国内女子ツアー第10戦「Sky RKBレディスクラシック」で、今季初優勝を飾った桑木志帆。猛追するウー・チャイェンを1打差で振り切り、見事トーナメントコースレコードを更新した彼女のスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説する。

約1年半ぶりの通算4勝目をコースレコードで飾る

24年の最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」以来、約1年半ぶりの優勝となった桑木志帆選手。24年には、現在米ツアーに参戦している竹田麗央や山下美夢有といった強豪と渡り合い、年間3勝を挙げる活躍を見せました。しかし、25年シーズンは15回ものトップ10入りを果たして安定した成績を残しながらも、あと一歩のところで優勝には手が届かない、もどかしい時間を過ごしていました。

画像: ショット力に加えてアプローチ、パット、マネジメントと成長し約1年半ぶりの優勝を飾った桑木志帆

ショット力に加えてアプローチ、パット、マネジメントと成長し約1年半ぶりの優勝を飾った桑木志帆

彼女はもともとショット力に定評がありチャンスメイクが多い選手ですが、以前はパッティングが噛み合わないとメンタル面から崩れてしまう場面も見受けられました。しかし、そうした苦しいシーズンを乗り越え、ショット、アプローチ、パット、マネジメント、そしてメンタルのすべてにおいて確かな成長を遂げ、今回の約1年半ぶりの美酒に繋げたのです。

フォローまでのベタ足が再現性の高さを生む

桑木選手の最大の武器は、キレのあるフェードボールです。テークバックではフェースを開かず、体の回転と同調しながら始動。右ひじを急いでたたまず、手元を遠くに置いて大きな弧を描くようにトップへと向かいます。左右の重心移動の幅は少なく、手元を高い位置へ。そしてシャフトの向きはターゲットよりも左を指す「レイドオフ」の美しい形に収まっています。

画像: 体と同調した始動から手元を高位置に上げるトップ

体と同調した始動から手元を高位置に上げるトップ

高く上がった手元は、真下に落下するように下りてスウィングプレーンに乗っていきます。そしてもう一つの大きな特徴が、レギュラーツアーにフル参戦し始めた22年から変わらない、右足かかとがフォローまで地面から浮かない「ベタ足」の使い方です。右ひざが前に出ないことで前傾姿勢をしっかりとキープし、手元が下りてくるスペースを確保しています。さらに、インパクト手前で左サイドにブレーキをかけることで、手元からクラブへとエネルギーを爆発的に移行させ、ヘッドを鋭く走らせているのです。

画像: 手元が真下に落下するように切り返しスウィングプレーンに乗せる

手元が真下に落下するように切り返しスウィングプレーンに乗せる

腰をただ回し続けるのではなく、ダウンスウィングの初期に下半身で回転をリードした後、左サイドでしっかりと壁を作ってブレーキをかける。これによりフェースが適切にターンし、ボールをしっかりとつかまえた「つかまったフェードボール」を操ることができています。スウィング中に頭の位置と前傾姿勢が一切崩れないことも、再現性の高いインパクトと圧倒的なショット力に直結しています。

画像: フォローまでベタ足で、頭の位置と前傾姿勢をキープする

フォローまでベタ足で、頭の位置と前傾姿勢をキープする

思い出のリビエラCCで開催される「全米女子オープン」へ

2年前のアメリカ合宿の際、近隣のリビエラCCで男子ツアーの「ジェネシス招待」が開催されていたため、その練習日に彼女と一緒にトッププロのプレーを見に行きました。会場であるリビエラCCは、今年の「全米女子オープン」が開催されるコースであり、ロス五輪の舞台にもなっている名門です。

タイガー・ウッズやロリー・マキロイの練習ラウンドに付いて歩くと、彼女は大いに刺激された様子でした。世界の技を目の当たりにしてモチベーションが最高潮に達したのか、「早く(自分たちの合宿先に帰って)練習したいです!」と、リビエラCCを早々に後にした彼女の熱い姿を、今でもよく覚えています。

今回の優勝により、彼女はそのインスピレーションの地であるリビエラCCで開催される「全米女子オープン」への出場切符をほぼ手中に収めました。同世代の佐久間朱莉をはじめ、菅楓華、髙橋彩華といった現在のツアー上位陣に力強く割って入り、今シーズンをさらに熱く盛り上げる存在になってくれることでしょう。

写真/岡沢裕行


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