絶対王者シェフラーが語る「思考力」の重要度
ディフェンディングチャンピオンであり、現在世界ランキング1位に君臨するスコッティ・シェフラーは、生まれ変わったコースに対して強い警戒感を示している。特に彼が着目しているのは新しくなったグリーンだ。

ディフェンディングチャンピオンとして今大会に挑むスコッティ・シェフラー(写真/PGAオブ・アメリカ)
シェフラーは「傾斜がかなり増し、アグレッシブになった」と分析する。単純にグリーンに乗せるだけでは、厳しい傾斜に弾かれてチャンスを作ることができない。だからこそ、彼は「以前よりもずっとコースの攻め方を考えなければならない」と語る。ただピンを狙うのではなく、風や傾斜を計算し尽くした上で、安全かつ次につなげやすいエリアを導き出す。
昨年の同大会でシェフラーが8打差の圧勝を飾った際、彼は出場選手中で「パーオン率(81.94%)」が1位タイだっただけでなく、「SG: パッティング(+6.14)」で全体4位、「1パット率」でも52.78%で2位という、まさにグリーン上で無双状態のスタッツを残していた。昨年、このコースのグリーンで圧倒的な数字を出して勝った本人だからこそ、起伏が激しくなった新生グリーンへの警戒感が誰よりも強いのだ。
「このコースの真の挑戦はグリーン上とグリーン周りにある」という彼の言葉通り、新生TPCクレイグランチでは、ショットの技術以上に高度なコースマネジメントが試されるのである。
ケプカの「新パター投入」と圧倒的なショットへの自信
一方、メジャー通算5勝を誇るブルックス・ケプカは、シェフラーとは異なるアプローチでコースをねじ伏せようとしている。ケプカは最近、グリーン上での不調に苦しんでいた。先週の「全米プロ」において、ケプカは「SG: パッティング(パッティングのスコア貢献度)」が-0.635(全体63位)、「パーオン時の平均パット数」が1.86(全体56位タイ)と、明確に苦戦を強いられていたのだ。

ショット力に自信を持つブルックス・ケプカ(写真/PGAオブ・アメリカ)
この不調を払拭するため、彼は朝に息子を学校へ送った後、迎えの時間になるまでずっと自宅のパッティングスタジオに籠り、泥臭くテストを繰り返したという。その結果、「トウ・ハング(トウ側が少し下がる)が大きく、重心がフェース寄りにあることでヘッドが自然にリリースされる」という論理的な理由で、新パター(スコッティキャメロン「ファストバック1.5」)を選定し、今週から実戦投入したのである。なお、このパターについては以前も使っていたモデルと明言している。
パッティングへの不安を払拭した彼を支えるのは、完璧に仕上がったショットへの絶対的な自信だ。ケプカは「軌道、スピン、弾道など、自分のゴルフボールを完全にコントロールできている」と豪語し、さらに「アイアンのプレーも素晴らしい」と自信を持っている。
確かに先週の全米プロではアイアンの指標(SG: アプローチ)が-1.919(75位)と落ち込んでいたが、本人は「ラフからのショットや狙えないピン位置が多く、実際の良さを反映していない」と一蹴している。事実、今シーズンの全体スタッツを見ると、「SG: アプローチ(3位)」「パーオン率(5位)」「ピンまでの残り距離(7位タイ)」というショットの3つの主要指標すべてでトップ7に入っているのは、ツアー全体でケプカただ1人である。
難化したグリーンであっても、彼の卓越したアイアンショットであれば、傾斜の影響を受けないピンそばへとボールを直接運ぶことができる。小手先のマネジメントではなく、圧倒的な球のコントロールと新しいパターの力で真っ向からコースを攻略しようという、王者のプライドが垣間見える。
同組で激突する両者のコントラスト

シェフラー(左)とケプカ(右)。現在とかつての世界No.1が予選ラウンドは同組でプレー(写真/PGAオブ・アメリカ)
そんなスコッティ・シェフラーとブルックス・ケプカ(そしてキム・シウ)は、予選ラウンドを同組でプレーする。「思考力と緻密なマネジメント」を武器に、将棋のようにコースを攻略していくシェフラー。それに対し、「圧倒的な球のコントロールと新パター」を引っ提げ、力と技でねじ伏せようとするケプカ。
さらに、彼らが同組で激突する予選ラウンドは、雷雨(サンダーストーム)と強風という過酷な悪天候が予報されている。難化したコースに加え、過酷な天候が襲い掛かることで、「シェフラーの緻密な風と傾斜の計算」と「ケプカの天候を切り裂く弾道コントロール」のどちらが上回るのか、というサバイバル要素がより強調される。プレースタイルも哲学も全く異なる2人の王者が、同じホール、同じ悪条件でどのような戦略の違いを見せるのか。このコントラストは、今大会最大の見どころと言っても過言ではない。
新生コースが引き出すハイレベルな技術戦への期待
【動画】コース改造中の様子【ザ・CJカップ公式インスタグラム】
2500万ドルの大改修によって生まれ変わったTPCクレイグランチは、もはや単なるバーディ合戦の舞台ではない。難化したグリーンと巧みなバンカー配置は、トッププロたちの真の実力と精神力を極限まで引き出すだろう。シェフラーの緻密なコースマネジメントや、ケプカの圧倒的なショットコントロール。新たな難コースで繰り広げられる、最高峰の技術と頭脳のぶつかり合いから目が離せない。
