阿久津のどん底を救ったドライバーのシャフト変更

「ベンタス TR ブルー」から「ツアーAD PT」に替えたことが好調のきっかけだったという
5アンダーという圧巻のロケットスタートを切った阿久津未来也だが、ここまでの道のりは平坦ではなかった。
5月は「予選通過が1回しかなかった」と苦笑いしながら振り返るほどの極度の不振、なかでも3週間にわたって足を引っ張り続けていたドライバーショットが、彼にとって大きなストレスとなっていた。昨年の「ミズノオープン」での優勝から1年以内のツアー2勝目を狙いながらも空回りが続く日々に、苦しい胸の内を抱えていたという。
この現状を打破すべく、阿久津は今週、大胆なギア変更に踏み切った。これまで使用していたフジクラ製の「ベンタス TR ブルー」から、グラファイトデザイン社製の「ツアーAD PT」へとドライバーのシャフトを変更したのだ。
本人は「クラブにそんなに敏感なほうではないので、与えられたものを打って良かったらそれで行くタイプ」と語るが、気分転換も兼ねてコーチと話し合って投入したこの新シャフトが、最高の結果をもたらすことになった。先週の試合が終わってからの4日間で調整を重ね、ドライバーへの恐怖心が薄れると、初日のティーショットは見違えるほどの安定感を見せた。
「コース内で今日、10回か11回くらいフェアウェイに行ってくれた(実際は11回)」と本人が手応えを語る通り、ティーショットが安定し、2打目をストレスなく打てることが5アンダーを出す最大の要因となった。
牙を剥く宍戸の風をいなした「無理のないマネジメント」

心身のリフレッシュも行ったことで、悪い流れを断ち切った(撮影/岡沢裕行)
ティーショットの安定が、そのままコースマネジメントの余裕へと繋がった。出だしの2番ホールできっちりパーを拾って難所を抜けると、続く3番で最初のバーディを奪取。そこから風が強まった時間帯も、決して無理をせず「グリーンのセンターに乗せて、パットを頑張ろう」という冷静な戦略に徹した。
迷ったら終わりというプレッシャーのなか、キャディと打つべき球を完全に決めてから臨んだ結果、序盤のミドルパットが面白いように決まり、ボギーをわずか1つに抑え込む完璧なラウンドを構築した。
前日水曜日のプロアマ戦が台風で中止となった際も、あえて練習はほどほどに抑え、髪を切りにいき、栃木の実家で祖父母と3時間ほど会話を交わすなど、心身のリフレッシュを最優先させたことも功を奏した。
「去年、(堀川)未来夢さんと蟬川(泰果)のプレーオフをここで見て、来年はあの舞台に立ちたいと思った。それがモチベーションになっている」と語る阿久津。新シャフトという新たな武器を手に、憧れのメジャータイトルへ向けて視界は極めて良好だ。
坂本雄介「コース管理の方々に感謝。我慢していれば勝手に良くなる」

昨日の警報級の大雨の後、今日のコース回復に驚いた坂本(撮影/岡沢裕行)
4アンダーで2位タイの快進撃を見せた坂本雄介は、まず前日の大雨から異次元の回復を見せたコース管理スタッフへの感謝を口にした。
「絶対にスタートが遅れると思っていたのに、めちゃくちゃ綺麗。グリーンも読んだ通りに素直に転がってくれるのでストレスがない」と絶賛した。前日はクラブをコースに置いたまま家から一歩も出ず、子どもと遊んでリフレッシュしたと話す。
「毎週とりあえず予選を通ればいいと思ってやっている。このコースは次のショットやパットのことを一番考えなければいけないので疲れるけど、我慢していれば勝手に成績が良くなる」と、気負いのない無欲の姿勢で残り3日間を戦い抜く。
出利葉太一郎「竜彦さんが優勝したコース、僕も勝ちたい」

コーチである高橋竜彦プロの助言で火がついた出利葉(撮影/岡沢裕行)
同じく4アンダーと素晴らしい滑り出しを見せたのが出利葉太一郎だ。
前半の6番までに3つのバーディを奪い、「気持ちの余裕ができたけれど、7番以降は本当にタフ。毎ホール必死だった」と、宍戸の後半の難しさに気を締め直した。
大会前、コーチである高橋竜彦プロから「練習ラウンドはしっかりしておけよ」と授かった短い助言が、出利葉の闘志に火をつけた。「竜彦さんが過去に優勝している思い出のコース。僕もここで勝ちたいです」と、偉大な師匠の足跡を追いかけるように、力強いキャディのサポートとともにさらなる上位キープを誓った。
岩田寛「ショットもパットも悩んでばかり。でもコースは凄い」

一昨年に優勝している今大会、再びメジャー優勝なるか(撮影/岡沢裕行)
2024年大会を勝利している岩田寛も、4アンダーと実力を見せつけた。
前半の6番(パー5)では、残り274ヤードから3番ウッドで5メートルにつけ、見事なイーグルを奪取。しかし本人の自己評価は手厳しい。
「前半はただスコアが出ていただけ。途中で連続ボギーがきてあまりにもひどいから、キャディとずっと話しながらやっていた。ショットもパターも外れて悩んでばかりです」と、終始首を傾げた。
それでも、「去年までラフだったところがフェアウェイになっていて広くなった」とセッティングの変化に好印象を持ち、若干の不調ながらもメジャーの戦い方を熟知するベテランの不気味さを漂わせている。
