荒れたティーショットをカバーする「ミスのマネジメント」
「ブルーモンスター」の異名をとるドラルは、わずかなミスが命取りとなる過酷なセッティングで知られている。しかし、ヤングはこの日、決して完璧な状態だったわけではないと自己分析する。
「今日はミスをうまく管理できたし、パッティングが本当に良かった。手にしたチャンスをしっかり活かせたと思う。ひどい当たりだったわけではないが、一日中ずっと良いポジションにいられたわけではなく、ドライバーの調子も驚くほど良かったわけではなかった」
ティーショットが荒れ模様となれば、ドラルでは即座にスコアを落とす危険性が高い。しかし、彼は自らのミスを最小限に食い止める対応力を見せた。
「コースに出れば、困難な場所に打ち込んでしまうこともあると理解しなければならない。ありがたいことに、今日はそれにうまく対処できた。パッティングの調子が良い状態を保てたので、いくつか良いショットを打てばバーディが取れると分かっていた」
不調な部分を好調な部分で補う、トッププロならではの巧みな「ミスのマネジメント」術が光った。

パッティングが好調のキャメロン・ヤング(写真は26年キャデラック選手権初日、撮影/岩本芳弘)
そのマネジメントを可能にしたのが、パッティングの圧倒的なデータだ。初日の第1ラウンドで、ヤングは自身のPGAツアーキャリアで最少となるわずか「20パット」を記録した。さらに第2ラウンドを終えた時点で、パッティングのスコア貢献度(ストロークス・ゲインド:パッティング)は「+5.500」でフィールドトップに立ち、2日間で14個ものバーディを量産している。本人も初日後に「何十億フィートものパットを決めた気分だ」とジョークを飛ばすほどの絶好調ぶりだ。
現在彼がいかに「ゾーン」に入っているかを示す、象徴的なエピソードがある。この日の13番ホールでのパットだ。ヤング自身、「打った直後、半分くらい転がったところで(ラインを読み違えたと思い)心底ウンザリした」と振り返る。ボールは予想より左に6インチ、右に6インチ揺れ動いたが、最後はなぜかカップへと吸い込まれていった。「今日のようにパットの調子が良い日は、あんな風にボールが勝手にカップに転がり込んでくれることがあるんだ」とヤングは笑う。
ドラル史上最大の36ホール・リード
大会の記録によれば、トランプ・ナショナル・ドラルで開催されたPGAツアーイベントにおいて、36ホール終了時点での5打差は、1973年の「ドラル・イースタン・オープン」でリー・トレビノが記録した4打差を塗り替える、同コース史上最大のリード記録となった。
歴史的なリードを手にしても、ヤングのメンタルに慢心は一切ない。圧倒的な優位に立って迎える週末について問われると、彼は特有の冷静な視点で現在の状況を語った。
「4打ビハインドのつもりでプレーする」
「明日スタートする時点で2打差、3打差、あるいは4打差のリードがあるかもしれない。しかし、このコースではそのリードはあっという間に消え去ってしまう。だから、4打差のリードがあるようにプレーする意味は全くない。むしろ、4打ビハインドのつもりでプレーしたほうがいい」
どれほどスコアを伸ばしても、一つのミスで大叩きを誘発するブルーモンスターの恐ろしさを、ヤング自身は理解している。「午前中にスタートしてスコアを大きく伸ばす選手が必ず出てくる。その覚悟をしておかなければならない」と、後続の猛追を警戒する姿勢を崩さない。
その言葉通り、現在5打差で追うジョーダン・スピースは、「週末はさらに風が強くなる。ヤングの13アンダーはすでに優勝スコアかと思うほど低いが、アンダーパーで回り続ければ何が起きてもおかしくない」と、逆転のチャンスを虎視眈々と狙っている。
驚異的なパッティングと冷静なコースマネジメントを武器に、若き大砲が週末のドラルに挑む。歴史的リードを守り切り、シグネチャーイベントのビッグタイトルをその手に掴むことができるのか。独走態勢に入ったキャメロン・ヤングのプレーから目が離せない。
