
史上最年長予選通過記録を更新したジュリ・インクスター(撮影/Getty Images)
こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回はLPGAツアーのチーム戦「ダウ選手権」で、史上最年長予選通過記録を更新したジュリ・インクスター(以下、インクスター)の正面からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。インクスターはLPGAツアー通算31勝、メジャーでも7勝を挙げており、世界ゴルフ殿堂入りも果たしているレジェンドです。
そんなインクスターのスウィングに2つの変化が見られました。
①以前に比べてトップはコンパクトになり、手首を使ってクラブを振るようになった
②ルックアップを取り入れた、体にやさしいフォロースルー
それでは詳しく解説していきます。
以前に比べてトップはコンパクトになり、手首を使ってクラブを振るようになった
まずはトップの位置を過去と現在で比較してみましょう。画像左が約15年前のスウィング、画像右が現在のスウィングです。約15年前と現在を比較しますと、「現在のほうがトップはコンパクト」です。
「Chest Turn」(以下、胸の回転)は、両足首を結んだラインに対して、胸が左右にどれだけ回転したか? の回転角度を表します(マイナスは右へ、プラスは左へ。両足首を結んだラインと平行の位置を0°とします)。
インクスターのトップでの胸の回転は、以前はマイナス111°(右)で、現在はマイナス100°(右)と、現在のほうが胸の回転がやや浅くなり、両手の位置も低くコンパクトに収まっています。

画像①約15年前(左)と現在(右)の比較/以前に比べてトップがコンパクトになり、より手首を使うようになった
胸の回転と両手の位置が以前よりコンパクトになった一方で、コック量(曲がり具合)が増えています。「Lead Wrist Angle」(以下、左手首の角度)は、左手首の縦コックの角度を表します(手首が鋭角に曲がるほど角度は小さくなり、手首が鈍角に伸びるほど角度は大きくなる。以下、左手首の角度)。
以前のインクスターは左手首の角度が93°に対して、現在は78°と、現在のほうが左手首は鋭角に曲がっていますので、クラブの位置はどちらも地面と平行に近い位置まで到達しています。
年齢とともにトップの位置は低く浅くなりやすいですが、インクスターは左手首をより鋭角に使うことで、以前とほぼ変わらない位置までクラブを到達させており、より効率良いトップになったと言えます。とはいえ、胸の回転マイナス100°(右)は65歳という年齢を考えると驚異的ですね。
ルックアップを取り入れた、体にやさしいフォロースルー
続いては、現在のフォロースルーを見てみましょう。現在のインクスターのフォロースルーでの特徴は、「頭を無理に残さず、ルックアップを取り入れている」点です。「Head Sway」(以下、頭の位置)は、頭がアドレスの位置から左右にどれだけ移動したか? の距離を表します(マイナスは右へ、プラスは左へ。アドレスの位置を0cmとします)。
インクスターのフォロースルーでの頭の位置は、プラス9.2cm(左)です。

画像➁フォロースルー/頭を無理に右に残さず、ルックアップするように左に動いている
スポーツボックスAIが独自で調査した、フォロースルーでの頭の位置のLPGAツアーレンジは、マイナス12.2cm(右)〜プラス1.5cm(左)ですので、インクスターは頭を無理に残さず、ルックアップするように左に動いているのがわかります。
ルックアップすることによって、フォロースルーでは「胸の右サイドベンド(側屈)」が過剰になるのを防ぐ効果があります。スポーツボックスAIの調査によると、フォロースルーで胸の右サイドベンドが過剰になると腰痛の原因になりやすいと言われていますが、インクスターのように頭を無理に残さず、ルックアップを取り入れて胸の右サイドベンドを減らす動きは、年齢とともに柔軟性が落ちたり、腰痛に悩むゴルファーにとっては体への負担が減りますので、より長くゴルフを楽しめるヒントになり得ることでしょう。
今回は、ジュリ・インクスターの正面からのドライバースウィングを解説させていただきました。私が子供の頃に、アニカ・ソレンスタムやカリー・ウェブといった選手達と一緒にしのぎを削っていたインクスターが、今回このような形で話題を提供してくれたことが個人的にも非常に嬉しかったです。改めてインクスターの偉業に心から拍手を送りたいです!






