ロサンゼルスで合宿中の桑木志帆は1月29日に誕生日を迎え21歳になったばかり。1歳年齢を重ね、さらなる努力を促すために、今年からコーチに就任した中村修が近くのリビエラCCで開催中の「ジェネシス招待」のパスを手配。お目当てのタイガー・ウッズ、ローリー・マキロイ、ジョーダン・スピース、そして松山英樹といったPGAツアーのスター選手を生で観られることに「前日からワクワクが止まらずによく眠れなかった」と桑木。
眠い目をこすって朝6時半に現地に到着。8時にはタイガーが練習グリーンに現れると「タイガーだ!」と食い入るようにパット練習を観察。
「タイガーはオーラが凄いですね。体がごつくて背も高い。堂々とした雰囲気でショットは弾道が高くてボールが落ちてこない。今週のボールは自分と同じブリヂストン『ツアーB X』を使っているというのでグリーン周りのアプローチも見てみたいです」(桑木志帆、以下同)
その後、練習場に移動し、タイガーのショット練習をじっくり見たあと10番ホールからの練習ラウンドについて歩くことに。実際に見た印象を聞くと
「アプローチも凄かったのですが、パッティングのときのアドレスの姿勢や体の動きがとても参考になりました。下半身はまったく動かずに胸でストロークするように見えました。右手一本でパットする練習も早速取り入れてみようと思います」
ドライバー、アイアンショットの高い弾道やフェードボールを多用して打っていたこともあって、同じフェードボールヒッターの桑木にはクラブのさばき方も大いに参考になったようだ。ただ残念ながらタイガーの全盛期を知らない世代の桑木にとっては、タイガーも往年の名手に見えてしまっていたのは仕方のないことだろう。
続いてワクワクが止まらない桑木が向かったのが、1番ホールからスタートしたローリー・マキロイ。すっかりギャラリー気分で練習ラウンドについて歩くと、
「カッコイイ! インパクトの音というか圧力が凄いし、弾道も目で追えないくらい速くて凄かった!」
しかし、ここでも桑木はグリーン周りのアプローチとパッティングに釘付けに。ショットについては男子プレーヤーとは縮めることのできない差を感じながらも、アプローチやパットといった目の前にあるカップに対して寄せる技術は吸収できると考えているようで、一挙手一投足を見逃さない眼力はさすが昨年のメルセデス・ランキング10位の実力者。
4番ホールのグリーン奥から近いピンを想定したアプローチでは、フェースの使い方をじっくりと観察。
「ロブ気味に打つのにボールの下をくぐって達磨落としにならないように打ってますよね。カットに振ってしまうとボールの下を抜けてしまうことがありますが、ストレートか少しインサイドアウト気味の軌道で打った後フェースを開くような使い方をしていました」
そして続くグリーンの中にバンカーがある特徴的な6番ホール(パー3)では、ボールの止まった位置によってバンカー越えが必要になるため、マキロイは迷わずウェッジを持って右サイドから左奥に想定したピンを狙ってクラブを一閃。
するとターフを一切削ることなくスピンもしっかりとかかったボールは左奥の想定したピンに対して寄っていく。その妙技に一体どうやって打っているのか、「?」な様子の桑木は
「浅い入射角でボールだけをクリーンに打っていました。それも3球か4球まったく同じ感じで打っていましたね。どうやって打つんだろう、早く練習しに行きたいです」
そして最後にパッティングでは、タイガーと同じように姿勢に注目した。
「めちゃくちゃきれいなアドレスですよね。体を鍛えているせいもあると思いますが、ゆるみが一切なくてしっかりインパクトしていました。タイガーと同じ感じでしたね」
最後に松山英樹の登場を練習場でハンバーガーを食べながら待つ。ところが、ワクワクが止まらないようで、いち早く食べ終わり、待ちきれずに練習グリーンに向かうと松山を発見。
「松山さんは思ったよりも体が分厚くて背も大きいんですね。タイガーと同じでオーラというか雰囲気がにじみ出ていて、やっぱりマスターズを制覇したトッププレーヤーなんだと改めて感じました。パッティングもいろいろなことを試しながら、良し悪しを見極めているように見えました」
21歳の女の子らしく、マキロイやジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマスらが目に入ると「カッコイイ!」を連発していた桑木だが、練習したくて居ても立っても居られなくなり、午後は早くに切り上げて自分の練習へと向かった。多くを学んだ桑木が2週間後の開幕にどんな姿を見せてくれるか期待してみよう。