「ショックなボギーを乗り越え、自分のスウィングを信じ抜いた」(出利葉太一郎)

決勝ラウンドを単独首位で迎える出利葉
2日目を「69」でまとめ、通算5アンダーと素晴らしいポジションで予選をターンした出利葉太一郎。
強風が吹き荒れるシビアな環境のなかでも「自分の感覚も良くなってきているので、スウィングを信じて毎ショット打っていた」と語る通り、冴え渡るショットを武器にバックナインでも多くのバーディチャンスを量産した。
しかし、決して順風満帆な1日だったわけではない。後半(バックナイン)の出だしとなる10番ホールでは、パーパットがカップをくるりと一周して外れてしまう不運に見舞われた。「あのボギーはすごくショックだった」と率直な胸の内を明かすが、ここで集中力を切らさなかったことこそが現在の彼の強さだ。
「そこからいいプレーができていたので、ちょっとずつ自分の成長も感じられた」と振り返るように、宍戸という特別な難コースでの戦いが、彼の精神力をさらにタフにさせている。「メジャーで上位でターンできたというのは自信になる。まだあと2日あるので、もっともっとバーディを獲っていきたい」と語る出利葉。
結果を恐れず、自らのやるべきことに必死に取り組んだ先にある、師匠・高橋竜彦プロとの週末の再会、そして悲願のタイトル獲得へ向けて、若き才能が力強く突き進む。
「2日間よく耐えた。ティーショットがフェアウェイに行けば勝負になる」(片岡尚之)

連日2アンダーと安定感を見せている片岡
連日の「68」をマークし、通算4アンダーの絶好位につけた片岡尚之は、「2日間、よくこの難コースで耐えているなと自分を褒めたいです」と、安堵の表情のなかに充実感をにじませた。
上空と地上で風向きが異なる宍戸特有のトラップに対しても、キャディとの綿密なジャッジが冴え渡り、見事なコントロールショットを連発した。圧巻は、全体2位の難度を誇る難関17番(パー4)でのセカンドショットだ。162ヤードの距離から放たれた一打は、狙い通りにピン手前へと着弾した。
「めっちゃ完璧でした。風の計算で、どっちかというとショートしちゃうかなという距離だったんですが、しっかり良い球を打てればピンまで届くという計算通りでした」と語る通り、この価値あるバーディが彼を上位へと押し上げた。アイアンショットへの絶対的な手応えを感じている一方で、「とりあえずティーショットがフェアウェイキープできれば勝負になる」と、1打目の重要性を改めて口にした片岡。
「あと2日間、なんとかこの調子で、耐えのゴルフで頑張りたい」と、静かに闘志を燃やしている。
「3パット4回はもったいないが、ショットのイメージは完璧」(大西魁斗)

練習からショットをコンパクトにするドリルを行う大西
初日に続き2日目も「69」とアンダーパーを記録し、通算4アンダーにつけた大西魁斗。しかし、ホールアウト後の表情には悔しさも滲んでいた。
「今日は3パットが4回あったので、そこは本当にもったいない」と、宍戸の強い傾斜と高速グリーンが大西を苦しめた。それでも、長いパットが残ってしまったがゆえの結果であり、「良いパットもたくさん入って、流れを崩さずにできた。しょうがないかなと思います」と、すぐに気持ちを切り替えている。

ショットのフィーリングには満足している大西
パッティングにわずかな課題を残す一方で、ショットのフィーリングは極めて高いレベルに維持されている。「昨日と今日、まったく同じイメージで打てていて凄く良かった。明日もこのイメージのまま行きます」と自信を見せる。
全米オープン出場を控える大西にとって、この難コンディションでの上位争いは格好の試練だ。「嬉しいですが、このコースは難しいので休憩することはできない。残り2日間はもっとハードになる。全体的にスウィングもパッティングもシャープにして、ゆっくり調整していきたい」と、さらにシビアになる週末を見据えていた。
「悩んでばかりだが、耐えられた。このコースは特別」(岩田寛)

スコアをイーブンパーにまとめて通算4アンダーを死守した岩田
歴代覇者である岩田寛は、この日のスコアをイーブンパーにまとめて通算4アンダーを死守。風とピンポジションの厳しさに加え、この日は「ドライバーが思ったより距離が出ていなかった」という予想外のビハインドを背負いながらのラウンドとなった。
特に長いパー4では、ティーショットの飛距離が出なかったことでセカンドショットの番手が上がってしまい、タフな攻略を強いられた。
「あれがピッチングとか9番アイアンで打てればいいんですけどね。どっちみち下からの難しいパットになってしまう」と、難関17番などでの苦しいマネジメントを振り返った。それでも要所で素晴らしいパーセーブを披露し、「伸ばせたか、耐えられたかと聞かれれば、耐えられました」と、百戦錬磨のベテランらしい粘り腰を見せた岩田。
「初めてメジャーを勝ったし、プレーオフを制したのも初めて。こんなに応援されていると思ったのも初めてだった」と、自身にとって特別な思い出が詰まった宍戸の舞台で、一打一打にすべての技術を注ぎ込みながら、頂点へのチャンスを虎視眈々と狙っている。
素晴らしいコースメンテナンスによって提供された最高のグリーン、そして一切の油断を許さない風とラフのセッティング。週末の決勝ラウンド、このタフなサバイバルレースを制し、ツアーNo.1の栄冠を手にするのは一体誰になるのだろうか。
写真/岡沢裕行






