
パッティングのラインを読む蟬川泰果(撮影/岡沢裕行)
初日は「74」で100位と出遅れたものの、2日目に「65」で20位へ急浮上し、この日の「67」でついに優勝争いへ加わった。2番のボギーでひとつスコアを落としたが、5番のバーディで取り返すと、続く6番(573ヤード・パー5)では鮮やかに2オンを成功させてイーグルを奪取。「右からのアゲンストでしたが、3W(スプーン)は飛距離が出るので振れば届くイメージがありました」と、残り285ヤードから見事にグリーンをとらえた。「振り回せば290ヤードは飛ぶ」という3Wが、この日の大きな武器となった。
前半を「34」で折り返すと、後半も10番、14番、16番でバーディを重ねて「33」をマーク。前日の21パットに象徴されるグリーン上の好調さに加え、「ショット自体も昨日より球のつかまりが良くなってきている」と語るなど、ショットにも確かな手応えを感じている。
初日の出遅れから見事な立て直しを見せた裏には、メンタルトレーナーからの“ショットのイメージの出し方”に関するアドバイスがあったという。
「今はワンショットごとのイメージの出し方にすごく取り組んでいます。以前はそれほど明確なイメージを持たずに打つこともありましたが、今は『170ヤードでこの風なら、こういうふうに飛んでいく』というイメージをはっきりと出してから素振りをして打つよう徹底しています」
さらに、「『結果ではなくプロセスを大事にしよう』『ミスをしても25秒後には忘れよう』と言われています。完全に切り替えるのは難しいですが、今週は逆に『これまでこういうミスが出たから、ここだけ気を付けよう』と強く意識してプレーしています」と語り、気持ちのコントロールがプレーの立て直しに直結していることを明かした。
蟬川は、2022年に日本オープンでアマチュア優勝を果たすと、プロ転向後の23年に日本シリーズ、25年にBMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップを制し、すでにメジャータイトルを3つ獲得している。今大会を制覇すれば、いよいよキャリアグランドスラムの偉業達成となる。「日本プロ」を含む4冠達成となれば、2007年の片山晋呉以来史上2人目。さらに25歳133日での達成は、1985年に中嶋常幸が打ち立てた30歳358日の記録を大幅に更新する最年少記録となる。
「自分の気持ちを切らさなければ、明日も面白い展開にできるんじゃないかと思います。4冠については、自分のやるべきことをやり切った上で、結果がどうなるかを見たいです」
最終日の逆転優勝で、1973年のツアー施行後11人目(施行前を含めると19人目)となる日本タイトル4勝、そして7人目となる国内キャリアグランドスラマーの称号をその手にできるか。偉業がかかる最終日の戦いに、大きな注目が集まる。
