高知県高知市から車で約30分、仁淀川の清流が流れる日高村。この自然豊かな土地にあるグリーンフィールゴルフ倶楽部を舞台に、国内のゴルフトーナメントとしては非常に新しい試みを取り入れた大会が開催されている。男子シニアツアーの特別協力競技として行われている「リョーマゴルフ 日高村オープン」がそれだ。

男女プロの真剣勝負と豪華アマチュアの共演

本大会は、従来のツアートーナメントの枠組みを超えた数々の特徴を備えており、ゴルフ界のみならず地域活性化の観点からも注目を集めている。

大会の大きな特徴は、その変則的かつ挑戦的な開催フォーマットにある。ベースとなるのは男子シニアツアーの大会であるが、ここにJLPGAの女子プロ29名が参加。男子シニアプロと女子プロが同じフィールドで、2日間にわたり同組でラウンドする形式が採用されている。賞金や順位を争う真剣勝負の場で男女が共にプレーする機会は、国内のツアーを含めても極めて珍しい。

さらにフィールドには、アマチュア選手として球界のレジェンドである原辰徳氏や松坂大輔氏も名を連ねている。プロの技術とトップアスリートのポテンシャルが同じ組で交わることで、ギャラリーにとっても見応えのある華やかな顔ぶれが実現した。

地域創生のモデルケースとなる「官民共催」

もう一つの側面が、この大会が「官民共催」という形で運営されている点である。大会の冠スポンサーである株式会社リョーマゴルフの谷本俊雄社長は日高村の出身。谷本社長はこれまでもふるさと納税などを通じて同村との関係を深めてきたが、今回はゴルフを通じた地域創生事業のモデルケースとして、村と一体となったトーナメントの開催へと至った。

画像: 左から、松坂大輔氏、日高村村長 松岡一宏氏、リョーマゴルフ社長 谷本俊雄氏、原辰徳氏(写真/PGA)

左から、松坂大輔氏、日高村村長 松岡一宏氏、リョーマゴルフ社長 谷本俊雄氏、原辰徳氏(写真/PGA)

この地域貢献とジュニア育成への意識は、決勝ラウンドの運営方式にも表れている。決勝日には、地元・高知県内の中学生ジュニアゴルファーがトッププロと同組でラウンドする枠が設けられている。その中には、明徳義塾中等学校で腕を磨く天才少女、須藤弥勒さんの姿もある。プロと同じ緊張感の中でラウンドを経験させる試みは、地域貢献の点でも非常に意欲的だ。

【男子シニア】山下和宏が9アンダーで単独首位発進

大会初日は、好天にも恵まれスコアを伸ばし合う展開となった。その中で男子のトップに立ったのは、9アンダー「63」をマークした山下和宏。バーディを量産した山下は、自身のプレーを次のように振り返った。

画像: 宮本勝昌、片山晋呉らを抑え、トップに立った山下和宏

宮本勝昌、片山晋呉らを抑え、トップに立った山下和宏

「なぜこんなスコアになったか分からないですけど(笑)、いい感じで回れました。前半が5アンダーで、後半の出だしでちょっとミスをしてボギーが出たときは、そこで止まるのかなと思ったのですが、そこからパットが決まってくれて。まだ半分終わっただけなので、決勝に向けてまだ調整します」

グリーンフィールゴルフ倶楽部のコースコンディション、特にグリーンの仕上がりについて「今年イチ」とも言う。

「グリーンフィールは過去に1回だけ来たことがありますが、今回、練習ラウンドでの第一印象が『グリーンが綺麗』ということ。今年で一番じゃないかと思うくらいで、非常にプレーしやすかったです。見た目通りに転がってくれるというのが一番大事かなと思っています」

好スタートとなったが、過度に守りに入ることなくプレーできたという。

「今日は『もう行くところまで行ってしまえ』と思い切ってプレーしていました。この63というスコアは最近では一番いいと思います。昨年はあまり調子が良くなくて、今年は調子がいいと思いながらも試合で結果が出ていませんでした。こういう結果が出たことは非常に嬉しいですし、今後に繋がったかなと思います。

実は、今日が息子の18歳の誕生日なんです。父親としてちょっと良い知らせができたのではないかと思います」

【女子】江澤亜弥ら3名が4アンダーでトップタイ

一方、女子のカテゴリーでトップに立ったのは、4アンダー「68」をマークした江澤亜弥、山口すず夏、村田歩夏の3名。女子トップタイに付けた江澤亜弥は、ショットへの不安を抱えながらのスタートだったと言いながらも、パッティングが冴え、スコアをまとめた。

画像: パットが冴え、4アンダーをマークした江澤亜弥

パットが冴え、4アンダーをマークした江澤亜弥

「ショットに少し不安があったので、このスコアは自分でもビックリしています。でも、前半はパットが入ってくれて、特に9番は奥のカラーからパターで打ったのが入るなど、ラッキーもありました。体感としては後半のほうがスウィングがしっくりきていたのですが、スコアは前半ほど繋がらなかったので、つくづくゴルフは不思議だなと思います。明日も今日の良いイメージを持ちながら頑張りたいです」

男子シニアプロと同じ組でラウンドするという独特のフォーマットについても、新鮮な刺激を受けたと語る。

「みなさんたくさん話しかけてくれましたし、メンバーに恵まれてリズムよく回れました。普段、自分の試合に出ると集中しすぎて入り込みすぎてしまうことがあるのですが、こういう朗らかな雰囲気でできるのはいいなと。今日のスコアはメンバーに恵まれたからと言えるくらい、楽しく一日を回れました。

ラウンド中に宮本(勝昌)さんともお話ししたのですが、『男女が一緒になるとイベント感が出るけれど、こうやって真剣勝負の場で女子と回ることはないから面白いよね』と仰っていました。実績のある先輩と回らせていただいて、試合でのプレーを間近で肌で感じられたのはすごく勉強になりました」

前日のプロアマ戦では、アマチュアとして参加した松坂大輔氏と同組でプレー。そのポテンシャルに感銘を受けたという。

「松坂さんは飛距離にビックリして、そんなところを狙うんだという場所を狙ったりしていました。それ以降のプレーも全部上手で、球をとらえる音もすごかったです」

また、江澤自身にとって、この「日高村」という土地には特別な親近感がある。

「私は埼玉県日高市の出身なので、日高村には勝手に縁を感じていました。名前に親近感が湧きましたね。この位置にいればもちろん優勝は意識します。優勝を目指しつつ、明日も楽しみながら頑張りたいと思います」

変則的なフォーマットにより、男子シニアの円熟した技術と女子プロの華やかなプレー、誠実なアマチュア選手たちの個性が融合した今大会。初日を終えて山下和宏がリードするが、追いかけるシニアプロたちによる巻き返し、そして江澤亜弥をはじめとする女子プロ勢の優勝争いなど、最終日の展開も楽しみだ。

しかし、この大会の本質的な価値は順位争いではない。地元のジュニア中学生たちがトッププロと同じ緊張感を共有し、官民が連携して地域の魅力を発信するその取り組みは、ゴルフを通じた地域貢献の新しい形を提示している。高知県日高村から始まったこの試み。ツアーの新しいスタイルとして定着していくことを期待したい。


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