証明済みの爆発力。驚異の「60(12アンダー)」
ブラウンの「爆発力」はすでに世界が知るところだ。彼は今季の「ジ・アメリカンエキスプレス」第2ラウンド(ニクラス・トーナメントコース)において、「60(12アンダー)」という凄まじいビッグスコアを記録している。
単に「60」を出しただけでなく、この日のバックナイン(後半9ホール)を「28(8アンダー)」という異次元のスコアで回り、手がつけられないゾーンに入っていた。さらにこのラウンドには、バーディ、イーグルから続く5連続バーディという、驚異的な「8アンダーの連続記録(ベスト・バーディ/イーグル・ストリーク)」も含まれていた。
トッププロでさえ一生に一度出せるかどうかの異次元のスコアを、18歳の若き新星が叩き出したという事実は、彼がPGAツアーのフィールドで優勝争いに絡むだけの実力をすでに備えていることを物語っている。
【動画・約8分半】これがブレーズ・ブラウンだ! 「60」を出したラウンドのハイライト【PGAツアー公式YouTube】
18-year-old Blades Brown fires 12-under 60 | Round 2 Highlights | The American Express
www.youtube.comスピースやシェフラーも成し得なかった「19歳以下のトップ10」
今大会において、ブラウンが直面する歴史の壁がある。PGAツアーの公式データ(ShotLink)によると、「1999年のセルヒオ・ガルシア(19歳)以来、19歳以下で今大会のトップ10に入った選手は一人もいない」という事実だ。
過去、この大会に若くして挑んだエリートたちを振り返ると、ダニー・リー(18歳で13位タイ)、ジョーダン・スピース(16歳で16位タイ、17歳で32位タイ)、スコッティ・シェフラー(17歳で22位タイ)、そしてトム・キム(19歳で17位タイ)といったスター選手たちでさえ、10代でトップ10の壁を破ることはできなかった。もし今週、ブラウンがリーダーボードの上位に食い込めば、文字通り歴史に名を刻むことになる。
圧倒的なコース適性。「80%」を占めるフェードボール
歴史の壁を打ち破る根拠は、データの中にもはっきりと示されている。舞台となるTPCクレイグランチは、全14のパー4およびパー5で「左から右への軌道(フェードボール)」が有利な設計となっている。
ブラウンは、今シーズンのティーショットの実に「80%」でフェードボールを打っているのだ。しかも、彼のフェードボールは単なる持ち球というレベルではなく、フェアウェイを捉えるための緻密なコントロールがデータにも表れている。フェアウェイを捉えた際のフェードの曲がり幅は平均45フィート(約13.7m)にピタリと制御されており、ミスした時の73フィート(約22m)とは明確な違いがある。
自身の持ち球とコースレイアウトの要求がこれほどまでに完璧に合致している選手は少ない。技術的にもデータ的にも、彼がこのコースで爆発的なスコアをマークする下地は完全に整っている。
運命を左右する「単独21位」とスペシャル・テンポラリー・メンバーシップ
ブラウンが今週見据える最大の目標は、歴史的快挙だけではない。彼のプロキャリアを左右する「スペシャル・テンポラリー・メンバーシップ(特別一時会員※)」の獲得である。
彼は前戦の「マートルビーチ・クラシック」でトップ10(9位タイ)に入ったことで今大会の出場権を掴み取った。そして現在、特例メンバーシップ獲得の条件まで残り「42.553ポイント」に迫っており、今週「単独21位」以上に入ればこの条件をクリアできる。
これを獲得すれば、シーズンの残り試合で無制限にスポンサー推薦を受けられるようになり、彼にとってPGAツアー本格参戦への最大のターニングポイントとなるのだ。注目度の高さを証明するように、予選ラウンドではメジャー覇者のウィンダム・クラークらと同じスターティンググループでプレーする。
さらに、今週予想されるテキサスの雷雨という過酷なサバイバル条件すらも、前戦の悪条件で結果を出した彼にとっては追い風になるかもしれない。今大会が開催される木曜日と金曜日は、80%〜90%の確率で雷雨(サンダーストーム)が予報されるなど荒天が予想されている。しかし、彼が今大会の出場権を掴み取った前戦「マートルビーチ・クラシック」も、実は悪天候によるウェットなコースコンディション(プリファードライ適用)で開催されていた。過酷な状況下でもスコアをまとめ上げるタフさは実証済みだ。
未来のスター誕生の瞬間を見逃すな

あどけなさが残る18歳のブレーズ・ブラウン(写真/Getty Images)
10代の若者が、自身の誕生日ウィークに、その圧倒的な実力でPGAツアーの扉をこじ開けるのか。「未来のメジャー覇者」が歴史的瞬間に挑み、新たな伝説の第一歩を踏み出す姿は、今週のテキサスで最も見逃せないドラマとなるだろう。
※【解説】スペシャル・テンポラリー・メンバーシップとは?
ツアーの正式な会員(シード権保持者など)ではない選手が、限定的な出場機会の中でポイントを積み上げ、前年度のフェデックスカップランキング150位のポイントを上回った場合に付与される特別資格。これを受け取ると、通常は年間最大7試合までに制限されている「スポンサー推薦による出場枠」が無制限となり、シーズンの残り試合にほぼフル参戦できるようになるため、翌年のレギュラーシード権(トップ125)を掴むための最大の特急券となる。

