今季2勝目を飾り「AIG女子オープン」への出場も決めた

「宮里藍 サントリーレディスオープン」最終日(撮影/有原裕晶)
優勝会見で今週活躍したクラブを聞かれ、「パターです」と答えた桑木選手。その言葉通り、今大会4日間の平均パット数は25.75打で全体2位を記録しており、パッティングがスコアメイクに大きく貢献したことが表れています。
桑木選手は現在もピン型のパターを使用していますが、使い始めたのは2024年の「パナソニックオープンレディース」の最終日からでした。パットに不安を抱えていた当時は、試行錯誤しながらもセンターシャフトの大型マレットを使用していました。同大会では、初日は94.4%という驚異的なパーオン率を記録しながらもパット数が34打でスコア「70」。2日目も31パットの「70」で通算4アンダーとし、最下位での予選通過となっていました。
好調なショットに対してパットが決めきれなかったことから、それまで練習でしか使っていなかったピン型のパターを実戦に投入。すると、最終日はパット数を29打に抑え、4バーディ・ノーボギーの「68」でフィニッシュし、スタッツ的にも見事な改善を見せました。
ラウンド後に話を聞くと、「ピン型だとラインを作れます」と、ショットメーカーらしいコメントをしてくれました。ピン型パターはシビアで難しいと思われがちですが、自分の感覚を生かしやすいモデルでもあります。
この日を境に、フェースコントロールに長けたショットメーカーである桑木選手は操作性の高いピン型を愛用するようになり、2024年の「資生堂 レディスオープン」でのツアー初優勝から今回の通算5勝目に至るまで、そのすべてをピン型パターと共に成し遂げたのです。
切り返しで沈み込むように地面に圧をかける
ドライバーショットの後方連続写真で、彼女のスウィングを見てみましょう。背筋を伸ばしたアドレスから手元を遠くに保ち、右ひじを伸ばしたまま、体の正面から外さずにアップライトなテークバックをしていきます。横回転というよりは、前傾姿勢に沿って体を縦にねじり上げるように使っています。

背筋を伸ばしたアドレスから、手元を遠くに体の正面から外さずにテークバックする(撮影/姉﨑正)
類まれなポイントは、手元を高く上げ、シャフトがターゲットよりも左を向く「レイドオフ」のトップから、切り返しでシャフトの向きを維持したまま、手元がボール方向に出ることなく下りてきている点です。切り返しで沈み込みながら骨盤の向きを戻していきますが、胸は右を向いたままキープされているため、上半身と下半身で大きな捻転差を作ることができています。
トップの位置から切り返す際、手元を前(ボール方向)に出さないためには、「リードアームアダクション」と呼ばれる「左腕と胸の距離が近くなる動き」が必要です。左腕と胸の間隔が潰れすぎると振り遅れる要因になりますが、潰れがなさすぎると手元がボール方向に向かい、カット軌道を誘発してしまいます。

手元は高く、シャフトはターゲットより左を向いたレイドオフのトップから、沈み込むように切り返す(撮影/姉﨑正)
桑木選手の場合、切り返しで手元を下ろしてクラブをプレーンに乗せてから上半身へと回転力が伝わるため、クラブが一枚の面の上をなぞるように動いていきます。特にカット軌道で悩むゴルファーにとっては、この「トップからの切り返しで地面を踏み込んでから上半身の回転を入れる」という動きが非常に大切です。

切り返しでスウィングプレーンに乗せてから上半身が回転する(撮影/姉﨑正)
日本のトップランカーたちが続々と米LPGAツアーに主戦場を移すなか、佐久間朱莉や菅楓華らが牽引する形で序盤を終えた2026年シーズン。そこに女王争いとして力強く割って入ってきた桑木選手の今後に、大いに注目していきましょう。
