自ら監修し改修中の琵琶湖カントリー倶楽部三上コースを視察するため、レジェンド、グレッグ・ノーマンが来日。世界143コースにデザインの印を刻んできた「ホワイト・シャーク」が、自身の設計モットーである「最小限の影響範囲(ディスターバンス)」や、特定のシグネチャーホールを認めない独自の美学、そしてゴルフ界の未来について熱く語った。今回は週刊ゴルフダイジェスト5月26日号に掲載されている内容を、「みんゴル」で一部抜粋してお届け。

ゴルフ界のキーマンを直撃 グレッグ・ノーマン

画像: 現在も引き締まった体形を保つノーマンはコース設計で世界を駆け巡っている。また6年後に控えた故国オーストラリアのブリスベン五輪でも重要な役目を担う

現在も引き締まった体形を保つノーマンはコース設計で世界を駆け巡っている。また6年後に控えた故国オーストラリアのブリスベン五輪でも重要な役目を担う

ゴルフダイジェスト(以下・GD) コース設計に興味を持ち、実際にこの仕事に携わられたのはいつ頃でしょうか。

グレッグ・ノーマン(以下・ノーマン)  ゴルフコースのデザインというものに最初に興味を持ったのは、1980年代初期のことです。それからただコースを眺めるだけでなく、注目し始め、気がついた時には当時著名だった設計家、テッド・ロビンソンのもとで設計およびコンサルティングの業務に夢中になりました。※テッド・ロビンソン 米国のコース設計家。池や小川など多用し、リゾート系コースの設計が多く、ハワイのコオリナGCが代表作
 
その後もツアーのプレーヤーとして試合に参加しながら、コースデザインのことについて熟考を重ねる日々が続きました。そして「ゴルフコースとはこうあるべきだ」との自分なりの設計者像が見えてきまして、1980年代半ばにコースデザインの道を志すと決め、本格的に事務所を立ち上げました。

GD これまで世界各国でどれくらい設計または改修の仕事をされていますか?

ノーマン 世界で143コース、大地にデザインの印を刻んできました。現在22のコースの設計契約が済んでいて、そのうち12コースが建設中です。

GD 具体的には世界のどの国が多いのですか。

画像: 世界を巡るノーマンの設計モットーとは

世界を巡るノーマンの設計モットーとは

ノーマン 故国であるオーストラリア、中東、それから東南アジア、南アメリカ、カリブ海の島々、最近ではメキシコと足を運んでいます。なかでも14年前から訪れているベトナムについては感慨があります。設計したコースの10コースが営業していて、ベトナムの国として観光業の中心になりそうな勢いです。
 
この14年間で観光業の収益が倍増していると。この道を開いたとして、今回、ベトナム観光大使に任命されました。これは私の誇りとすることです。今、世界で一番注目されているゴルフのマーケットがベトナムなんです。それに少しでも寄与できたのは、私の喜びとするところです。

GD 核心に入っていきます。あなたのコース設計に対しての、モットー、哲学を教えてください。

ノーマン 一言で言うなら、「最小限の“影響範囲”のなかで、コース造成および改修する」ということですね。

GD もう少し具体的に教えていただけますか?

画像: 「地形を生かす。18ホールすべてがスペシャルです」(ノーマン)

「地形を生かす。18ホールすべてがスペシャルです」(ノーマン)

ノーマン コース造成に関していえば、動かすのは最小限の土量、面積、なるだけ現在の地形を生かす。改修もそれまでの原設計は生かし、芝をめくる範囲を必要以上に広くしないということです。これを最小限のディスターバンス(影響範囲)と言いますが、これによってコストが抑えられます。
 
これまで私が世界で143コース造成・改修したと言いましたが、予算オーバーしたのはそのうちの1カ所だけ。あとは予算内で収まっています。これは設計者として誇りにしていいと思います。

GD 設計に臨む際、優先するものを挙げてもらえませんか。

ノーマン その質問に答えるのは難しいですね。なぜならそれぞれのプロジェクトの条件が違うからです。例えば、国、文化、土地が山岳地か海岸沿いか、それから気候、風土の違いもあります。それに市場性も個別的です。最後は開発するクライアント(デベロッパー、オーナー)の求めるものによって優先すべき事柄が決定されると思います。

GD これまでにはどういう要求がありましたか?

ノーマン 今まで携わったなかで多かったのは、PGAツアーのような大きなトーナメントを開催するコースに仕上げてくれというもの。でもトーナメントは365日のなかの1週間にすぎません。残りの358日は一般のプレーヤー、もしくはメンバーのためのコースだと。だから1週間のためだけのコースを造るのは反対だと思っていると、自分の意見は述べてきました。
 
納得してくれるオーナーもいましたし、あくまでトーナメント用のコースにしたいというクライアントにはそのようにしてきました。設計家として、難しいコースを造るのは実は簡単なんですよ。一番難しいのは、あらゆるゴルファーがいかに楽しめるかという部分です。

画像: シェイパーやコース側幹部と細部の確認作業。コースの改修とは、一度造ったら終わりではない、完璧に向けて再修正が必要ということなのだ

シェイパーやコース側幹部と細部の確認作業。コースの改修とは、一度造ったら終わりではない、完璧に向けて再修正が必要ということなのだ

GD 今回、改修を手掛けた琵琶湖CC三上コースを視察されていかがですか。シグネチャーホールはどこでしょうか。

ノーマン 具体的にはまだいくつかの手直しが必要だと思います。コース外周以外にOBがあるのは解せません。それにランディングゾーンがティーイングエリアから見えないホールは是正することになります。
 
また琵琶湖コースもそうでしたが、一番注力したのはグリーンです。グリーン面だけでなく、グリーンの外周、バンカーも含めて画期的な改修・変革ができたと思います。フェアウェイについてもほとんど土量を動かさずに、刈り込みラインを変えただけなのに印象ががらりと変わりました。今回の改修成果だと思っています。
 
琵琶湖CCオーナーが求めているのは各ホールに景観美の特徴があり、かつ飽きないこと(ショットメイキング)。それに応えられる自信はあります。シグネチャーホールがどこかという質問ですが、そのシグネチャーホールという概念を私は認めていませんから答えられません。18ホールすべてでシグネチャーホールを造るというのが私のモットーですから。

GD 日本特有の2グリーン制についての見解は?

ノーマン ダブルグリーンというのは世界のどこにもありません。季節による芝の耐久性など、いろいろ理由はあったと思います。しかし現在は芝の品種も改良されて、夏に強い芝種もできているので、2グリーンから1グリーンへと移行していくと思いますし、そうなるべきです。2グリーンはメンテナンスコストを上げているので、コストダウンにもなりますからね。

取材・文/古川正則(特別編集委員) 
撮影/宮本卓

※週刊ゴルフダイジェスト5月26日号「グレッグ・ノーマンインタビュー」より

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2グリーン制への提言で終わった今回。しかし「シャーク」の独白はここからさらに加速し、彼がリスペクトする伝説的設計家や「世界の至宝」と称える名門コースの真髄を明かしている。さらに2032年ブリスベン五輪への決意や、1977年の日本での初優勝が「世界ランキング1位」への原点だったという、ファン垂涎の秘話も披露。そして、ゴルフ界を震撼させたLIVゴルフの契約を終えた今、彼が唯一抱く心残りとは。設計家として、そして変革者として語り尽くした「シャークの哲学」の全貌。続きは週刊ゴルフダイジェスト5月26日号、Myゴルフダイジェストにて掲載中!

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