過去に大会4勝を誇り、相性抜群のクエイルホロークラブで「トゥルーイスト選手権」を迎えたローリー・マキロイ。しかし、世界中の期待を背負ってティーオフした王者は、最終的に通算19位タイという彼にしては不本意な成績で大会を終えることとなった。次週に今季メジャー第2戦「全米プロゴルフ選手権」を控える中、何が彼を苦しめていたのか。そして、メジャーに向けた彼の視界はどのように開けているのか。王者が直面した思わぬトラブルと、冷静な自己分析に迫る。

右から左の風で直す「左へのミス」と王者のメンタリティ

最終日のラウンド後、マキロイは歩く際に少し足を引きずるような仕草を見せていた。実は大会中、彼の右足の小指の爪の下にマメができており、金曜日の午後から痛みを抱えながらプレーを続けていたのだ。しかし、このマメが成績に影響したかと問われた彼は、笑いながら「それが(不調の)言い訳になればよかったんだけど、絶対に違うよ」と語り、肉体的なトラブルを不調の理由にすることを完全にはねのけた。

画像: 一方向の風ばかりだとそれに対して体が反応してしまうと話すマキロイ。左に曲がった球を見に「フォア―」の声を上げる

一方向の風ばかりだとそれに対して体が反応してしまうと話すマキロイ。左に曲がった球を見に「フォア―」の声を上げる

彼が不調の「本当の原因」として自己分析していたのは、足の痛みではなく、極めて技術的で繊細な問題だった。大会期間中、クエイルホローの練習場には常に左から右への風が吹いていた。マキロイは「左から右への風の中で多くのボールを打つと、少し左を狙うようになり、風に対抗しようとしてインパクトでクラブフェースが少し閉じてしまう」と、スウィングが狂った具体的なメカニズムを解説している。その結果、コース上でも左へのミスという悪癖が顔を出してしまったのだ。

しかし、彼はスウィングの修正を全米プロの週まで先送りにはしなかった。土曜日の夜には練習場で修正に取り組み、最終日のラウンドでは「昨日よりずっとボールを上手く打てた」と語るなど、コース上での高い調整能力を見せている。

日帰りでのアロニミンク視察。全米プロへの備えは万全

王者に焦りはない。彼はすでに、次週のメジャー「全米プロゴルフ選手権」に向けた周到な準備を進めている。実は今大会が開幕する前の水曜日、彼は次週の会場であるペンシルベニア州のアロニミンクゴルフクラブを日帰りで訪れていたのだ。スコアをつけるようなラウンドこそしなかったものの、各ティーからのクラブ選択、ライン、ピン位置を想定したパッティングの確認などを行い、本人曰く「伝統的な練習ラウンドのようなものだった」という。

マキロイは2018年に同コースで開催された「BMW選手権」に出場しているが、「当時はコースが濡れていて、グリーンは今回視察した時ほど速くもシビアでもなかった」と語っている。過去のプレー経験に甘んじることなく最新のコースコンディションを確認した彼は、アロニミンクのコースは全体的に長くないとしつつも、「最大の障壁はグリーンだ。彼ら(主催のPGAオブアメリカ)が望めばピンを非常に厳しい場所に切ることができる」と、極めて厳しいセッティングが待ち受けていることを警戒している。

残された時間は少ないが、彼の道筋は明確だ。まずは自宅のベッドで1泊して心身を休める。そして、左へのミスの癖を完全に矯正する。

「自宅近くのベアーズクラブで、今週とは逆の『右から左へ吹く風』を見つけて数球打てば、たいてい真っすぐに直るんだ」

風で作られた悪癖を、逆の風を利用して相殺するという非常に高度な技術的アプローチである。

画像: マキロイ人気は絶大。そしてマキロイもしっかりと応じながら次のホールへ

マキロイ人気は絶大。そしてマキロイもしっかりと応じながら次のホールへ

足のマメも、左へのミスも、王者にとっては些細な微調整の対象に過ぎない。自らの現在地を完璧に把握したローリー・マキロイは、万全の状態でフィラデルフィアのメジャーの舞台へと降り立つ。

撮影/岩本芳弘


This article is a sponsored article by
''.