「プロセス」に集中する若きリーダーの達観
トルクGCのキャプテンであり、プロキャリア通算22勝、6つの異なるツアーでの優勝経験を持つホアキン・ニーマンの視線は極めてクリアだ。メジャー大会の出場権争いやリーグの未来といった周囲の雑音に惑わされず、彼はただ「今、ここにあるプロセス」にのみ集中している。

LIVゴルフ・コリアでプレーオフの末、優勝したホアキン・ニーマン(写真/LIVゴルフ)
前週の「LIVゴルフ・コリア」で劇的なプレーオフを制したニーマンは、「100%のコミットメントを持ってショットを打ち、あとは結果を受け入れるだけ。72ホール目やプレーオフのプレッシャーのなかでパットを決めることこそがゴルフの醍醐味だ」と語る。純粋にゴルフという競技を愛し、究極のプレッシャーを楽しむ彼のゴルフ哲学は、すでにベテランのような達観の域に達している。
この「プロセスに集中する」という言葉は、決して単なる理想論ではない。現に彼は今季、個人ポイントランキング3位(334.86ポイント)、獲得賞金ランキング3位(約670万ドル/約10億円以上)、バーディ数3位(158個)、平均飛距離8位タイ(308.6ヤード)という成績を残している。トップクラスのファクトに裏打ちされているからこそ、彼のスタンスには王者の説得力が宿るのだ。
最高の仲間と過ごす“人生最高の時間”
チームメイトのカルロス・オルティスもまた、不確実な現状を冷静に受け止めている。彼は来季のリーグ変更やPIFとの交渉について、会見で2度も「完全に自分たちのコントロール外」という言葉を繰り返し、強いメッセージを発した。
将来のリーグがどうなるかは誰にも分からない。その不透明さから、彼らは「どの1週間が自分たちにとって最後の試合になるか分からない」という教訓を得ている。だからこそ、いま自分たちにできるのは「最高のチームゴルフを世界中に披露すること」だけだと腹を括っているのだ。
彼が所属するトルクGCは、チリ、メキシコ、コロンビアなどラテンアメリカ出身のスペイン語話者のみで構成されている。「素晴らしい友人たちと世界中を旅し、最高のゴルフをしている“人生最高の時間”を毎秒楽しむ」というオルティスの言葉の裏には、ラテン系特有の固い絆で結ばれた最高の仲間への絶対的な信頼がある。今この瞬間を全力で生きるプロゴルファーとしての強い覚悟が滲み出ている。
彼らが楽しむ「最高のゴルフ」の舞台、バルデラマも一筋縄ではいかない。オルティスが挙げる17番(パー5)や海に向かって打ち下ろす15番(パー3)、エイブラヒム・アンサーが警戒するタフな12番(パー3)、そしてセバスチャン・ムニョスが挙げる4番(パー5)のリスク・リワードのセカンドショットや13番(パー4)のティーショットなど、一打の妥協も許されないコースマネジメントが要求される。
南米大陸へ「チームゴルフ」を届ける大いなる構想
「今」に集中する彼らだが、未来に向けたポジティブな予測、すなわち未開拓市場への熱いビジョンも持ち合わせている。
現在LIVゴルフは中南米ではメキシコ大会を成功させているが、ラテンアメリカの絆で結ばれた彼らの夢はさらに先にある。トルクGCのメンバーは、ニーマンの母国であるチリ、さらにはアルゼンチン、コロンビア、ブラジルといった南米地域全体へLIVゴルフを拡大させることを熱望している。最高峰のゴルフを生で見る機会がなかった地域のファンに、自分たちが愛する「チームゴルフ」の魅力を直接届けたいのだ。
実は、この南米進出の夢は彼らだけのものではない。LIVゴルフの“顔”であるジョン・ラームもまた、今年3月の「LIVゴルフ・南アフリカ」で南米開催の必要性を熱弁している。大成功を収めた南アフリカの熱狂的なギャラリーを前に、ラームは「次なるアジェンダは、パナマ以南の本当の南米大陸での開催だ」と断言。トルクGCのようなラテンアメリカ出身選手の存在を挙げ、「理想的にはチリ、あるいはアルゼンチンなど、これまでこれほど大きな大会がなかった場所に行くことは、我々のリーグの義務(duty)だ」とまで語っていた。
不確実な未来を恐れるのではなく、最高の仲間と今を全力で戦い抜き、その先に広がる新しい大陸での熱狂を夢見る。トルクGCの面々と、それに共鳴する世界のトップ選手たちは、ゴルフというスポーツの新たなフロンティアを切り拓く準備を整えている。
