メキシコのエル・カマレオンGC(6583ヤード・パー72)で米国女子ツアー「リビエラマヤオープン」が開幕した。温暖な気候と海風が交差する美しいリゾートコースで、初日に主役の座を射止めたのは、今年がルーキーイヤーとなるメラニー・グリーンだった。彼女はこの日、6アンダーの「66」をマークし、堂々の首位タイ発進を決めた。しかし、彼女のラウンドを何よりも特別なものにしたのは、15番ホール(パー3)で飛び出した「見えなかった」ホールインワンと、キャディとの間で繰り広げられたコミカルなやり取りだった。

ルーキーの快進撃と、15番ホールでの完璧な一振り

今季LPGAツアーに参戦し、着実に実力をつけているグリーンは、この日、自身のフロントナイン(コースのバックナイン)で「30」という驚異的なスコアを叩き出し、一気にリーダーボードを駆け上がった。ラウンド最初の9ホールで「30」以下を記録したのは、今季のLPGAツアー全体でわずか4人目という快挙である。公式記録によれば、これは彼女のツアーでのハーフベストスコアでもある。さらに、ラウンド終了時点でルーキーが首位に立つのは今季2人目というおまけつきだ。

そんな絶好調のラウンドのハイライトは、163ヤードの15番ホール(パー3)で訪れた。グリーンが手にしたクラブは7番アイアン。放たれたボールはピンへ向かって真っすぐに飛んでいった。彼女自身も「オーケー、素晴らしいショット。完璧だわ」と確信するほどの手応えだったという。

「恥ずかしい、アプローチしなきゃ」勘違いから始まった焦り

普段であれば、ショットの後にパターを受け取ってグリーンへと歩き出す場面だ。実際、グリーンは手応えの良さからすでにパターを手にして歩き出していた。

しかし、近づくにつれて異変に気付いた。グリーン上に自分のボールが見当たらないのだ。完璧なショットだったはずが、グリーンをオーバーしたのか、それとも手前の見えない場所に落ちたのか。「歩きながらグリーンを見て、『ボールがない!』と思ったんです」と、グリーンは会見で笑いながら振り返った。

彼女は慌ててキャディのシェーンを振り返り、こう告げた。

「シェーン、パターを片付けて(持っていって)。これは恥ずかしいわ。アプローチ(チップショット)をしなきゃいけないみたい。だからパターは下げて」

まさかのグリーン外しに焦りを感じながら、彼女はグリーンに上がって自分の作ったピッチマークを直し始めた。すると、カップの中を覗き込んだシェーンから、信じられない言葉が飛び出したのだ。

「意地悪言わないで!」キャディとのユーモラスなやり取り

「『あそこに(同伴競技者の)ボールが2つあるよ』って彼が言うんです。私は『はあ?』って思いました」

シェーンはそのままカップに歩み寄り、「入ってるよ(You made it.)」と告げた。しかし、完全にグリーンを外したと思い込んでいた彼女は、キャディの言葉を冗談だと受け取ってしまった。

「シェーン、そんな意地悪言わないでよ。カップになんて入ってないわ。意地悪はやめて」

それでも疑いながらカップへ歩み寄ると、そこには確かに彼女のボールが沈んでいた。

「カップを覗き込んで、ボールのマークが見えた瞬間、本当に大興奮しました。大きく左に外れたと思い込んでいたんですけどね。良いバウンドをしてくれたみたいです」

本人が気づかないうちに達成されていたエース(ホールインワン)。しかもこの一撃は、今季ツアー全体で5つ目のホールインワンとなり、「CMEグループ・ケアズ・チャレンジ」を通じてセント・ジュード小児研究病院へ2万ドル(累計10万ドル)が寄付されるという素晴らしいオマケまでついてきた。「私が行うことで何らかの役に立てるのなら、それは素晴らしいことです」とグリーンは喜びを噛み締めた。

勢いに乗るルーキーが目指すもの

画像: 25年エプソンツアーの年間最優秀選手賞と年間最優秀新人賞を受賞したニューヨーク州出身の24歳、メラニー・グリーン。24年全英女子アマでは28年ぶりの米国人チャンピオンになった(写真/Getty Images)

25年エプソンツアーの年間最優秀選手賞と年間最優秀新人賞を受賞したニューヨーク州出身の24歳、メラニー・グリーン。24年全英女子アマでは28年ぶりの米国人チャンピオンになった(写真/Getty Images)

この日の彼女は18ホール中14ホールでパーオンに成功し、パット数は驚異の「24」。「すべてがカップに吸い込まれていくような日だった」と初日を振り返ったグリーン。下部ツアーであるエプソンツアーから昇格してきた彼女にとって、LPGAツアーはテントの数も、ギャラリーの数も、コースの距離も大きく異なる別世界だ。しかし、「思ったよりも早く適応できている自分が嬉しい」と語る通り、彼女は確実にこの大舞台での居場所を見つけつつある。

キャディとのコミカルなやり取りが生んだ「見えなかった奇跡」のホールインワン。この幸運と勢いを味方につけ、メラニー・グリーンは首位タイという最高のポジションから、残り3日間の戦いに挑む。


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