「ワールドレディスサロンパスカップ」は河本結が逆転でメジャー初優勝を果たした。「燃える女」の闘志あふれるプレーにギャラリーは大喜びだったが、この大会にはもうひとつの「見どころ」があった。それはプロの試合では異例の98ヤードに設定された15番パー3。アマチュアでもパーを取れそうに思えるホールなのに、フタを開けてみたら鈴木愛のホールインワンはあったものの、ボギーどころか「7」をたたく選手も。とはいえ、注目度も高く、ギャラリーも大喜び。名物ホールとなったツアー史上最短のパー3について、プロやコース関係者に話を聞いてみた。
画像: ツアー史上最短ホール(98ヤード・パー3)となったサロンパスカップ15番(撮影/姉崎正)

ツアー史上最短ホール(98ヤード・パー3)となったサロンパスカップ15番(撮影/姉崎正)

●「選手の技術をたくさん見せてもらうことができた」(プロゴルファー・茂木宏美)

画像: 大会前にコースセッティングについて語った茂木宏美と小林浩美JLPGA会長(撮影/姉崎正)

大会前にコースセッティングについて語った茂木宏美と小林浩美JLPGA会長(撮影/姉崎正)

まずはコースセッティングを担当し「魔のホール」となった15番パー3の仕掛け人・茂木宏美に聞いた。

「選手の技術をたくさん見せてもらうことができて、私自身もすごく感動しましたし、刺激をもらいました。特に1日目と3日目はティーの横でプレーを見られるときもあったのですが、いろいろな技術を見せてくれたので感激しました。わざとヘッドスピードを落としてボールを運ぶような、ウェッジでのフルショットではなく、コントロールショットでしっかりとスピンをコントロールしている選手を多く見かけました。そういう選手は飛ばし屋ではないことが多く、ゴルフの魅力を再認識できました。今回のチャレンジングな試みが、今後のセッティングにつながるような良い経験になりました。ホールインワンも出ましたし、お客さんも『15番を見に行く』と言ってくれる人もいて、本当に良かったです。今後もメリハリを利かせたセッティングを考えていきたいです。選手の14本のクラブの技術を引き出すことはもちろん、選手が今持っている技の引き出しを、お客さんに一つでも多く見せられるようなセッティングを考えていきたいです。すごく良い経験をさせてもらいました」

●「お客さんにレディスティーからの距離を楽しんでもらいたい」(プロゴルファー・細川和彦)

「面白いと思う。今までなかったことだし、ゴルフ場としては名物ホールができたよね。ホールインワンもあったし、池に入れる選手もいたし、98ヤードって短いけど、でも、セッティングによっては難しいんだなということが分かってもらえたんじゃないかな。セッティング担当の茂木プロもそういうところを狙ったと思うし、風がうまく選手の邪魔をしてくれたから、見ている側にとってはより一層面白いホールになった。このホールを作ったときに(2グリーンの)距離が短いほうをA(メイン)グリーンにしたんだよね。通常営業ではレディスティーかな。お客さんには来場したときにサロンパスレディスでプロはここから打っていたんだみたいに楽しんでもらいたいですね」(細川和彦、茨城GC所属プロゴルファー)

●「選手が意図する球を打てればちゃんとご褒美がある」(ツアープロコーチ・大西翔太)

「すごく攻略性があると思いますが、選手が意図する球を打てればちゃんとご褒美があります。短いから簡単というわけじゃないです。それを再認識させてくれるホールですね。右も左もダメだし、ボールがつかまってしまったらバックスピンで手前の池もある。だからといってつかまえにいかずに抜けても池。短いからこそ、素敵なホールになっていたと思います」(青木瀬令奈のキャディを務めた大西翔太、ツアープロコーチ)

●「もう少し厳しいところにカップを切るかなと思って見ていた」(茨城GC支配人・青木則明さん)

「もう少し厳しいところにカップを切るかなと思っていましたが、結構池から(奥に)入っていましたので、いいところに切っていたかなと思います。5年前にコースを改造したときに、メイングリーンとサブを逆にして、18ホールで唯一15番は距離がないほうをメインにしました。それが結果的によかったと思いますね」(青木則明さん、茨城GC支配人、農学博士)

●「よく整備されたコースだからこそできた」(JLPGA元広報委員長・鈴木美重子)

「面白かった。でも、ホールインワンは出ないと思っていたけど。選手にはいろいろな経験の機会を作ってあげるべき。そういう意味では、選手からの(セッティングへの)クレームも私が知る限りはなかったし、今回の試みはよかった。でも、手前に池があって、よく整備されたコースだからこそできたことだと思います」(鈴木美重子、JLPGA元広報委員長)

●「ちょっとカットに、ちょっと抑えめに打ったら、消えた」(プロゴルファー・鈴木愛)

「ちょっと奥めからバックスピンで戻ってきたらいいなというイメージで打ったら、距離がちょっと手前でポンポンって跳ねて、いいところかなと思ったら消えたので、キャーッてなりました。54度の距離なんですけど、スピンがかかりすぎると池に入っちゃうから、それだけは嫌なので、ちょっとカットに、ちょっと抑えめに打ちました」(ホールインワンの鈴木愛)

●「プロレベルならもっとバーディが出るかと思った」(茨城GCメンバー・Yさん)

画像: 名物ホールとなった15番パー3のレディースティー(撮影/姉崎正)

名物ホールとなった15番パー3のレディースティー(撮影/姉崎正)

「レディスのティーだからメンバーの自分はやったことがないです。普通のレギュラーティーは140から150ヤードくらいですね。でも、思っていたよりも面白かったです。プロレベルならもっとバーディが出るかと思ったけど、ダボも出るじゃないですか。初日の渡邉彩香プロのピン奥に着弾して池まで戻った(池ポチャした)のは驚きでしたね」(茨城GCメンバーYさん)

最後に今大会でジュニアレッスン会を行った「レジェンド」宮里藍に感想を聞いた。

●「こういう試合があってもいいな」(プロゴルファー・宮里藍)

「ここまでタフなセッティングも数少ないと思いますけど、私はメジャーだからこそのセッティングで、こういう試合があってもいいなと思いました。最終的には実力のある選手が上にいて、結果的には実力が反映された大会になったと思いますけど、これだけ難しいセッティングだからこそ、最後、あれだけしびれる展開になったと思います」(宮里藍)

今回は選手のプレーだけでなく、ひとつのホール攻略に光が当たったケース。今後も話題性がある面白いセッティングのホールの登場に期待したい。

※15番パー3の4日間の実測距離は初日が91ヤード、2日目が102ヤード、3日目が93ヤード、最終日が89ヤード。4日間トータルの平均スコアは3.0593(初日3.1833、2日目2.9244、3日目3.3939、最終日2.7424)。スコアの内訳はバーディ58、パー254、ボギー41、ダブルボギー12、トリプルボギー3、4オーバー以上2だった。

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