの裏には、ラウンド中にキャディであるマイケル・グレラーと交わした戦略的な意識改革があった。スピースは近年、序盤で良いスタートを切りながらも、難コースを前にしてその勢いを維持できないトーナメントがいくつかあったと自己分析している。そこで彼は、ラウンド中にキャディへある提案を持ちかけた。

ジョーダン・スピースと彼のキャディ、マイケル・グレラー(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ、撮影/岩本芳弘)
「マイケルに『新しい目標を設定しよう。最初からやり直すつもりで、アグレッシブに攻めよう。ホールの難しさを見るのではなく、バーディを獲るためのホールとして見るようにしよう』と言ったんだ」
難関ブルーモンスターを前にしても、守りに入るのではなく、常にチャンスを探り続ける攻撃的なマインドセット。このポジティブな意識の切り替えが、スピースに最後まで隙のないゴルフを展開させる原動力となった。
状況を見極めた「的確なコースマネジメント」と「ギアの大幅変更」
スピースの好発進を支えたもう一つの要因は、コースコンディションに対する冷静な見極めだ。彼は「毎日7アンダーを出せるとは思っていないが、スタート時に風が穏やかだったため、アドバンテージを取るには良いタイミングだった」と語る。さらに、「グリーンは十分に柔らかく、それほど速くなかったため、ティーからボールをコントロールできていれば、チャンスを作れる状態だった」と、コースが与えてくれた隙を確実に突いたことを明かした。
ドラルをプレーするのは、火曜日にバックナインを回り、水曜日にプロアマ戦に出場したのに続いて3日目。その印象についてスピースは「極端にトリッキーではない」と語る。
「重要なのは、練習場で何を優先すべきか、1週間を通じてどのようなショットが本当に必要になるかを認識することだった。ここでは他の多くの場所よりも長いアイアンを打つ機会が多い。だから、バッグの上のほう(長い番手)のクラブのコントロールを良くすることを優先してきたし、今日はそれができた」
実はこの「長い番手のコントロールの向上」には、明確な裏付けがある。スピースはここ1年半ほど、アイアンショットのスピン量が多すぎてショートしてしまう問題に悩んでいた。そこで今週の大会から、スピン量を抑えるためにボールを「プロV1 レフトダッシュ」に変更し、さらに新しいドライバー(GTS 2)と3番ウッドを投入するという、大幅な「ギアの変更」に踏み切っていた。このボール変更という決断が、ロングアイアンの精度の高さに見事に直結したと言える。
勢いを取り戻すために
初日のラウンド中、彼にとって大きかったのは13番ホールでのプレーだ。「(一般的に簡単なはずの)フェアウェイど真ん中からの追い風のサンドウェッジよりも、なぜかこの4番アイアンのほうが打ちやすく感じた。ゴルフというのは本当に不思議なものだ 。あそこはまさに『拾い物(コースから1打を奪い取ったようなもの)』だった。おかげで、再び勢いに乗ってギアを上げ直すきっかけになったよ」と振り返る。
【動画・約8分】スピースが「拾い物だった」と話す13番のティーショットは05:07~【PGAツアー公式YouTube】
Jordan Spieth's best opening round since 2023 | Round 1 | Cadillac Championship | 2026
www.youtube.com「目の前にボールを置き続けることが、残り3日間の鍵になる」と語るスピース。キャディと共有した攻撃的なマインドセットと、冷静なコースマネジメント、そして新兵器の恩恵が噛み合ったとき、この男がどれほど強いかを世界は知っている。復活の狼煙を上げたスピースが、マイアミの地でさらなる飛躍を狙う。

