「暗闇のグリーン」を救った大学時代の記憶(小林大河)

2日目の最終組は、18時48分にホールアウト(撮影/岡沢裕行)
前日、日没間際のきわめて視界の悪いなかでのプレーを強いられた小林大河は、「やっぱり見えにくかったし、グリーン上でもあんまり傾斜がわからない状態だった」と過酷な状況を振り返る。
横で支える堀太陽キャディも「縦距離が合わなくなったり、傾斜やラインが本当に読みづらくなる」と証言するタフなシチュエーションだったが、小林を救ったのは大学時代の経験だった。
「大学のときなどに、結構もう真っ暗になるまでラウンドしたり練習したりしていました。その経験が少し活きたような気がします(笑)」と、薄暗いゴルフ場をあまり気にすることなく、学生時代に培ったタフさで乗り切ってみせた。
3日目を4オーバーとし、トータル8オーバー62位タイで終えた今日、「やっぱり明るいとすごくやりやすいです。ショットやパッティングの調整をして、最終日は納得できるプレーをして終わりたいです」と語り、練習場へ去っていった。
視界不良と寒さに耐え、睡眠6時間の弾丸スケジュールを乗り切る(黒木紀至)

黒木紀至(写真はロピアフジサンケイクラシック・撮影/岡沢裕行)
同じく、2日目は遅くまでラウンドしていた黒木紀至も、「グリーンの傾斜が読みづらかった。ショットも暗いからボールの行方が見えづらくて、目で追ってしまうようなタイミングがあった」と、視界不良によるスウィングリズムへの影響に苦しんだ胸の内を明かした。
2日目の後半は猛烈な寒さに襲われたが、黒木はスウィングがこわばるのを防ぐために「打つときだけは上着を脱いで、スウィングに支障が出ないようにしていました」と、寒さと戦いながら18ホールを回り終えた。
昨日は18時半過ぎにホールアウトし、片付けを終えて19時頃にゴルフ場を出発。帰りにお弁当を買い、22時にはベッドに入って、今朝は4時に起床するという文字通りの弾丸スケジュールをこなした。
「若干の疲労は残っていたけれど、トップスタートはやっぱりやりやすかった」と語る黒木。朝一番の澄んだ空気のなかで集中力を保ち、この日は1オーバーでトータル5オーバーの47位タイで3日目を終えた。
明るい環境の裏に潜んでいた「見えない疲労」と「メジャーの罠」
なお、やりやすかったはずの3日目(明るい時間帯)だが、興味深いことに両選手ともに過酷だった2日目(暗闇)よりもスコアを落とす結果となっている(黒木は71→72、小林は73→75)。
本人たちは「トップスタートはやりやすかった」と気丈に語るものの、実質6時間程度という弾丸スケジュールによる蓄積疲労や睡眠不足が、見えない形でスウィングのキレや集中力に影響を及ぼしていたことは想像に難くない。
さらに、決勝ラウンドに入りピンポジションの難易度が上がるなど、メジャー大会特有のタフなコースセッティングも彼らの前に立ちはだかった。他選手が「毎ホール気が抜けないので本当にエネルギーを使う」「このコースは次のショットの事を一番考えないといけないので疲れる」と語る通り、宍戸の罠は蓄積した疲労に容赦なく襲いかかる。
ギリギリでの予選通過というプレッシャーと極限のスケジュールの中、それでも持ち前のタフさで懸命に18ホールを戦い抜いた彼らの姿には、スコア以上の感動とリアルなプロの生き様が刻まれていた。

