「世界で一番ゴルフが好き」――。満面の笑みでそう言い切る菅沼菜々が、新規大会の初代女王として歴史に名を刻んだ。「NTTドコモビジネスレディス」最終日、単独首位から出た菅沼は、2番から3連続バーディを奪うなど後続を突き放し、通算18アンダーをマーク。2位に5打差をつける圧倒的な強さで、今季初優勝を飾った。

「プロの中で一番」と断言するゴルフ愛と、地獄のオフが生んだ飛距離

画像: オフシーズンはもちろん、シーズン中もデッドリフト(背中)のトレーニングも欠かさず行っているという菅沼(撮影/岡沢裕行)

オフシーズンはもちろん、シーズン中もデッドリフト(背中)のトレーニングも欠かさず行っているという菅沼(撮影/岡沢裕行)

今大会、菅沼のプレーで際立っていたのは、大きく伸びたティーショットの飛距離だ。

その裏には、父・真一さんが「今年は怪我がなく、かなり追い込めた」と語るほどの、過酷なオフのトレーニングがあった。

静岡での合宿では、10ヤード刻みのショット練習を行い、ターゲットを外せばダッシュを繰り返すという厳しいメニューを自身に課した。さらに重量を増やした筋力トレーニングを毎日欠かさず行い、体重を増やしたことで平均飛距離が約5ヤード向上した。

真一さんも「セカンドが9番や8番アイアンで打てれば、ゴルフは格段に楽になりますよね」と話すように、パワーアップしたスウィングが今大会の独走を支える大きな要因となった。

画像: 17番パー5でも迷わず直ドラで攻めの姿勢を見せた菅沼(撮影/岡沢裕行)

17番パー5でも迷わず直ドラで攻めの姿勢を見せた菅沼(撮影/岡沢裕行)

また、今大会をきっかけに菅沼の代名詞になりつつある「直ドラ」も、迷いなく繰り出された。「上から叩く感じのイメージがあるため、怖さはない」と語る通り、17番(パー5)でも迷わず選択。結果はミスショットとなったが、「チャレンジした自分を褒めたい」と攻めの姿勢を崩さなかった。

ちなみに、「直ドラ」と言えば岩井姉妹を思い浮かべる人も多いと思うが、何の偶然か、直ドラで話題となる菅沼や岩井姉妹は、いずれも埼玉栄高校の出身だ。

「広場恐怖症」と向き合いながら、誰かの光になるために

画像: 公共交通機関などでの移動が困難になる「広場恐怖症」を抱えていることを公表、父の真一さんの運転で移動している(撮影/岡沢裕行)

公共交通機関などでの移動が困難になる「広場恐怖症」を抱えていることを公表、父の真一さんの運転で移動している(撮影/岡沢裕行)

菅沼は以前から、公共交通機関などでの移動が困難になる「広場恐怖症」を抱えていることを公表している。優勝後のインタビューでも、自身の病気について真摯に語った。

「私が活躍することで、同じ病気で悩んでいる方が頑張ろうと思えたり、実際に電車に乗って応援に来てくれたりする。自分が頑張ることには大きな意味があると思っています」

アイドルグループ・乃木坂46の大ファンであり、オフにはライブに足を運ぶことが大きなモチベーションになっているという彼女。「ライブの思い出を振り返りながら18番を回っていた」と笑う姿は等身大の26歳だが、ゴルフへの情熱は誰よりも熱い。

「プロゴルファーの中で、自分が一番ゴルフが好きだと言い切れます。練習もトレーニングも、ゴルフが好きだからこそサボらずに頑張れました」

奇跡のチップインが引き寄せた栄冠

画像: チップインバーディを獲った後には大歓声が響き渡り、菅沼自身もジャンプして喜んでいた(撮影/岡沢裕行)

チップインバーディを獲った後には大歓声が響き渡り、菅沼自身もジャンプして喜んでいた(撮影/岡沢裕行)

混戦が予想された最終日、菅沼の勝利を決定づけたのは13番パー4でのチップインバーディだった。「大きな泥がボールについていて、どうしようかと思った」という絶体絶命の状況から、56度のウェッジで放った一打は、鮮やかにカップへと吸い込まれた。「あれは本当に奇跡だった」と振り返る一打が、勝利の女神を完全に引き寄せた。

「常に優勝争いができるような、本当に強い選手が理想です。これからも自分を信じてプレーしたい」

ゴルフを愛し、ファンを愛し、そして自分自身の可能性を信じ抜いた菅沼菜々。1年ぶりに掴んだこの勝利は、彼女が歩んできた努力の道が正しかったことを物語っていた。

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