先月の「マスターズ」で史上4人目の連覇を果たしたローリー・マキロイが、今週の「トゥルーイスト選手権」でPGAツアーの戦線に復帰する。舞台は、彼が過去4度の優勝を誇り、圧倒的な相性の良さを見せるノースカロライナ州のクエイルホロークラブ(7583ヤード・パー71)。絶対的な本命がどのような状態で“第2の庭”に戻ってきたのか。その充実したオフと、コース攻略に向けた最新のクラブセッティング、そして彼を包囲するライバルたちの声に迫る。

マスターズ連覇からの帰還。娘ポピーちゃんとの微笑ましい日常

クエイルホロークラブは、マキロイのキャリアを語る上で欠かせない場所だ。2010年にPGAツアー初優勝を飾ったのを皮切りに、2015年、2021年、2024年と、実に過去4度もこの大会を制覇している。さらに、この難関コースにおける18ホールの最少スコア記録「61」を保持しているのも彼自身である。

画像: リラックスした表情で練習ラウンドに臨むローリー・マキロイ(撮影/岩本芳弘)

リラックスした表情で練習ラウンドに臨むローリー・マキロイ(撮影/岩本芳弘)

マスターズ連覇という偉業を成し遂げてから3週間。マキロイはゴルフから少し距離を置き、充実したオフを過ごしていた。その間には、ホワイトハウスで開催された公式晩餐会に招待されて出席するという、トップアスリートならではの華やかな経験もしている。

しかし、どれほど偉大なグリーンジャケットを手に入れても、家庭に戻れば一人の父親だ。「家では娘のポピーが主導権を握っているんだ」とマキロイは微笑む。マスターズ直後の月曜日であっても、ポピーちゃんのテニスレッスンが何よりも優先されたという。世界トップのプロゴルファーでありながら、家族との穏やかな日常を大切にするスタンスが、彼のメンタルを極めて健全な状態に保っていることは想像に難くない。

新3Wの投入と、ごまかしのきかないコースへの警戒

心身ともにリフレッシュして臨む今大会だが、マキロイはコース攻略に向けてクラブセッティングに繊細な変更を加えている。年初に使用していた「Qi4D」の3番ウッドは、左へのミス(フック)が出やすい傾向があった。そこでマスターズでは「Qi10」に戻して優勝したものの、今度はスピン量が約2700回転と少なく「ミニドライバーのようだった」と話す。そこで今回、テーラーメイドの担当者に別のオプションを依頼。その結果、「Qi4D」だが左へのミスが出ず、求めていた約3200回転の安定したスピン量が得られる新しい3番ウッドをバッグに投入した。

この調整は、クエイルホローというコースの特性を深く理解しているからこその決断である。マキロイは今週のセッティングについて「純粋な実行力(技術)のテストになる」と表現した。

「悪いショットを打てば、それはすぐにスコアに直結する。ここでは誤魔化しがきかないんだ」

過去4勝を挙げている相性抜群のコースであっても、決しておごることはない。シビアなグリーンや深いバンカー、そして「グリーンマイル」と呼ばれる過酷な上がり3ホールを攻略するには、1打1打の高い精度とスピンコントロールが必要不可欠だ。

データが証明する第2の庭、ライバルも脱帽する「異次元のドライブ」

彼がこのコースをどれほど圧倒しているかは、PGAツアーの公式データ(ShotLink)を見るとさらに明確になる。

クエイルホローでのマキロイの通算スコアは「99アンダー」を記録。これは2位のフィル・ミケルソン(69アンダー)を大差で引き離し、圧倒的な1位だ。グリーンマイルの入り口である16番ホールで放った350ヤード超えのドライブは実に「25回」(2位は10回)、さらに2010年以降にグリーンマイルで奪ったバーディ数は全選手中トップの「20個」と、まさに異次元の数字を残している。

ライバルたちも、このコースでのマキロイの強さには脱帽するほかない。現在世界ランク3位のキャメロン・ヤングは、「最大の理由は彼のドライビングにある。他の選手が越えられないバンカーを越えられ、他の選手には使えないアングルで攻めることができる。また、ここのグリーンは硬くなるが、彼は他の誰よりもボールを高く打ち出し、短いクラブでピンポイントに止めることができるんだ」と的確に分析する。

さらに、世界ランク10位のザンダー・シャウフェレに至っては、マキロイの強さについて記者から問われると、「思い出させてくれてありがとう。やっと(2年前に逆転負けしたショックから)立ち直ったところだったのに(笑)」と冗談交じりに答えた上で、「彼はほとんどのホールでドライバーを打つし、大抵の場合それが彼のバッグの中で最高のクラブなんだ。キャリーで330ヤード飛ばせるのは素晴らしいことだ」と、その圧倒的な飛距離と精度を手放しで称賛した。

雪辱に燃える最強の刺客と、大会5勝目への予感

そんな自虐交じりの称賛を贈ったシャウフェレだが、彼こそが今大会における「打倒マキロイ」の最強の刺客となるかもしれない。シャウフェレ自身もクエイルホローを得意としており、2023年、2024年の同大会で2年連続の準優勝を果たしている。とくに2024年大会では、初日から3日目まで単独首位を走りながら、最終日にマキロイに逆転されたという強い因縁がある。なお、このコースで「優勝なしの複数回準優勝」を経験しているのはシャウフェレを含めて4人しかおらず、彼にとって今大会はまさに悲願の「雪辱戦」となる。

現在のシャウフェレは、今季PGAツアーで最長となる「5ラウンド連続の60台」を継続したまま今週を迎えている。直近6戦中5戦で12位タイ以上の成績を収めており、好調ぶりがわかるだろう。

しかし、マキロイにもさらなる好材料がある。今年のクエイルホローは非常に乾燥しており、グリーンが硬く、ラフが少し短い状態だ。マキロイはこれについて、「今年のコースは、前回優勝した2024年のコンディションに非常に似ている」と不敵な笑みを浮かべた。

マスターズ連覇の称号を引っ提げ、コースに合わせた新兵器を手にしたマキロイと、雪辱に燃える最強の刺客たち。相性抜群のクエイルホローで、前人未到の大会5勝目へ向けて、役者は完全に揃っている。


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