「実はまだ痛みが取れていない」──満身創痍で挑む復帰2戦目のリアル
伊与翼キャディと脇元華
オフの間に手術を終え、過酷なリハビリを経てようやく戻ってきたツアーの舞台。しかし、ホールアウト後の脇元から返ってきたのは、決して楽観視できる言葉ではなかった。
「術後からすると、ショットへの影響はあまり良くはなっていなくて……。実は今もまだ痛みが取れていないんです。でも、状態が変わらないままでも、その中でなんとかやれるように努力しています」
特に深いラフからのショットは、打つたびに腰へ衝撃が走るという。スウィングを腰に負担のない形へとシフトさせ、移動中もこまめに車を止め、骨盤が後傾しないようにストレッチを行い、食事面でも揚げ物を避けて体重増加による腰への負担を防ぐなど、徹底して腰を労わる生活を続けている。
「今年は様子を見ながら無理をしないように」と語る通り、まさに満身創痍のなかでの手探りの戦いが続いている。
後半に襲いかかる体力不足。それを補う「緻密なマネジメント」

18番をバーディで締め、明日へとつなげた脇元
さらに、復帰直後の脇元を苦しめているのが「体力面」の課題だ。長い戦線離脱から明けたばかりとあって、3日間を歩ききるフィジカルはまだ完全には戻っていない。帯同する伊与翼キャディ(杉浦悠太と高校同級生でアマチュア優勝時のキャディ)によれば、その影響は後半の「飛距離」に顕著に現れるという。
「朝イチの練習場では220〜225ヤードほど飛んでいて、昨年よりもむしろ飛距離が出ているくらいなんです。ただ、後半に入ると体力がなくなってきて、飛距離が210ヤード前後まで落ちてしまいます」
18ホールの中で10〜15ヤードも飛距離が落ちてしまう現実は、当然コースマネジメントに直結する。しかし、この苦境こそが脇元のスコアメイクの鍵を握っていた。後半の疲労が出始めた時間帯に、いかにキャディと緻密に計算を合わせ、クラブ選択や攻め方でカバーできるか。体の状態が万全ではないからこそ、思考を研ぎ澄ませる過酷なサバイバルを彼女は生き抜いている。
18番で見せた意地──ミスを味方につけた執念のバーディ

「個人的にはあまり納得できるショットではなかった」と脇元
そんな心身ともに厳しい状況のなかで迎えた、初日の最終18番ホール(パー5)。ここで脇元は、詰めかけたギャラリーを大いに沸かせる劇的なプレーを魅せた。
58度のウェッジを握って放った第3打。本人の感触としては「思ったよりも良いショットが打てなかった」という、手応えの薄いミスショットだった。しかし、グリーンに落ちたボールは、まるで諦めずにラウンドを耐え抜いた脇元の執念に応えるかのように、前方へと絶妙なキックを見せる。あわやチップインイーグルかという軌道を描いてピンにピタリと寄り、楽々のバーディチャンスを演出したのだ。
これには本人も「良いほうに跳ねてくれた」と、驚きと安堵が混ざった笑顔を見せ、見事にバーディフィニッシュ。苦難を抱えながらも、結果的に3アンダー・11位タイという堂々たる好位置で初日を締めくくった。
完全復活への道はまだ半ばかもしれない。しかし、満身創痍のなかでもスコアをまとめる強かさを見せた脇元華の動向に、明日以降も注目だ。

