6月5日、国内男子メジャー第2戦「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の第2ラウンドが行われた。プロアマ戦を中止に追いやった水曜日の大雨を微塵も感じさせない宍戸ヒルズカントリークラブ 西コースのグリーンは、初日の12.5フィートから、2日目には13フィート(ファームネス220)へとさらにその輝きと速さを増し、選手たちを苦しめている。これほどまでに研ぎ澄まされた宍戸のセッティングは、海外のメジャー大会と比較してどうなのだろうか。2026年の最新メジャーや過去の大舞台で、世界の頂点を肌で感じてきた「海外メジャー経験者」たちを直撃すると、宍戸が持つ“独自の難しさの質”とクオリティの高さを評価するリアルな声が聞こえてきた。

マスターズとは“別物の難しさ”。タフな距離とラフが織りなす宍戸の洗練

画像: ラフが長く止めにくいが、オーガスタに比べ外し場所(寄せワン可能な場所)が明確なだけまだやりやすいと話す片岡

ラフが長く止めにくいが、オーガスタに比べ外し場所(寄せワン可能な場所)が明確なだけまだやりやすいと話す片岡

2025年の「日本オープン」を制し、2026年の「マスターズ」に出場してオーガスタナショナルの衝撃的なセッティングを体感してきた片岡尚之(予選ラウンドは連日2アンダーでラウンドし、2位タイに浮上)は、2つのコースの違いについて「全く別物ですよ」と笑みを見せる。

オーガスタの硬さと傾斜のとんでもなさは桁違いで、グリーンが30ヤードあっても実際に打っていい場所が5ヤード四方ほどしかなく、外せば30〜40ヤードも転がってしまう極限状態であり、毎ホールで凄まじい神経を使ったという。

その最高峰を経験した身だからこそ、宍戸ヒルズが持つ独自の難しさがより鮮明に見えている。片岡は「宍戸の難しさは、一番はやっぱり距離が長いこと。これが最も大きいと思います」と分析する。

ラフが非常に長く、グリーンも速くて止まりにくいうえに強い傾斜があるため、つける位置によってとてつもなく難しいパットが残る点に難しさの本質があるという。

オーガスタに比べれば「まだここに外しておけば寄せワンが取れるよね、というポジションが一応ある」とコースの許容範囲に救われる部分もあるとしつつも、ピンポイントのショットを求められる海外メジャーとはまた異なる、タフな距離と深いラフとの戦いに、日本のメジャーならではのやりがいを感じていた。

ピンをデッドに狙うショット力。総合力の逆算が求められる宍戸の罠

画像: 真っすぐなラインが少なく、ライン読みに苦労した比嘉

真っすぐなラインが少なく、ライン読みに苦労した比嘉

2026年の「全米プロ」を戦ってきた比嘉一貴(宍戸では2日目に4オーバーと崩れ1打足らず予選落ち)も、海外と国内のメジャーにおける「グリーンの罠」について独自の視点を語ってくれた。比嘉が5月に経験した全米プロのグリーンは、広大である反面、うねるような大きなコブが数多く点在している。

そのため、安全な広いエリアに保険をかけて乗せたとしても、次はそのコブを越える極めて難解なパッティングを強いられ、簡単にスコアを落としてしまう。ゆえに、ピンをデッドに攻める高いショット力が必要不可欠になるという。

画像: 距離が出るほうでは無いと語る比嘉は、ティーショットでいかに打ちやすいライに置くかが重要だと語った

距離が出るほうでは無いと語る比嘉は、ティーショットでいかに打ちやすいライに置くかが重要だと語った

一方で、今回の宍戸のグリーンについて比嘉は「とにかく『良いライン(上りの真っすぐ)』が少ない。このスピードと強い傾斜があるコンディションでは、ピンの横につけただけでも大きなブレイク(曲がり幅)を計算しなければいけません。奥につけてしまえばタッチを合わせるだけで精一杯になり、次のパットにも影響が出ちゃいますね」と、全米プロとは異なる難しさを露わにした。

「上りの良いラインにつけたいけれど、ラフからのセカンドショットではそれも難しい。つまり、セカンドを良い場所から打つためにティーショットをフェアウェイに置かなければいけない。パッティングだけでなく、1打目からの逆算の総合力が求められるコースです」と比嘉が語るように、点ではなく線でコースを繋いでいくシビアな総合力こそが、宍戸を攻略する最大の鍵となっている。

例年以上の極上コンディション。国内ナンバーワンの“フェアな硬さとスピード”

画像: 「台風後のコンディションとは思えないです」と、コース管理に驚く永野

「台風後のコンディションとは思えないです」と、コース管理に驚く永野

2023年の「全米オープン」で20位タイという輝かしい実績を残しているベテランの永野竜太郎(宍戸でのこの日、2度のチップインを見せ、首位と6打差の21位タイに浮上)は、芝の種類や気候の違いから一概に海外との優劣を比較することはできないとしつつも、今年の宍戸の仕上がりに惜しみない賛辞を送った。

「グリーンも例年以上に仕上がっていますし、コンディションはすごくいい。水曜の大雨の後にもかかわらず、これだけのスピードが均一に維持されているのは、コース管理の方々のメンテナンスが本当に素晴らしい証拠です。今シーズンの国内ではナンバーワンじゃないですかね」と絶賛した。

また、13フィートに仕上がった硬さについても、永野は「すごくフェア」だと表現する。

フェアウェイから良いショットを打てばしっかりとグリーンで止まり、逆にラフから打てば止めるのが難しくなるという、ショットのクオリティがそのまま結果に直結する絶妙なセッティングになっているからだ。

「今年はセミラフ(ファーストカット)が無くなったことで、ラフに入った際はとりあえずグリーンに乗せることに徹するマネジメントをしています。刈り高が均一なので、スポットによる理不尽なアンラッキーが起きにくい点も、非常に戦いがいがありますね」

近年、海外で活躍する日本人選手が増えている背景には、この宍戸ヒルズのように世界水準の戦略性を持ったハイレベルなコースセッティングが、国内ツアーでも定着してきたことが挙げられるだろう。

そして何より、今週の戦いを素晴らしいものにしているのは、水曜日の台風接近による大雨からコースを蘇らせ、13フィートという超高速グリーンを維持し続ける「コース管理スタッフの卓越した技術」だ。この手入れのおかげで、選手たちは最高の環境で己の技と精神力をぶつけ合うことができている。

リスクを恐れず正しくコントロールした選手にはバーディという最高のご褒美を、欲張ったマネジメントやミスショットには一切の妥協なきトレードオフを課す。レジェンドであり、大会のセッティングを主導する倉本昌弘実行委員長らが追求し続けるこの「フェアでタフな哲学」こそが、世界で通用する技術を磨く最高の環境を創り出している。

この難攻不落の宍戸をねじ伏せ、ツアーNo.1の称号とともに世界への切符を掴み取るのは誰か。週末の決勝ラウンド、宍戸が真のチャンピオンの誕生を静かに待っている。

写真/岡沢裕行


This article is a sponsored article by
''.