障害者ゴルファーの世界一決定戦「THE G4D OPEN」の2日目。今大会から新たにシビアな予選カットが導入され、強風と難コースが選手たちを苦しめた。日本から出場した3選手は惜しくも予選落ちとなったが、年齢や国籍、障害の壁を越えて集った選手たちは、それぞれの“ゴルフ愛”を胸に素晴らしいプレーを見せた。過酷なサバイバルを勝ち抜いた新星たちの優勝争いと、多様性に満ちた大会2日目の模様をレポートする。

「THE G4D OPEN」の2日目は、朝からよいお天気に恵まれました。ただし、陽がかげれば急に寒くなり、ときどき風が舞い、「ここは、イギリス(ウェールズ)だった……」としみじみ感じる選手たち。しかも今回からは予選カットが行われます。選手たちはそこも意識しながらプレーしなければなりません。

さて、まずピックアップしたいのは最終組です。本大会は障害者ゴルファーの世界大会ですが、国籍も年齢も障害もさまざま。メンバーは、まずは初日トップスタートだった2人、ここセルティックマナーがホームコースのリッチー・ウィリス(68歳・HC9.7・右足大腿切断・STANDIND2)と、本大会初出場というだけでなく、母国スウェーデンから出たのも初めてだという出場選手中最年少のヴィレ・エングクヴィスト(16歳・HC5.3・脳性麻痺・STANDING2)です。

画像: 最終組のスタートホールはメンバーのリッチー・ウィリスの晴れ舞台に大歓声が送られた。とにかく明るいキャラで人気者の68歳なのです

最終組のスタートホールはメンバーのリッチー・ウィリスの晴れ舞台に大歓声が送られた。とにかく明るいキャラで人気者の68歳なのです

年の差は「52」。リッチーは、彼のことを「明るくて前向き」というクラブの仲間たちに見守られながらプレー。一方のヴィレは優しそうな両親に見守られながらプレー。お母さんの話では「彼は緊張しています。スタート20分前から誰とも話をせず、音楽だけを聴いて集中しているんです」とのこと。しかし、ティーイングエリアでリッチーに話しかけられたときにはニコッと笑顔を見せていました。

画像: アダム・ダルトンは手足に重度の障害を抱えていますが、わきに長いクラブを挟む工夫と努力で素晴らしいショットを打ちます!お母さんとニコリ

アダム・ダルトンは手足に重度の障害を抱えていますが、わきに長いクラブを挟む工夫と努力で素晴らしいショットを打ちます!お母さんとニコリ

もう一人の同組メンバーは、イギリス、チャンネル諸島出身のアダム・ダルトン(21歳・HC14・先天性四肢欠損症・STANDING1)。腕の発育不全、手の欠如、そして脚の成長障害による慢性的な腰痛という困難を抱えていますが、モットーは「手はなくても、限界はない」。同じ長さにそろえた長いクラブをわきに挟んでコンパクトに振る“考え抜かれた”スウィングです。

年長者のリッチーは常に笑顔で、若者たちの力強いスウィングに「僕がアレをやったら腰が痛くなるよ」と感心のため息を漏らしていました。3人の最終成績は2日間の合計で、リッチーが29オーバーで47位タイ、ヴィレが20オ-バー25位タイ、アダムが28オーバー45位タイ。15オーバー19位タイまでが決勝ラウンド進出となり皆、予選通過はできませんでした。それでもとても充実した1日をすごせたようです。

「ゴルフが大好きなのは、人生を存分に生きられる手助けになってくれるから。私は友情のために、そして間違いなく競技そのもの、運動、挑戦、そして心の健康のためにプレーしています。それが私を前へ進ませてくれるのです」(リッチー)

画像: 最年少ヴィレ・エングクヴィスト。障害は体の動きやバランスに影響を与えるというが、心を落ち着かせるため全集中し、全身を使って全力スウィング!

最年少ヴィレ・エングクヴィスト。障害は体の動きやバランスに影響を与えるというが、心を落ち着かせるため全集中し、全身を使って全力スウィング!

「ゴルフには常に取り組むべき課題があり、上達できるところが大好きです。コースにいると、すべてが軽やかに感じられ、人生がより幸せになります。ゴルフは世界で一番楽しいことだと思う。でも、何よりも競争があるからこそ、僕は世界一になりたいんです」(ヴィレ)

「ゴルフは僕が自分の居場所を見つける手助けをしてくれた。みんなにも、心に決めたことは何でもできるということを知ってほしいのです」(アダム)

三者三様の言葉と“ゴルフ愛”がありますよね。今回は悔しい結果で終わりましたが、皆、さらに先へ向かって楽しみ続けるのです。

さて、クラブハウスのあちこちから、ホールアウトした選手たちの「とにかく難しかった」「フェアウェイのアップダウンがすごかった」「グリーンのアンジュレーションがすごすぎてまったく読めない、どこに転がるかわからない」「ピンポジが難しい」などという“難コース話″が聞こえてきます。

今回の予選カットに関して、R&Aの担当者に聞くと、「これまでの大会で2日間の練習ラウンドと3日間のトーナメントをすると『疲れる』という感想が多かったのでこの形にしました。何よりこの大会が『チャンピオンシップ』ということを忘れてはならないという思いも込めたのです」

日本選手3人は残念ながら全員予選落ちに終わりました。

画像: 日本のエース・吉田隼人。2日目、18ホールまで2オーバーでラウンドし予選通過も見えていたが……(20オーバー・25位タイ)

日本のエース・吉田隼人。2日目、18ホールまで2オーバーでラウンドし予選通過も見えていたが……(20オーバー・25位タイ)

小林茂はこの日の目標「パーを10個取る!」は達成したものの「6ホールパープレの後『7』を叩いて……」と肩を落とし、小山田雅人と吉田隼人は粘りのゴルフを見せながらも「パッティングがすべてでした……決められなかった」(小山田)、「最後、やらかしちゃいました(2打目をバンカーから引っかけ、ハウスの屋外レストランに打ち込みOB)」(吉田)と、かなり疲れたようす。話の続きは明日じっくり聞くこととしましょう。

画像: 随所に“玄人の技”が光る小山田雅人。粘りのゴルフを見せていたがパッティングに苦しみあと1歩及ばなかった(23オーバー・31位タイ)

随所に“玄人の技”が光る小山田雅人。粘りのゴルフを見せていたがパッティングに苦しみあと1歩及ばなかった(23オーバー・31位タイ)

さて、優勝争いです。女子総合は、昨年本大会デビュー戦で2位に入ったドイツのジェニファー・スレーガ(26歳・HC5.4・先天性軟骨無形成症<低身長症>・STANDING3)を、本大会2連覇中のオランダ出身、ダフネ・ファン・ホーテン(27歳・HC0.3・先天性の脊柱側弯症・STANDIND3)が1打差で追う展開。

男子総合は、初参加のカメルーン出身、イッサ・ンラレブ・A・アマン(35歳・プロ・病気による両足切断、両指切断・STANDING1)を、同じく初参加の韓国出身、サイモン・リー(28歳・自閉症・プロ・INTELLECTUAL1)が1打差で追う展開に。多くの人の口から“愚痴”が出る難コースで、新星たちは2日目にアンダーパーでラウンドしたのです。

さあ、誰が優勝カップを手にするのでしょうか。最終日を楽しみにしたいと思います。


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