異例の「パー3フィニッシュ」。選手たちの賛否と期待
ツアートーナメントにおいて、最終ホールがパー3に設定されることは非常に稀である。しかし、マケテワCCは、9番が217ヤード、18番が145ヤードのパー3という珍しいルーティングとなっている
。この特徴的なセッティングに対し、トップ選手たちからはコース攻略に向けた様々な声が上がっている。

フィニッシュホールがパー3である今大会を歓迎するチャーリー・ハル(写真は24年シェブロン選手権、撮影/岩本芳弘)
昨年の覇者チャーリー・ハルは、このユニークなレイアウトを大いに歓迎している。
「17番を終えたら、あとは短いホールを歩いてクラブハウスで休めるからね」とユーモアを交えて語りつつ、「神経をすり減らすドライバーショットの心配がなく、クラブ選びだけに集中できるシンプルなパー3だから好きだ」と分析している。
ハルが「世界一、起伏の激しいフラットなコース」と評するように、選手たちは17番までに体力と神経を大きく消耗する。プレッシャーが最高潮に達する最終ホールにおいて、ティーショットの重圧から解放される点は、連覇を狙う彼女にとってポジティブな要素のようだ。
一方で、マケテワCCの名誉会員であり、このコースで100ラウンド以上をこなしてきた地元シンシナティ出身のアレクサンドラ・スウェインは、ショートホールならではの難しさを指摘する。
「ホールインワンが出れば素晴らしいラウンドの締めくくりになる」と劇的な幕切れに期待を込めつつも、「9番はグリーンがほとんど見えず、18番も一目でタフだと分かる難しさがある」と強い警戒感を示している。さらに、下部ツアーでの苦労を経てLPGAの舞台を掴んだ地元オハイオ州出身のジェシカ・ポルバスニクも「9番はかなり長く、プレーされる良いホールだ」と評価しているように、単純な距離の短さだけでは測れない奥深さがこの2つのホールには隠されている。
ドナルド・ロス設計の真髄。勝負を分ける「高速グリーン」
この異例のパー3フィニッシュをさらに厄介なものにしているのが、コースの設計者と極限に仕上げられたグリーンコンディションだ。
マケテワCCは1921年に開場した、名匠ドナルド・ロスの設計コースである。クラシックコース特有の精緻な造形美に加えて、トーナメントウィークのグリーンスピード(スティンプメーター)は、11.5から12.0という高速に設定されている。ただでさえ難しいドナルド・ロスのグリーンが、ガラスのように速く仕上げられているのだ。
ポルバスニクはコースの最大の課題を「グリーン」と断言している。彼女は「アンジュレーション(傾斜)が多いため、できるだけカップの下(手前)につけることが重要になる」と攻略の鍵を明かしており、アプローチやパッティングにおける少しの距離感の狂いが、致命的なミスに直結することを暗示している。
コースを誰よりも熟知しているスウェインも同様に、「下りのパットが非常に速くトリッキーだ」と語り、グリーン上での恐怖を強調する。しかし興味深いことに、スウェインは最終18番のパー3についてのみ、「18番だけは、カップの下につけてはいけない」と、コース全体のセオリーに反する特異な罠が潜んでいることを示唆している。名匠の意図を汲んだ正確なショットと、ホールごとの徹底したマネジメントが要求されるのだ。
ドライバーの飛距離だけでねじ伏せることはできない。名匠ドナルド・ロスが仕掛けた複雑なマウンドと傾斜、そして高速グリーンに対し、アイアンの絶対的な精度とパッティングの繊細なタッチで挑む。異例のパー3フィニッシュで待ち構える罠を潜り抜け、最後に優勝カップを掲げるのは誰か。
「クローガー・クイーンシティ選手権」の特異な舞台設定が、最高にスリリングな週末を約束してくれるはずだ。
