メジャー級の難関「マウンテン・リッジCC」の脅威
今年の大会は、昨年の会場(リバティー・ナショナルGC)から舞台を移し、ニュージャージー州の「マウンテン・リッジ・カントリークラブ」で開催される。練習ラウンドを終えたティティクルは、この新しい会場について強い警戒感を示した。
「キャディとも意見が一致したんだけど、ここは去年よりもずっと難易度が高い。まるでメジャー大会のコースを回っているような感覚よ」
特に彼女が警戒しているのは、グリーン周りのシビアさだ。
「すべてのホールで、グリーンを奥にこぼしてしまうと急な下り坂に落ちてしまい、そこから寄せるのは非常に難しい。だからこそ、絶対にカップの手前(下)にボールを置くことが攻略の鍵になるわ」と、コース全体に潜む罠を慎重に見極めている。
実際、コースの難しさはデータにも表れている。2021年に同コースでLPGAツアー(ファウンダーズカップ)が開催された際、選手たちのフェアウェイキープ率は79%と高かったにもかかわらず、パーオン率(レギュレーションでグリーンに乗る確率)はわずか49%にとどまった。今大会の「Aon Risk Reward Challenge」対象ホールである17番ホールに象徴されるように、グリーン面は奥から手前に向かって強く傾斜しており、フェアウェイからのショットでさえグリーンに弾かれる、まさにメジャー級のセッティングなのだ。

セッティングの厳しさを会見で述べたジーノ・ティティクル(写真は25年ホンダLPGAタイランド、撮影/姉崎正)
絶対女王への敬意と「ゴルフに任せる」達観したメンタリティ
現在、LPGAツアーは世界ランキング1位のネリー・コルダが圧倒的な強さで支配している。ディフェンディングチャンピオンとして、あるいは前世界ランキング1位の実力者として、彼女に対抗する重圧はないのだろうか。
その質問に対し、ティティクルは素直な称賛の言葉を口にした。
「彼女(ネリー)は信じられないようなゴルフをしているわ。だから、彼女が世界ランク1位に戻ってきたのは完全にふさわしいことよ」
そこには、嫉妬や焦りは微塵もなく、同じプロフェッショナルとしての純粋なリスペクトだけがある。
「私はプレッシャーは感じていない。自分の仕事をするだけよ。上手くいかない日もあるのがゴルフだから」
23歳とは思えないほど落ち着き払ったその言葉の背景には、直近での葛藤と気づきがあった。実は彼女は最近、自分のスウィングをいじりすぎて悩んでいたという。会見の2日前にコーチに不満をすべて打ち明けたところ、コーチから「頑張りすぎないこと。もっとゴルフに任せなさい(try less and then let's golf be)」とアドバイスされたと明かしている。この「無理にコントロールしようとしない」という境地が、現在の達観したプレーにつながっているのだ。
次世代へ繋ぐ「楽しむこと」の意義
プロとジュニアが同組でプレーする今大会の独自の意義についても、彼女はディフェンディングチャンピオンらしい風格で語った。
同伴する後輩たちに対し、彼女は「とにかく楽しんで。アマチュアのあなたたちには失うものは何もないのだから、気楽に楽しいゴルフをしてほしい」とアドバイスを送る。
さらに会見では、「昨日、憧れのロールモデル(プロ)に優しくされて泣いてしまったジュニアの女の子がいたと聞いたわ」と嬉しそうに披露した。この大会がいかに次世代に影響を与え、夢を育んでいるかを象徴するエピソードだ。
難関コースの脅威にも、絶対女王の存在にも揺るぐことのないジーノ・ティティクル。己のゴルフと静かに向き合い、次世代にも温かい目を向ける若き王者が、マウンテン・リッジCCで大会連覇という高い壁に挑む。
